
Meets中山道(Vol.6) 開催レポート
公開日:2025/10/03 02:49
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2025/11/04「興味ある」が押されました!
2025/10/07愛荘町では、令和6年度より関係人口創出事業「Meets中山道」を立ち上げ、町内外の多様な人材がつながり、自己表現・自己実現の機会を得られるプラットフォームづくりを推進してきました。令和7年度も引き続きこの事業を実施し、「チャレンジする人が集まるまち」「起業家が選ぶまち」の実現を目指しています。
令和7年8月25日に、今年度2回目のMeets中山道(Vol.6)が開催し、愛荘町やその周辺でユニークな実践を行う4組の登壇者による熱のこもった話題提供と、参加者同士の活発な交流が行われました。 登壇者は、彦根市で若者支援の仕組みを地域で創り出す活動を続ける徳田嘉仁さん(一般社団法人くわくわ企画)、地元愛荘町に移住し「愛荘ストロベリーLab.」を動かす高橋拓磨さん・紗矢香さん夫妻、愛荘町でベチタブルキッチンhippoをひらく倉橋節行さん、そして芸術・表現の場を通して「関わらない自由」も肯定する空間づくりを行う周防苑子さん(VOID A PART主催)の4組でした。 会場には約30名の参加者が集まり、まちと人との関わりを見つめ直すきっかけとなる時間が紡がれました。
トークダイジェスト①
◆徳田嘉仁さん:寄り道したくなる診療所からはじまる、医療と公共の交差点
彦根市稲枝で医師を務める徳田嘉仁さんは、「くわくわ企画」という一般社団法人を立ち上げ、診療所をまちの拠点に変える挑戦を続けています。医師として働く中で、「人が病気にならないと会えない」関係に違和感を覚え、もっとポジティブな感情で人と出会える場をつくりたいと考えるようになりました。 診療所の中には、カフェ、ステージ、グランドピアノ、チャレンジショップなどが併設されており、「寄り道したくなる診療所」というキャッチコピーの通り、診察以外の目的で訪れる人がたくさんいます。月曜の朝に開催する朝ごはんイベントや、屋外ライブ、音楽を処方する「カルチャー処方箋」など、医療の枠を越えた関係性が日常的に生まれています。 建築家や編集者、音楽家など多様な人材が関わるなかで、「クワクワ」という名前には、「ワクワクしなければならない」という圧力を手放し、誰もがふんわりと関われる空気を大切にしたいという思いが込められています。 徳田さんは、「診療所に来る理由は、コーヒーでもライブでもいい」と語り、まちにおける医療のあり方を再定義しています。病をきっかけにではなく、日々の中で人と出会う“公共の場”としての診療所。その可能性に満ちた実践が参加者の心に深く残りました。
◆高橋拓磨さん・紗矢香さん:愛荘にIターンして見えた“ふつう”の裏側
続いて登壇したのは、愛荘町で「愛荘ストロベリーLab.」という農園を営む高橋拓磨さん・紗矢香さんご夫妻。大阪から家族で移住し、地域の新たな営みとしてイチゴ農園を立ち上げた背景や、現在の取り組みについて語ってくださいました。 移住前は音楽活動や会社勤めをしていたというおふたり。農業未経験でのスタートでしたが、育苗から販売までを手がけるハウスを構え、地元の方々の支えを受けながら少しずつ事業を軌道に乗せてきました。「農業って大変だけど、本当に楽しい」と語る拓磨さんの言葉からは、日々自然と向き合うなかで得られる手応えが伝わってきました。 一方、紗矢香さんは販売や発信、地域の方々とのコミュニケーションを担当。「子育て中の方でも気軽に立ち寄れる場にしたい」と、農園を地域に開かれた場所として育てていく思いを共有してくれました。現在は「あきひめ」や「よつぼし」といった品種を栽培し、味の研究や販路開拓にも積極的に取り組んでいます。 「地域に助けられてここまで来られたから、今度は自分たちが地域に返したい」と語るおふたりの姿からは、農業という営みを通じて“地域に根を張る”覚悟と希望がにじんでいました。


