女性起業家の離島の新たな仕事づくり~大阪から伊平屋島への挑戦~

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「興味ある」が押されました!

2026/10/01

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沖縄県の最北端に位置する伊平屋島は、約40kmの周囲を美しいサンゴ礁に囲まれた小さな島で、那覇市から北方に117km、フェリーが発着する今帰仁村運天港より41.1kmの距離にあります。人口は約1200人、のどかな自然と伝統文化が残る場所です。近年、旅行ニーズの多様化で島の手付かずの自然・歴史文化への評価が高まり、マリンレジャーを中心とした観光地としても急速に脚光を浴びています。 現在、伊平屋村では3名の地域おこし協力隊が活動しています。今回は、島内で安定した雇用を創出するために活動している、仲川愛美さんにお話を伺いました。

休日の憩いが移住先に

大阪出身の仲川さんは大学卒業後から、地元で人材派遣業を手がける企業に約8年勤務していました。求人広告・人材派遣の営業やサポート業務、経営に関することなど、さまざまなポジションを経験します。やがて「自分で事業を立ち上げたい」という想いが強くなり、知人と新しいビジネスを始めることを決断。しかし、事業開始からわずか2日後に事業が打ち切り、人生の転機を迎えます。事業が取りやめになった後、当時よく遊びに来ていた伊平屋島での挑戦を考えるようになりました。

当時のことをこう振り返ります。

「伊平屋に友達がいたので、7年間くらい毎年のように遊びに来ていたんですけど、いざ移住となると1年半くらい迷いましたね。当時32歳で、もし協力隊の任期中に挑戦したことがカタチにならなくても、やり直せる年齢だと思って、伊平屋に行くことを決めました」

もう一度事業に挑戦できるのではないかという想いが、地域おこし協力隊として伊平屋村に移住することの後押しになったと言います。

「大阪よりも競争率が低く、起業しやすそうだなって。人口の少ない離島でも、自分のやりたいことが実現できるかもしれないと思いました」

畑から夕日を眺める
畑から夕日を眺める
野甫大橋の眼下に広がる息を呑む雄大な海
野甫大橋の眼下に広がる息を呑む雄大な海

島の仕事を作る受け皿

協力隊として伊平屋村役場の移住定住促進室に赴任した仲川さんに託されたミッションは、特定地域づくり事業共同組合*の立ち上げでした。

「今までのキャリアや経験も生かせて、“これならできる”と思って挑戦しました」

しかし、実際立ち上げまでの道のりは想像以上に困難だったと言います。2024年8月から準備を開始し、翌年7月の設立許可取得まで、実に1年を要しました。事務作業の傍ら島内の事業者に何度も足を運び制度説明や情報交換を行うことで、徐々に理解を示す事業所も増えていったそうです。

「既に立ち上がっている組合の方から色々教えてもらったり、膨大な書類を作成したり、役場の担当者のサポートもあって設立までたどり着けました。組合の立ち上げが現実的になってきてから、自分が協力隊として何をやっているのか地域の人達に認知されたように思います(笑)」

そして、2025年7月、「伊平屋てるしのワーク協同組合」が立ち上がりました。前途多難だったものの、前職で求人広告を扱ったり、経営者の方と関わることが多かった経験が、立ち上げにあたり多様な人達との交渉や折衝にも役立ったと語ります。

*人口の急減に直面している地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するための特定地域づくり事業を行う事業協同組合

組合立ち上げに奮闘した同僚らと初詣
組合立ち上げに奮闘した同僚らと初詣
県外の移住相談会でも組合のPRに取り組む
県外の移住相談会でも組合のPRに取り組む

「ここで生きたい」という想い

現在、組合には島内の約16の事業所が参加し、3名の社員が働いています。通年で仕事が確保できるよう、冬の繁忙期の事業者と夏の繁忙期の事業者をバランスよく集め、ホテルやレンタカー、スーパーなど、多様な業種が揃っています。

「組合で正社員として雇用し、人手不足の島内の事業所さんへ派遣するという、マルチワークな働き方を推進しています」

3名採用を想定して募集を出したところ、百名以上から応募があったということで、想像以上の人気ぶり。今後も雇用者数を増やす予定で、女性の採用も目指しています。

「島なので、みんな顔なじみのようなもの。学歴や職歴よりも“島に馴染めるか”ということが問われると思います。コミュニケーション能力、柔軟性、そして“伊平屋で生きたい”という想いが何より大切かもしれません」

仲川さん自身は、協力隊の任期終了後、移住・定住を促進する新たなプロジェクトを立ち上げ、島への長期滞在を通じた人材育成なども構想中です。これまで大阪で学んだ人材採用のノウハウ、営業経験、島の青年会活動等すべてが、伊平屋の新しい仕事づくりに活かされています。

「組合の派遣料金を業界相場より低く設定できるのは、国と県、村からの補助金があるからこそ。将来的には補助金がなくても自立できるよう、有料職業紹介事業の取得も視野に入れています」

また組合の立ち上げだけではなく、私生活では地域行事や青年会活動などにも参加することで島に馴染んでいったといいます。その中でも嬉しい出来事が。

「今年、島の男性と結婚しました。困ったときに味方になってくれた人で、何があっても傍にいてくれることが決め手でしたね。島の人からは“結婚したことが一番の貢献だ”って言われます(笑)」

多くの困難と予期せぬ出来事を乗り越えながらも、「自分で事業を立ち上げたい」という当初の想いを実現させた仲川さん。自身も島の一員となり、島の未来を担う人材を集め、新しい働き方を創造しています。

写真提供:仲川愛美 取材日:2026年8月3日 外山

地域の事業所で働く組合の従業員
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村青年団協議会でエイサーの踊り手と共に
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人口 146.82万人

おきなわ島ぐらしが紹介する沖縄県全体ってこんなところ!

エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。

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