
新しく阿蘇に根を下ろした人たち 【アクティブ・レンジャー】
最新情報
プロジェクトの募集が終了しました。
2025/09/01「興味ある」が押されました!
2025/07/16「自分にはどんな仕事が向いているのか?」あるいは「自分の天職とは?」といった問は誰しもお持ちになったことはあるはず。職業を選ぶにあたっては、単に報酬を得るという側面だけではなく、各個人の価値観に基づいて、どのように自己実現できるかという要素が大きく関わってくると思います。とりわけ、地方への移住を考えている方々のなかには、自然が好きで、自然にかかわる仕事に就きたいと希望されている人は多いのではないでしょうか?
今回のNew Roots in Asoでは、環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所でアクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)として働かれている 渡邉卓実さんをご紹介します。
阿蘇では草原再生が大きなテーマに
Q.渡邉さんが阿蘇でアクティブ・レンジャーになるまでの経緯を教えてください。
―(渡邉さん)私は神奈川県の綾瀬市で育ちました。子どもの頃から昆虫が大好きで、今でも昆虫の研究を続けています。高校を卒業後、作家で自然保護活動家のCWニコル氏が創設した専門学校に2年間通いました。日本には豊かな自然があるにもかかわらず、自然保護という面での知識、知見、視点が充分ではないということで、欧米並みのフィールドワーカーを育てるという目的に沿ってその専門学校は設立されました。多くの実習がカリキュラムには組み込まれており、例えば、本格的なレンジャーを養成すべく、山の中でのサバイバル訓練のようなものもありました。
専門学校卒業後は、実地でのフィールドワークの経験を早く積みたいという思いから屋久島に飛び、屋久島の自然や文化の保護を行っている公益財団でインストラクターとして5年間働きました。そこでは、屋久杉に代表される屋久島の自然が、人間の集落にいかに恩恵を与えて、さらにはそれがどう循環しているかといった環境教育を主に担っていました。その他にも、屋久島を拠点に、種子島と口永良部島の3つの島々でフィールドワークを行い、それぞれの島の特性や文化・歴史・自然を知ることができました。 そして、屋久島で知り合った女性との結婚を機に、次の新たなステージとしてアクティブ・レンジャーという道を選んだ次第です。
Q.アクティブ・レンジャーの具体的な仕事の内容についてお聞かせください。
―(渡邉さん)アクティブ・レンジャーの仕事は非常に多岐に渡っており、それぞれの環境省の管理事務所によって、求められるスキルあるいは人材像というのは変わります。アクティブ・レンジャーになるにあったては特に資格というのは必要ありません。自動車の運転免許証さえあれば大丈夫です。ただし、沖縄とかの島嶼部で働くアクティブ・レンジャーには船舶免許が求められることがあったり、例えば、ラムサール条約が締結されているような湿原地帯には渡り鳥が飛来するのですが、そういうところを管理している事務所に採用されるには、やはり鳥に対する知識や知見の多い人が有利だと言えます。私の場合は、屋久島でのインストラクターの経験が阿蘇の管理事務所が求める要件に合致したのだと思います。
阿蘇の自然環境を考えたときに、「草原再生」が大きなテーマのひとつになっています。草原の野草を堆肥として農作物を生産するというのが伝統的な阿蘇の農法です。私はこの農法を使った美味しい有機野菜をブランド化し、普及させる取り組みを地元の農家さんと共に行っています。この伝統農法は草原の維持・再生につながるからです。 それ以外の仕事としては、登山経験を活かして、自然の循環を意識した登山道の整備や登山ガイドなどもやります。また、阿蘇地域内の希少な昆虫の研究や標本作りも継続的に行っています。


アクティブ・レンジャーは自然と人のつなぎ役
Q.アクティブ・レンジャーのどういうところにやり甲斐を感じますか?
―(渡邉さん)地元の人たちとの交流を密にできて、そしてフィールドで一緒に活動できることにやり甲斐を感じています。 学生時代の学友には「自然は好きだけど、人は嫌い」といった人が一定程度いました。実は、私もそれに近かったです。「人間が自然を破壊していく、一方で人間がその回復を一生懸命行っている」という現状は馬鹿馬鹿しいと思っていたことがありました。 ただ、フィールドワーカーとして活動していくなかで、心温まる人の姿というのを何度も目の当たりすることにより、人がもつ「慈しみの心」にふれられる機会が多くありました。やはり、自然と人間との良いバランスでの共生、そして持続可能な還元、循環といったものが絶対必要で、アクティブ・レンジャーは自然と人とのいわば「つなぎ役」ではないかと思っています。
私がフィールドとしている阿蘇は、カルデラという地形のなかに人間が生活を営んでいるという世界的に見ても非常に稀な地域です。しかしながら、その特異さにもかかわらず、大昔から人がこの地に自然とともに、当然のごとく普通に生きてきたという歴史や文化自体が阿蘇の魅力であり、宝ではないかと思うようになりました。
Q.これからアクティブ・レンジャーを目指す人たちにアドバイスをお願いします。
―(渡邉さん)もちろん大学や専門学校などで自然に関しての学びは必要だとは思いますが、一番大事なことは自分の「好き」をとことん突き詰めていくことではないでしょうか?その結果が社会の求めている何かに必ずヒットするはずです。そして、このことは多士済々なアクティブ・レンジャーの多種多様性をもっと広げることにつながると思います。 アクティブ・レンジャーの任期は1年ごとの更新で、基本的には3年間ではありますが、その貴重な経験は必ずキャリアアップにつながると思います。私はこれまで自然環境保護に関わる教育や啓蒙活動に携わってきたという経験を生かし、将来は教育機関においてそういう分野を教えることができる立場になれればと思っているところです。
いかがでしたでしょうか? 阿蘇において、持続可能な人と自然の共生に取り組んでいただいて感謝しております。 これからも渡邉さんのご活躍を応援しています!


このプロジェクトの地域

阿蘇市
人口 2.40万人

阿蘇市が紹介する阿蘇市ってこんなところ!
日本中・世界中から多くの観光客が訪れる雄大な自然を有する阿蘇。
朝起きて、目の前に美しい山を眺めながら伸びをしたり、 夜、帰宅し玄関前でふと空を見上げると数多の星たちが輝いていたり、 学校帰りに湧き水を飲んで帰ったり、、、
そんな大自然と共に日々を過ごしています^^ 一緒にカルデラ暮らししませんか^^?

