トークダイジェスト②
◆倉橋節行さん:食を通じて、まちの“余白”をひらく
愛荘町に今年4月オープンした「ベジタブルキッチンhippo」。オーナーである倉橋節行さんは、「野菜を主役にした料理で、地域の魅力を伝えたい」と語ります。倉橋さんは、かつて京都のフレンチの厨房で経験を積み、料理人としてのキャリアを重ねてきました。しかし、地元滋賀の野菜に向き合ううちに、もっと「野菜が主役になれる料理」を届けたいという思いが募り、独立を決意。現在は自ら農家を訪ね、季節ごとの野菜を使って創作料理を提供しています。 愛荘町島川に店を構えることになり、地域のゆるキャラ「シマカバ」から店名を連想し、「hippo」と名付けました。滋賀県といえば、愛荘町島川、「シマカバ」=「hippo」と言ってもらえるようなお店づくり、地域づくりを目指しています。 「農家さんそれぞれに情熱やこだわりが必ずある」と語る倉橋さん。自ら畑に足を運び、野菜の育ち方や生産者の思いを理解することが、料理にも表れてくると言います。今後は生産者とのコラボイベントや、地域の食文化を再発見する企画も視野に入れており、「料理を通じて、土地の価値を引き出していきたい」と熱く締めくくりました。
◆周防苑子さん:境界線の外から、まちとわたしの関係を問い直す
滋賀県を拠点に活動する作家・プロデューサーの周防苑子さんは、自身が主催する複合店舗「VOID A PART」での取り組みや創作活動、地域での実践について紹介しました。空きコンビニを活用して立ち上げたVOID A PARTは、カフェや古書店、アトリエなど多様な機能を持つ場で、改修には大学生も関わり、クラウドファンディングで資金調達をして、地域と連携したユニークな試みが話題を集めています。 作家としては、リユース素材を活かしたアート作品「HACOMIDORI」の制作や、海外での展示、都内での個展開催など、全国・世界に向けて発信も行っています。一方で、プロデュース業にも積極的で、滋賀県のお土産開発やフォトウェディング装飾の提供、地域カルチャーイベントの主催など幅広い分野に関わっています。 トークでは、飾らない姿勢で等身大の挑戦を共有してくださいました。若者や学生との協働を楽しみながら進めていること、地方にはカルチャーを耕す余白が多くあることなど、都会とローカルを結ぶ視点からの気づきを伝えてくれました。創作や場づくり、地域との関係を有機的に編み直す活動は、多くの参加者にとって、挑戦することのハードルを下げてくれるような、力強いメッセージとなりました。


交流タイムの様子
イベント後半の交流タイムでは、参加者と登壇者がフラットに言葉を交わし、それぞれの思いや活動への関心が自然と広がっていく温かな雰囲気が生まれました。教育、農業、情報発信、コミュニティづくりといった多様な分野の登壇者に、参加者が一人ひとり丁寧に声をかける様子が印象的で、「まるでメンターのような方に出会えた」「自分が知らなかった滋賀の魅力的な取り組みに触れられた」といった感想も聞かれました。 また、「登壇者の挑戦の背景や想いに触れることで、自分も何か動き出したい気持ちになった」といった声や、「異業種の方や、普段出会えないような領域の方と交流できて楽しかった」「地域プレイヤーと町外の人が交わる構造がとてもいい」という前向きな言葉もありました。なかにはその場で次の企画を話し始めたり、今後の協働を見据えた名刺交換が行われたりと、場の熱量はイベント終了後まで持続していました。 地域を想い、それぞれの立場で行動している人たちが出会い、共鳴し、次へとつながるきっかけが生まれた交流タイムとなりました。Meets中山道らしい人との出会いがエネルギーになる時間だったといえるでしょう。


このプロジェクトの地域

愛荘町
人口 2.14万人

愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ!
愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ! 平成18年に2つの町が合併してできた現在の愛荘町は、今年で20年目を迎えます。琵琶湖に流れる川の上流・湖東地域に位置しており、鈴鹿山系からの豊かな清水と自然に恵まれ、古くから水との関わりが深いまちとして発展してきました。
町の東側には、聖武天皇の勅願で行基が開山した湖東三山の一つである金剛輪寺があります。昔から四季折々の雰囲気を楽しめるスポットとして地元の方々をはじめ多くの人に愛され続けている場所です。また、近世には中山道66番目の宿場として愛知川宿が栄え、後の明治には郡役所や警察などの官公署が置かれ、近江鉄道が開通するなど、古くから地方の中心としても栄えてきました。
国の伝統的工芸品に指定されている「近江上布」を中心とした麻織物や、瓶のなかにてまりが入った不思議で美しい滋賀県の伝統的工芸品「愛知川びん細工手まり」など、愛荘町でしか見られない手仕事ならではの「ワザ」が光る工芸品を見られるのも特徴です。
















