「運と縁が結んだ3人の移住の形」 〜明るいトリオと、移住における運と縁〜 滋賀大学生の移住者レポート(7)
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公開日:2023/01/26
終了日:2023/04/26

「運と縁が結んだ3人の移住の形」 〜明るいトリオと、移住における運と縁〜 滋賀大学生の移住者レポート(7)

 大阪なんばから長浜市東上坂町に移転し、9月28日にオープンしたcafé「一心茶房+一點の蒸しぱん」。その二階に暮らすのは、清水すがたさん(49)、東祥平さん(48)、赤尾恵利子さん(47)の3人である。兵庫県出身の清水さんと、長崎県出身の東さんはcafe「一心茶房+一點の蒸しぱん」を切り盛りし、同じく兵庫県出身の赤尾さんは、カフェの横にある靴屋「Ippo ippo」を営まれている。
 一番気になる点は、3人の関係性である。「3人は共に独身で、個人事業主が3人集まって生活しているイメージ。」と東さん。清水さんと赤尾さんは、以前大阪の美容学校の先生をしており、そのときの先輩と後輩。退社後、清水さんはカフェ「一心茶房」を大阪なんばで開き、赤尾さんは靴職人になるための勉強を始めた。東さんは、以前福岡でカフェと雑貨のお店を営んでいた。そのカフェに、清水さんと赤尾さんが遊びに行ったことが3人の出会いだ。
その後、清水さんは、東さんを自身が新たにオープンする姉妹店「カフェとパン屋Hito-iki」の店長にならないかと誘った。こうして、東さんは大阪に来たそうだ。その後同ビルには、赤尾さんの靴屋「Ippo ippo」がオープン。数年後には「カフェとパン屋Hito-iki」を閉店し、「一心茶房」で蒸しパンの製造販売を開始。3人は十数年にわたって交流のある間柄だ。大阪時代はバラバラに暮らしていたが、「1人では叶わない事も3人なら実現できる」と考え、3人で移住したそうだ。

移住に至った経緯

 「難波での忙しい生活から抜け出し、もう少しのんびりした、ゆっくりした時間を持ちたいという気持ちが3人に共通してありました。」と清水さん。移住自体は前々から考えていたそうだ。以前お店を営んでいたビルが、耐震工事をすることになり、立ち退きの必要に駆られたことが決め手になった。
 「最初は、父母の住む場所に少しでも近いように淡路島で物件を探しました。」と赤尾さん。しかし、良い物件が見つかっても「考えているうちに、企業が先に買ってしまうことがよくあった。」そうだ。中々決まらず、兵庫の別の場所などを見て回った。
 長浜を決めたきっかけは、自然環境と人の良さだという。「長浜からの帰りの車で、伊吹山を見て感動しました。会う人、会う人良い人で、郵便局の人や宅配便の人も凄く親切。」と清水さん。空き家だった物件は、お店をするためにも最適で、3人の意見が一致したそうだ。「色んな話が、転がっていって決まった。うまくいくときって、物事がコロコロ決まる。」と赤尾さん。
 大阪から移住した3人が語るのは、自然と人々との密接な繋がりである。「四季を感じる。空が広い。季節の変化を、季節の物で感じることができる。こんな贅沢はない。難波も長浜も同じ日本だが、季節の感じ方が違う。難波にいたときは、“セール”で季節を感じていた。」「地元の人とかは『今年は柿がたくさんなったから大雪が降る』なんて言っていて、私びっくり。」
 私たち自身、インタビューで長浜を訪れるが、山々の色の移ろいや田んぼの姿、庭に植えられた花や果物の違いを時期とともに感じる。これらを生活の中で感じる人々は、やはり季節の変化に敏感だ。生活の中で生まれた知恵は、「天気のコトワザ」として、世代を超えて受け継がれている。これらの、自然現象や生物の行動を観察して天気を予測することを“観天望気(カンテンボウキ)”と言うそうだ。それだけ、自然と人々との生活の距離が近いのだと改めて感じた。

インタビュー風景

インタビュー風景

運と縁を引き寄せる3人の特徴

 インタビューを通して、「運や縁に恵まれた。」という言葉が多く使われていた。果たして、それらは本当に運や縁で片付けても良いのだろうか。3人のお話を聞いていると、彼らの3つの特徴が運や縁を引き寄せているのではないかと感じた。1つ目は、チャンスの種を沢山摘んでいる点である。3人は、今の家を見つけるまでに幾つもの場所に足を運んでいる。妥協せず「見つかるまで探す」ことが、遠回りに見えるが、理想への近道だろう。
 2つ目は、不運をポジティブに捉えている点だ。3人は、以前お店を営んでいたビルから立ち退きになった出来事や、淡路島での物件が先に契約されてしまった出来事を不運ではなく、今回の移住の良いきっかけと考えている。マイナスのイメージを全く持っていないのだ。彼らは、不運な出来事の正の側面を見つけているのだ。よって、不運からダメージを受けることはなく、結果的に幸運を掴むのである。
 最後に、気を張らずに開放的な雰囲気を持っている点だ。地域の人々との関わり方として、「最初はできるだけ迷惑をかけないようにしようと思っていたけれど、わからないものは分からないからどんどん聞いていくようにしたら、長浜の周りの人が本当に助けてくれた。今ではなんでも聞いちゃう。」と清水さん。インタビュー中の3人は、明るく開放的な雰囲気で魅力的だった。リラックスすることで、些細なチャンスに気付くことができ、新たな人との繋がりが増えるのではないだろうか。
 このように、3人の明るくポジティブな姿勢は、移住生活を楽しく実りあるものにしているのだろう。マインドセットや捉え方が前向きだからこそ、“偶然”かもしれないが、「運や縁」を呼び寄せたのではないかと考える。
 「一心茶房」「一點の蒸しぱん」「Ippo ippo」は、豊かな自然風景と人々の生活が溶け込んだ長閑な町に佇むお店だ。ぜひ、運や縁、美味しいパンを求めて足を運んでほしい。

滋賀大学経済学部森ゼミナール 中村亮太 協力:滋賀県長浜市
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長浜市
いざない湖北 が紹介する長浜市ってこんなところ!

私が個人的に長浜市でおすすめしたいのは、琵琶湖の夕景と観音文化です。風景というとありきたりですが、滋賀県には琵琶湖があり、空気がスカッと晴れた日に、琵琶湖に沈む夕陽は本当に見とれてしまいます。普段から見慣れているはずなのに、足を止めてカメラに納めたくなったことが何度もあります。そんな景色、他ではなかなか見られません。
もう一つは観音文化です。普通は「観音さま」と呼びますが、長浜市では「観音さん」と親しみを込めて「さん」付けで表現することがあります。これは、それだけ「観音さま」が人々の身近な存在であったからだと思います。戦国時代の戦禍を逃れるために、川に沈めて手がとれてしまった観音さまや土に埋めていたため一部が朽ちてしまった観音さまもありますが、今もなお、地域住民の方に大切に守り受け継がれています。
長浜市には、ここでは言い表せないくらい色んな資源があるので、少しでもご興味をもっていただければと思います。

いざない湖北
長浜市移住定住促進協議会

びわ湖の東北部に位置する滋賀県長浜市です。
羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町です。
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