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すべてを覆す美しさ〜日本中を旅した森の案内人が行き着いた場所〜 滋賀大学生の移住者レポート(9)
2022年7月末に長浜市木之本町に移住してきた三浦豊さん。京都出身の三浦さんは、大学卒業後庭師として修行されていました。その後、日本の自然や風土を探究すべく5年間日本を巡ったそうです。そこでの経験を活かし、2010年から“森の案内人”としてご活躍されています。2022年には、京都に住んでいた頃から育てていた約100本の木とともに、木之本町へ移住します。今回は地方への移住という新たな人生への一歩を大きく踏み出した、三浦さんの思いについて探っていきます。
森の素晴らしさ
そもそも“森の案内人”とは何をしているのでしょうか。「普段は依頼を頂いてその場所に行きます。木が生えている空間は森だけでなく、街中だったり、公園だったり、山はもちろん。」と答える三浦さん。森と聞くと山を案内すると変換されがちだが、三浦さん曰く「森とは、木々が繁茂していて私たちがその空間を散歩できる場所。」だそうです。また、三浦さんが森を案内する際には、インターネットで検索できない情報をできる限り話すことを心がけています。長年森を巡っている経験からくるお話には固有の面白さがあります。
森の案内人としての活動場所は、京都、東京、名古屋が主になっています。都市部は緑に飢えている人も多く、観光地需要が高いです。一方で、滋賀県など地方での需要はそれほど高くないそうです。自然の存在が身近すぎると、「行ったことがある」の一言で終わらせられてしまう。そのため、隠れた名所が多い地方でのツアーも行い、その美しさを知ってもらいたいと三浦さんは今後の展望を仰っていました。
移住の決めてとして、三浦さんには81歳になる父親がいるため、週末に遊びにきたり、父親に何かあったらすぐに駆けつけたりできるように、関西圏内で移住したいという気持ちが芽生えていました。また、森の案内人として依頼をいただく中で、菅山寺に携わる機会ができたそうです。菅山寺は余呉にある無住のお寺で、街とは離れた深いブナの森にあります。菅原道真が手植えされたとされる樹齢1000年を超えるケヤキがあり、森の中で朽ちていくお堂が魅力的です。三浦さんは毎月山寺に通うようになり、いつか滋賀に住めたら良いなと思うようになったそうです。
長浜の環境の良さに魅力を感じつつも、懸念点も多く移住を即決することはできませんでした。最大の懸念点は距離です。森の案内人の活動は、東京、京都へ行くことが多いため、往復の距離の遠さが悩みの種になっていました。長浜への移住は非現実的だと考えていたところ、三浦さんに転機が訪れます。それは真冬に木之本へ訪問した際に見た景色です。雪が積もり、山が続く。30軒程の集落には小川が流れ、雪かきをしている人がいる。この風景を見たとき「美しさはすべて優先される。」と三浦さん。物見遊山で木之本へ訪れたはずなのに、帰りの車では夫婦揃って真剣な面持ちになっていたそうです。
現地に足を運ぶことで、インターネットの情報では得られないような貴重な情報を得ることができるということがわかりました。雰囲気や空気感など主観的な体験については、頭で考えているだけでは把握しにくいものです。また、現地へ訪問することで比較検討を行うことができるため、多面的かつ複合的に物事を見ることができたのでしょう。
オンラインインタビュー風景
子どもをここで育てたい
「今回の移住は人生においてどのような位置づけですか?」という問いに対して、三浦さんは「大きいことですよね。場所が変わるって。特に、子どもが生まれて、ここで育てたいという思いが凄く強かったので。こんな場所が生まれ育った原風景であって欲しい。」と答えています。大きな選択であったと語る三浦さんは、関係人口として滋賀へ通っていた日々が功を奏し満足のいく移住ができたそうです。関係人口とは、移住をした定住人口や観光に来た交流人口とは違い、地域と多様に関わる人々を指します。関係人口として関わることで、自身の気持ちを醸成し、最大限リスクを抑えた決断ができたのではないでしょうか。
「もう京都に帰ることはないだろう。」木之本での暮らしは良く、嫌なところはないと語る三浦さん。大胆な決断の裏には周到な準備とすべてを決定づけるような一瞬が存在することを三浦さんのインタビューから学ぶことができました。
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私が個人的に長浜市でおすすめしたいのは、琵琶湖の夕景と観音文化です。風景というとありきたりですが、滋賀県には琵琶湖があり、空気がスカッと晴れた日に、琵琶湖に沈む夕陽は本当に見とれてしまいます。普段から見慣れているはずなのに、足を止めてカメラに納めたくなったことが何度もあります。そんな景色、他ではなかなか見られません。
もう一つは観音文化です。普通は「観音さま」と呼びますが、長浜市では「観音さん」と親しみを込めて「さん」付けで表現することがあります。これは、それだけ「観音さま」が人々の身近な存在であったからだと思います。戦国時代の戦禍を逃れるために、川に沈めて手がとれてしまった観音さまや土に埋めていたため一部が朽ちてしまった観音さまもありますが、今もなお、地域住民の方に大切に守り受け継がれています。
長浜市には、ここでは言い表せないくらい色んな資源があるので、少しでもご興味をもっていただければと思います。
びわ湖の東北部に位置する滋賀県長浜市です。
羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町です。
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