ギャラリーの店主が語る、温泉地ならではの魅力と山中温泉の「自然が秘める可能性」
公開日:2026/09/04 02:54
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2026/09/04山中温泉は、温泉観光地として知られています。けれど、そこには観光地としての顔だけではない、日々の暮らしの風景があります。
温泉地ならではの住民の憩いの場、総湯「菊の湯」。毎日のように住民が訪れ、挨拶を交わし、湯に浸かります。顔なじみでなくても、どこか気にかけてくれる人がいる。そんな人のあたたかさも、外から訪れる人を迎え入れてきた長い歴史の中で育まれてきた、山中温泉ならではの魅力です。
一方で、近年は訪れる観光客の層にも変化が見られ、山々や里山の自然には、まだまだ活かしきれていない可能性があります。
山中温泉で「ギャラリー日曜館 山中温泉」の店主を務め、地域住民や若者たちと関わりながら暮らす中谷敦子さん。日々の営みを通して見えてきた、山中温泉の「今」と「これから」についてお話を伺いました。
〈プロフィール紹介〉
中谷敦子(なかや あつこ)
石川県加賀市大聖寺出身。 2023年5月から「ギャラリー日曜館 山中温泉」の店主を務める。
〈店舗紹介〉
ギャラリー日曜館 山中温泉(石川県加賀市山中温泉栄町二72)
Instagram @ nichiyoukankaga
温泉観光地ならではの住民性
■山中温泉の魅力は?
①新しい人を迎え入れる雰囲気
山中温泉の人には新しい人を迎え入れる雰囲気があると思います。1300年という長い温泉地として外から来た人を迎え入れてきた文化があってこその魅力です。移住される方にとっては入りやすい地域だと思います。
②温泉が日常に、湯まわりが家の延長線上にある
夏になると、総湯「菊の湯」の広場に湯上りのおっちゃんが上半身裸で歩いていたりするんです。温泉が暮らしの一部で、お湯まわりが家の延長線上にあるような、そんな日常の風景が好きです。知らない顔の人がいると、気にかけてくれる人がいたり、そんな人の温かさが山中温泉には残っています。
店頭で感じる変化と温泉観光地ならではの工夫
■3年間お店に立っていて感じる客層の変化は?
カジュアルな海外のお客様が増えてきたように思います。以前は富裕層の海外のお客様が多い印象でしたが、近頃は、少しカジュアルな、いわゆるアッパーミドル層の方々が、ゲストハウスなどで連泊、滞在してゆっくりと山中温泉を楽しんでいらっしゃる様に見受けます。
■温泉観光地ならではの工夫は?
なるべく、ご来館のお客様にお宿をお尋ねしています。相性が良いなあと感じるお宿には、日曜館の展示のご案内などを設置させて頂いてます。
山中温泉の自然環境が秘める可能性
■地域との関わりは? 山中節のカルチャー教室に通ったり、山中温泉の未来を考える委員会「山中温泉つぎの100年会議」に参画していたり、毎週日曜日に総湯「菊の湯」の広場で催されている「ゆざや朝市」のお手伝いをしたり、山中温泉のある加賀市で開催されたUTMB世界大会予選会にボランティアとして参画したりと色々やっています。 ※山中節:江戸時代から山中温泉に伝わる民謡。日本三大民謡の一つ。
■地域と関わる中で見えてきた山中温泉の「自然」が秘める可能性
山中温泉の自然環境を魅力に感じています。UTMB世界大会の予選会として加賀市、そして山中温泉が選ばれた理由の一つもこの自然環境です。UTMBトレイルレース世界大会の会場であるシャモニーの里山の情景と山中温泉の情景が似ているんだそうです。山中温泉では当たり前にあるこの自然環境が世界大会の予選会を開催する地として選ばれた。活用しないと勿体ないと思うんです。
旅館やゲストハウスに泊まって、歩いて温泉街を抜けた先にある水無山に登って、下りたら温泉に入ってご飯を楽しむ。今、目の前にある自然環境でそれが叶います。それにUTMBには、富裕層が集まりやすい側面もあります。あとは発信するだけ。まずは水無山に看板をつけて山道の整備するところから。そして発信することで、山中温泉が賑わっていったら嬉しいです。
■山で山中温泉を盛り上げたい
毎日違う表情を見せてくれる山中温泉の山々は、山登りが好きな人にとって、とても魅力的に映るはずです。でも山々の緑の変化を一番楽しめる春夏は閑散期で本当に勿体ないと思います。だから、「山は待っているよ!」ってことを発信していきたいです。水無山にたくさんの人が訪れて、山を通して山中温泉が活性化していく。そんな景色が見れることを楽しみにしています。
■若い人が繋がるように
山中温泉の未来を考える委員会「山中温泉つぎの100年会議」には、若い人たちがたくさん参加しています。今まで山中温泉で築かれてきた文化や歴史を大切にしながらも、若い人たちが先陣を切って山中温泉を盛り上げてくれたら嬉しいです。私はそれを応援する立場として、色んな人を繋げながら、サポートしていけたらと思います。
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【編集後記】
いつもたくさんの人を紹介し、つないでくださる中谷さん。そんな中谷さんも、たくさんの地域の方々に支えられて今があるのだそうです。
今回のお話を伺って改めて感じたのは、山中温泉の魅力は、温泉や自然といった目に見えるものだけではないということです。
外から来る人を受け入れてきた長い歴史の中で育まれた人のあたたかさ。温泉が暮らしのすぐそばにある日常。地域の人たちと関わりながら、新しいことに挑戦する人たち。そして、まだ十分に活かしきれていない自然の可能性。
特に印象に残ったのは、中谷さんが山中温泉の山や自然が秘める可能性を語る姿と、若い人たちの新しいアイデアを受け止める柔軟な姿勢でした。
「山は待っているよ!」という言葉にも、外からもたらされた新たな視点を取り入れながら、目の前にあるものの魅力を改めて見つめ直し、それを活かしていこうとする中谷さんの思いが表れているように感じました。
まだ変わっていける余白があること。そこに、自分なりの視点やアイデアで関わっていけること。それもまた、山中温泉の魅力の一つなのかもしれません。
今回見えてきたのは、完成された観光地としての山中温泉ではなく、そこにある魅力を見つめ直し、それぞれの関わり方でこれからのまちをつくっていける、山中温泉の「余白」でした。
このプロジェクトの地域
加賀市
人口 5.75万人
山中温泉 移住起業ストーリーが紹介する加賀市ってこんなところ!
山中温泉は、温泉、自然、伝統工芸が魅力のまち。 「ふらっと温泉暮らし」 「豊かな自然に囲まれた暮らし」 「日本の伝統工芸と隣り合わせの暮らし」 そんな暮らしが叶います。
そして、何よりも「本物志向の人」が魅力のまち。 各々が信念を持ち、自分の「好き」や「やりたい」を形にしながら日々を営んでいます。
また山中温泉は1300年もの歴史を持つ温泉観光地。 今でも年間約33万人もの観光客が訪れます。
そんな山中温泉はアクセスも良好。
・金沢・福井まで車で約1時間 ・小松空港まで約30分
最寄りの加賀温泉駅まで車を約20分走らせれば ・東京駅まで新幹線で約3時間 ・京都・大阪駅まで新幹線で約2時間
と関東からも関西からもアクセスしやすい立地です。
このプロジェクトの作成者
私たち、山中温泉地域デザイン研究所は、石川県加賀市山中温泉に特化した「まちづくり団体」です。現役の地域おこし協力隊が対応いたします。