「移住は必然」という思いを形に 〜木が気になるプランナーを支える「人との繋がり」〜 滋賀大学生の移住者レポート(4)
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人が一人通れるくらいの幅の小道を通り抜け『どんどん橋』を渡ると、隠れ家のような木造建築物が現れます。古風な外観とは裏腹に、どこか垢ぬけた雰囲気をまとっているのが印象的でした。この建物で私達を迎えてくれたのが、角佳宣(すみ・よしのぶ)さん(31)です。
角さんは滋賀県彦根市の材木屋を営む家に生まれました。大学への進学をきっかけに東京に移り、卒業後は東京の会社に務めていたそうです。会社を辞めるタイミングで偶然にも『地域おこし協力隊』の募集を見つけ、長浜への移住を決意したといいます。現在は彦根市に住んでおり、長浜まちづくり株式会社が運営する『湖北の暮らし案内所どんどん』(以下、『どんどん』と略す)の店長を担っているようです。
大都会の東京から地方の滋賀への移住は、暮らし方も働き方も大きく変わることは想像に難くありません。少なからず、不安はあったのではないでしょうか。Jターンとも、Uターンとも捉えることができる移住を経験した角さんに、移住前後で感じていたことや、長浜市での人々との関わりについてお話を伺いました。
「移住(Uターン)は人生において必然でした」と話す角さん。「地域の人に育てられたという感覚があり、骨をうずめるなら地元の彦根」という思いが以前からあったといいます。大学卒業後の就職先を滋賀県内で検討したこともあったそうですが、選択肢が少なくやりたいことができる企業を探すのが難しかったため、結果として東京で就職したそうです。
そんな角さんが地域おこし協力隊の募集を目にしたのは、2017年4月中旬。東京の会社に辞意を伝えた、少し後のことでした。担当していた仕事の引継ぎを終え、7月末には退職。そして8月頭に、地域おこし協力隊として地元・滋賀に戻ったそうです。「父も祖父も家のそばで仕事していた」というお話から、角さんは、仕事も暮らしも地域に根ざしたものに馴染みがあったのではないかと思います。地元・滋賀を離れて東京で過ごした7年間は、そのようなお父様やお祖父様が営まれていた生活に、改めて魅力を感じるきっかけになったのではないでしょうか。

移住に対する「気楽さ」は「人との繋がり」から

移住は「必然」。たとえそのような認識をもっていたとしても、実現できるかどうかはまた別問題ではないかと思います。しかし、角さんは移住に対して「特に不安はなかった」と言い、「なんとかなった」と当時を振り返ります。そのように「気楽なきもち」でいられた理由は、「人との繋がり」を形成できたからだそうです。では、移住に先立って、人との繋がりを形成するためにはどうすればよいのでしょうか。角さんのお話から、3つの要素が浮かび上がってきます。1つ目は『地元意識』をもって声に出すこと。2つ目は自分なりの『キーワード』を持って生きること。3つ目は『誠実さ』をもって人と接することです。それぞれについて、紐解いていきたいと思います。
角さんは「滋賀・地元を意識して声に出していたら数珠繋ぎに人とつながっていって…」と話します。滋賀へのUターンを考えていた当時、お母様に、相談しに会ってはどうかと勧められたのが、柴田雅美さん(滋賀大学 教育・学生支援機構高度専門職員)でした。さらに柴田さんからは、東京にいる、長浜についてよく知っている人と会うことを勧められたといいます。そこで出会った人とはのちに、長浜市木之本町でシャアハウスをする仲にまで至り、角さんが木之本町の人々と打ち解けるのを手助けしてくれたようです。まさに数珠繋ぎ。地元を意識して声に出すことが連鎖的な人との繋がりを生んでいます。
「人との繋がり」を形成するための2つ目の要素、角さんなりの『キーワード』は「空間デザイン・木・建築・風土・暮らし」です。実家が材木屋である角さんは「なんとなく、木に関する物事が気になっていた」そうで、この事と東京にいた頃に勤めていた空間デザインに関する仕事が結びつき、地域おこし協力隊や『どんどん』のお仕事につながったと話してくれました。自分なりの『キーワード』を辿るようにして意思決定を行う。こういった生き方は自然豊かな長浜市と角さんを繋ぎ、そんな長浜市に住まう人々と角さんを繋いだのではないでしょうか。
「人との繋がり」を形成するための3つ目の要素、角さんにとっての『誠実さ』とは「興味がある」ということを示す姿勢を指します。「地元を知っているようで知らなかったからこそ、知り合った方からの地域行事のお誘いや興味のあることは、実際に参加したり手伝ったりと、ひとつひとつ経験していきました。」と話します。1つ目の要素で取り上げた、地元への想いを声に出すことに加え、誠実に人と関わることで、角さんの周りに志を同じくする人集まってくることになるのでしょう。
以上3つの要素を意識し形成された「人との繋がり」が、移住に対して「気楽なきもち」を持たせてくれました。そのきもちは移住の原動力になり、「必然」たる移住を実現させたのではないでしょうか。

