田園地帯の古民家タイ料理店。畑でパクチー栽培も充実 ＜先輩移住者にインタビュー10＞

弘幸　長浜へは知人の誘いがあって移住してきました。雑居ビルのテナントを借りてピヌロを始めたんですが、住まいも賃貸だったため住居を兼ねた自分たちの店をもちたいと物件を探し始めました。 ピヌロの夜の営業は、お酒を飲みながらタイの料理を楽しんでほしいというコンセプト。ただ当時は長浜の土地勘があまりなく、お酒を飲めるお店としてどのエリアならふさわしいのかもあやふやでした。（※長浜市は飲食店や居酒屋はJR長浜駅付近に集中している） この物件は田園地帯にあって、夜にお酒を飲む店としては立地的に不利ではありました。それでも、隣に竹林があって風情のある家屋のたたずまいに何か惹かれるものがあったんです。

ニュウ　畑がついているのが気に入りました。料理に使うパクチーなどの野菜を自分で育てたいと希望していたんです。

弘幸　物件は茅葺き屋根にトタンがかぶさっている平屋建てで、そのトタンをはじめ、床周りなど修繕が必要なところが多数。すぐ住めるような状況ではないものの、自分たちで改修を進めたいとの思いもあって、家の中にテントを張って生活し始めました。エアコンもなく夏はなかなか過酷でしたが、タイの気候に慣れているニュウちゃんはまったく平気な顔でした（笑）。 知りあいの大工さんなどを頼ってリフォームを進め、広かった台所はそのまま厨房に、田の字型の畳の間だった２間は土間にして、バーカウンターと客席を設け、2024年秋に移転オープンしました。

弘幸　最初は、「わかりづらい場所だしお客さん来てくれるかな」と不安でいっぱいでしたが、逆にお待たせしてしまうほど来店してくださるように。また近所の方からも見守ってくださり、この家の変遷や地域の歴史などを教えていただくことも。

ニュウ　自宅を兼ねていることで、余裕をもって厨房のことができるようになったのがうれしいですね。お隣のお家の方は「店で使ってみたらどう？」と野菜を差し入れてくれます。

弘幸　タイでは屋台でご飯を食べるのが日常です。ニュウちゃんの実家は、そんな屋台を営んでいました。だから彼女も料理上手。 技能実習生で日本に来日した彼女と出会って、手料理を食べて感動したんです。もっと多くの人にこの味を知ってほしいと思ったのが、ピヌロを始めるきっかけでした。 もともと人生の選択肢に家を買うなんてなかったというのに、こうして手に入れて、ニュウちゃんの料理を提供できている。それが長浜という場所だったことは大きな意味があると思っています。

＋＋＋＋＋ ピヌロのお料理はどれも丁寧でニュウさんの人柄が伝わります。辛いものがダメでもアレンジ対応してくれますよ！　生まれ変わった古民家も必見。長浜に来られたときにはぜひ来店してみてください。 ピヌロ　https://www.instagram.com/pitsusaro/