
【前編】連載:大津な想い人 #03 尾中克行さん(百町物語代表理事)
公開日:2025/10/06 05:32
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2025/10/09「興味ある」が押されました!
2025/10/08立命館大学X旧大津公会堂企画 滋賀・大津。ここは、ヒトがまちに恋し恋され、自分なりの愛情でまちと歩む「恋するまち」。本シリーズでは、縁あって大津に出会い、それぞれのやり方で大津に携わる「大津な想い人」へのインタビューをお届けする。
今回は、「遊び心」と「真剣さ」を併せ持ちながら、大津を盛り上げることを目指す(株)百町物語の代表理事・尾中克行さんにお話を伺った。長年の現場経験をもとに語られた、尾中さんの「大津への想い」と地域再生へのヒントに迫る。
百町物語、誕生の背景
――百町物語の活動は、地域の人々や商店街に新たな風を吹き込み、いまやまちおこしの象徴的存在となっています。そもそもの始まりにはどのような経緯があったのでしょうか。 尾中:百町物語は2015年、叶匠寿庵の前会長・故芝田清邦さんを中心に、地元企業や商店街の働きかけによってスタートしました。かつて滋賀県一の賑わいを誇った商店街が衰退し、往時「大津百町」と呼ばれた活気をもう一度取り戻したいという思いが原点にあります。
◇現在の活動とは◇ ――現在は具体的にどのような事業を展開されていますか。 尾中:まずは収益を伴う店舗運営で、百町市場や週2、3回開く花ショップがあります。主力はまちおこし事業で、イベントが多いですね。商店街と連携して6月の百町祭りをはじめ、夏の夜市やビアストリート、12月の餅つき大会などを開催しています。
――イベント運営での課題は。 尾中:資金面です。できるだけコストをかけず企画し、補助金に頼らない運営を意識しています。補助金は一時的な後押しにはなりますが、それを前提にすると自分たちで稼ぐ発想が弱まり、継続性を欠いてしまうからです。私は「車は補助金で買ってもいいが、燃料やタイヤを補助金に頼ってはいけない」とよくたとえています。
◇補助金に頼らない哲学◇ ――そうした考えはどこから生まれたのでしょうか。 尾中:商店街が長年補助金に依存し、自力で稼ぎ継続してこなかった現実を見てきたからです。もちろん補助金を否定するわけではありませんが、基本は自力で賄うべきだと思っています。
◇まちづくりは遊び半分、真剣さ半分◇ ――町おこしに必要な覚悟とは。 尾中:遊び半分だけれど、もう半分はど真剣。この真剣さがないと形になりません。イベント成功には中心人物の大きな負担が必要で、芝田さんや大津祭曳山連盟の元田さんが好例です。ただ、後継者をどう育てるかは課題です。会社のように責任が明確な仕組みをイベントで構築するのは難しく、硬直化も避けたい。その中で熱意と覚悟を持った人材を見極める必要があります。
◇学生時代と原点◇ ――学生時代はどのように過ごされましたか。 尾中:1970年代で学生運動の真っ盛りでした。推理小説や歴史小説を読み耽り、大学入学後は学費闘争などに熱中。まともに卒業はしませんでしたね。
――元田さんとは子どもの頃からの縁があるとか。 尾中:小学校で一緒に柔道を習っていました。社会人になってから再会し、定年後にまた大津でつながった。不思議な縁です。
◇閉じない社会を目指して◇ ――学生時代に影響を受けた出来事は。 尾中:連合赤軍事件ですね。組織が閉鎖的になると内部で敵を作り出す。その怖さを痛感しました。ハチの社会でも2割は働かないという話がありますが、人間社会も同じ。だから私は自由にものが言える“閉じない社会”を大切にしたいのです。
――それが地域活動へのきっかけに。 尾中:61歳で仕事を辞め自治会長を経験し、「このままではダメだ」という思いが芽生えました。その後、市の委員や自治連合会に関わり、行政の下請け的な仕事も経験する中で、街をもっと活性化させたいと強く思うようになりました。


このプロジェクトの地域

大津市
人口 34.06万人

特定非営利活動法人BRAHart.が紹介する大津市ってこんなところ!
大津市は、比良・比叡の山並みとびわ湖に代表される自然と、様々な歴史の舞台となった豊かな文化財を有する歴史と文化に彩られた都市です。 滋賀県の県都として、市外の方からも評価をいただき、現在も転入超過※を続けている「選ばれるまち」です。 ※転入者数が転出者数を上回っている状態
このプロジェクトの作成者
「障がいがあろうとなかろうと、好きなこと得意なことを仕事にして精一杯生きる」をモットー2014年設立。大津市瀬田地域を中心に、「社会を楽しくするのが福祉のミッションだろ!」を合言葉に、近江國一之宮建部大社の朝市や、石山寺縁日の運営に携わったり、近隣の子ども達への学習支援ブレイクスくール、滋賀の食材とアーティストを応援するcafe&galleryspoonsの経営など、社会から支援される側から、支援する側にまわる活動を続けている。
