取材風景

取材風景

「エネルギッシュ」な彼らの一員

隣接する彦根市で生まれ育った角さんですが、「同じ滋賀県でも、彦根にいた時とは異なる風土と文化を長浜は持っているなと感じました」といいます。長浜に住む人々に対しては「個が際立っている、エネルギッシュな印象」があるそうです。続けて、「長浜は『平成の大合併』で湖から山に至るまで、大きな範囲で一つなぎになって、一つの市の中に色々な集落が、各自の育まれた暮らし方をしているのではないか」と自身が「エネルギッシュ」だと感じた理由にも触れてくれました。そんな角さんも、今となっては「エネルギッシュ」な彼らの一員ではないかと感じます。
 例えば、2019年8月に行われた『ときわ亭キッズキャンプ』。子どもたちが集い2泊3日で行われたこのイベントでは、デイサービス事業所の縁側づくりや古民家の土壁塗り体験等を行いました。角さんが担当したのは前者の縁側づくり体験。隣家の解体時に出た廃材を用いて、子供が5人座れるぐらいの縁側を作ったそうです。「材木屋なので木が簡単に手に入るし、こう打てば丈夫になる、ということも知っていたから、トンカチの使い方等を子供たちに教えました。」と角さん。「その土地のもの(廃材)を用いることは、その土地の木々のストーリーを紡ぎ続けるということ。そして新しくなったその場所に人が集まって、また新しいストーリーが紡がれていく」という点がこの縁側づくりのポイントだそうです。
 このように、角さんは地域おこし協力隊時代から今日にいたるまで、木を通して地域の人々と関わり続けています。角さんがワクワクしながら木に関する物事を企画・実行し地域の輪を広げていく様子は、「エネルギッシュ」な人々の一員と呼ぶに相応しいのではないかと思いました。

角さんが行った活動に関する情報はこちら
https://maru-sumi.com/about

『どんどん』を訪れるお客様と和やかな雰囲気でお話されている角さん。その様子を見ながら、移住前後から今日に至るまで角さんを支えているのはやはり「人との繋がり」なのだろうと思いました。
 「人との繋がり」は移住に対して「なんとかなるだろう」という「気楽なきもち」を持たせてくれることに加えて、「必然」たる移住を実行可能なものにします。そして今日、角さんは長浜市に住まう人々と手を取り合いながら、地域の魅力を引き出せるようイベント等をデザインしているのです。
 角さんの移住はJターンないしUターンという、少し特殊な事例でした。この記事を読んで、滋賀県にルーツを持つ角さんだからこそ、スムーズに移住できたのではないか?Iターンはもっとハードルが高いのではないか?と感じた読者もいるかもしれません。しかし、角さんが強調する、移住前後の「人との繋がり」の形成は、慣れない土地での生活に対する不安を和らげてくれるでしょう。また、地域コミュニティの一員となって、より心豊かな生活を送ることも可能にしてくれるのではないかと思います。

「どんどん」のパンフレット

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滋賀大学経済学部森ゼミナール 坂本輝 協力:滋賀県長浜市
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滋賀県内で有数の観光地である長浜。
羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町で、戦国の三英傑が駆け抜けた足跡が数多く残る戦国ロマンあふれるまちです。
歴史だけでなくユネスコ無形文化遺産である長浜曳山祭りや黒壁スクエアなど市民が中心となって作り上げた新旧の文化が交差しています。
古くから交通の要衝であり、総合病院もあり、暮らしに不便を感じることはほとんどありません。
次の文化をつくるために、リモートワークや起業、副業・兼業も促進しています。
そんな長浜市の空き家情報はこちらで公開中。
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いざない湖北
長浜市移住定住促進協議会
びわ湖の東北部に位置する滋賀県長浜市です。 羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町です。 豊かな歴史と自然に恵まれながら、新しい文化もはぐくむ長浜で、やりたかったことにチャレンジしてみませんか? 移住だけでなく、リモートワークや起業、副業・兼業と新しい働き方も支援します。
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