【豊】長浜へは菅山寺（※）にちなんだイベントなどでたびたび訪れていて、良いところだなあという憧れはあったんです。ただ仕事柄全国に出向くため、アクセスを考えると京都の方が便利だし夢物語のようなところもあって。
そんなときにすでに長浜に移住していた友人から「こんな空き家があるよ」と教えてもらい、妻と見に行ったんです。
雪が降る日のその景色は、右脳に響く感動がありました。人間としてアップグレードができる、そんな光景だったんです。

【和代】ペーパードライバーでまだ子どもが1歳になっておらず、移住は現実感のない話でした。けれどきれいだったんですよね。不便さより美しさが勝ってしまいました。

※長浜北部の山腹にある古刹。多様な森林環境があることで知られる

◯心地よい存在
【豊】移植した木の大多数は京都に住んでいたときから育ててきたもの。木にとっては広々とした環境で生きてほしいので、これだけの敷地があって満足しています。
都会だったら庭つきの家はたいへん高価な存在ですが、田舎ならそれがごくふつうにあります。タワマンの対局になるものがここにはあるということです。
庭は、感動を重視して造られるものです。つまり、自分の世界観を具現可化できる場所。心の豊かさの象徴でもあるのです。

だから、たとえば移住した先に大きな庭石やマツの木があるような庭があって、手入れが重荷になるようなら取り払ってしまえば良いのです。住む人にとって心地よいところにしちゃう。お庭の“リノベ”です。
こちらにもマツがありましたが伐採しました。庭石の撤去はむつかしいのでそのままにしていますが、子どもの遊び場として絶好のアクセントになってくれるでしょう。点々とある石の間にブルーベリーの木を植えたので、もうすぐ良い感じに茂ってくるはずです。
リノベといってもどうしたらいいのかわからない人がいれば、ぜひとも僕にご相談ください（笑）。

◯集落の人もレッスン参加
【和代】家の中は、4間の和室を床張りに変えたぐらいで大きな改修はしていません。今は所有者さんからお借りしていることもありますし、なるべく建物の良さをそのままにしています。
ご近所さんはじめ、周りの方々は本当によくしてくださいます。
畑もあるんですが、手入れをする余裕もないままでいたらご近所さんが世話をしてくださって。そのうえ植えたり、収穫したりといった畑仕事の楽しい部分は私たちにもできるように整えてくださっているんです。

この春から始動した自宅でのピラティス教室は、まず最初に集落の方にお声かけさせてもらいました。みなさんの健康維持に役立つことになるなら、私なりのご恩返しができるようでうれしく思っています。
この物件のことを教えてくれた友人や大家さん、そして地域のみなさんのご尽力があったからこそ今自分たちはここにいます。住めば都という言葉をまさに実感しています。

森の案内人
https://www.niwatomori.com/

ピラティススタジオ
instagram.com/pilates_niwamori/