新しく阿蘇に根を下ろした人たち 【トマト農家】

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公開日:2025/11/05 02:06

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 阿蘇カルデラの中央に聳える阿蘇五岳を境にカルデラの北半分を「阿蘇谷」と呼びます。その阿蘇谷のど真ん中、広々と田園地帯が広がり、涅槃の姿に擬せられる阿蘇五岳を間近に仰ぎ見ることができる「蔵原(くらばる)」という地区に「がっちゃん農園」があります。  今回は福岡県から移住され、13年前に阿蘇市で農業を始められた「がっちゃん農園」の経営者で、阿蘇にしっかりと根を下ろされた石松秋洋さんをご紹介します。

 都会を離れ、田舎で農業に携わりたいと相談に来られる移住希望者は少なからずいらっしゃいます。そういう人たちのために、今回のインタビューが参考になればと思います。

就職難が自分を農業に向かわせた

Q.農業を始めたいと思うに至った経緯を教えてください。

―(石松さん)実は私が大学を卒業したころは、ちょうど就職氷河期の真っ只中でした。就職したくても、なかなか仕事先が見つからず、それだったら自分で何かを始めようと思ったのがきっかけです。  当時も今もそうですが、農家が減っているという現状を踏まえたときに、逆に「農業」というビジネスは将来的にはチャンスになるのではないかと考えるようになりました。大学では経済学を専攻していましたが、在学中に阿蘇で農業体験をやったことがあり、その経験も就農という決断に役立ったと思います。  とは言え、最初のうちは大変でした。今振り返ってみると、当時は生産量とかは度外視して、「無農薬」とか「オーガニック」といった初心者的な思い込みが強すぎたので、全然上手くいかず、年収100万円程度という状態が4~5年続き、さすがに親からは辞めたらどうかと諭されるようになりました。

 転機となったのは、山口県から阿蘇に移住されていたトマト農家さんとの出会いでした。その方からトマト栽培の基礎から農業経営のことまできっちりと教えてもらい、それを自分なりに咀嚼し応用して、今の「がっちゃん農園」があります。

Q.がっちゃん農園では何を栽培されていますか?

―(石松さん)農園の広さは約4,000㎡で、主にミニトマトとアイコと呼ばれる細長い小さなトマトを生産しています。収穫時期は7月から11月にかけてですが、ある程度一年中収入があるようにミニトマト以外にも春野菜や冬野菜も植えています。

 営農するにあたって当然、農地が必要ですが、どこか良い土地がないかと阿蘇市に移住してからは周囲に聞きまくっていました。そんな折、ある飲み会の帰りに代行の運転手さんにそんな相談をしたら、「うちの土地が空いとるけん、使ってみたらどうな」と言われ、そこからとんとん拍子に話しが進展し、現在の農地の取得に繋がりました。酔った勢いで聞いたのが功を奏した感じです(笑)。

オーナーの石松秋洋さん
オーナーの石松秋洋さん
農園から見える風景
農園から見える風景

お客さんから「美味しい」と言われるのが何よりの励み

Q. 企業秘密かもしれませんが、美味しいトマトを作る秘訣を教えてもらえますか?

―(石松さん)いえいえ、秘密ではないので大丈夫ですよ。美味しいトマトを作る秘訣、それはズバリ品種ですね。  農家にとって良い品種とは見た目が良く、病気になりにくく、育てやすくて、収穫量を多く見込めるもので、いわゆるF1品種というのが今は主流です。それは、安定的に量を確保できるという面で市場関係者にとっても有り難いかもしれません。ただし、そういった品種が必ずしも美味しいとは限りません。トマトの品種は5,000種類くらいあると言われています。私はそこから自分に合った種を厳選し、仮に育てるのに手間がかかるにしても、味にこだわったトマト生産を信条としています。特に今手掛けている品種は皮が薄いもので、輸送中に皮が破れる比率が高いのですが、そういったリスクも承知のうえで栽培しています。

Q.農業の魅力とは何でしょうか?

―(石松さん)私にとって農業にやり甲斐を感じる瞬間は、丹精込めてつくったトマトを消費者が「美味しい」と評価してくれたときです。  現段階の売り先としては、仲間と共同販売という形でスーパー等に卸す比率が多いのですが、それとは別に「ノウカノセンス」という店舗名で直売所も設けています。リピーターのお客さんがお知り合いを一緒に直売所に連れて来られて、「ここのトマトは美味しいわよ」と勧めてくれたりするのが、作物だけでなくて自分自身も誉められたようで何よりの励みになります。  今後の目標としては、より直売の方に力を入れて消費者の声を出来るだけダイレクトに聞けるようにしたいと思っているところです。

ビニールハウスのなか
ビニールハウスのなか
奥さんの石松由貴さん
奥さんの石松由貴さん

田舎はデジタル化は遅れているが、アナログに強い

Q.これから農業を始めたいという人たちにアドバイスをお願いします。

―(石松さん)まずは「やる」と決めて行動を起すことです。ちょっと無責任な言い方かもしれませんが、私の経験からすると、色々なプロセスを経ずに「営農を始める」というゴールに向かって一足飛びに挑んだ方が良いと思います。その方が「資金、農地、農機具」といった課題も早く解決できると思います。  とにかく、自分が農業を始めたいという地域に飛び込むことが先決です。私は「田舎はデジタル化という点で遅れているけど、アナログにはとても強い」と思っています。(笑)つまり、ネットでその地域の農業について下調べをしても情報を得ることはほぼできません。実際に現地に行って、地元の人たちと接触して知人を得ることが重要だと思います。私が言うアナログとは「人のネットワーク」のことです。トマトのことについて基礎から教えていただいた、私が「先生」と仰ぐ農家さんとの出会いや、農地を見つけたときの逸話はまさしく人の縁によるものです。

 先祖代々、農家を継ぐ人たちはその地に縛られるということがあると思いますが、新規就農者は自分の好きなところで農業を始められるというメリットがあります。  阿蘇は標高が高く平地よりも涼しいということもあり、夏野菜を育てるのに向いています。また、水が豊富なので稲作にも適していますし、大草原での牛や馬の放牧など畜産業も盛んです。

 私が阿蘇を選んだのは、学生時代に阿蘇で農業体験をしたということもあるのですが、自分の実家が海沿いだったため、山が身近にあるという生活に新鮮さを感じたのも理由のひとつです。それと、阿蘇の人たちは良くも悪くも「ゆったり」されているので、それが福岡から来た私にとっては肩の力が抜けて、とても心地良かったということがあります。

いかがだったでしょうか?

 宮崎県出身の奥さん「由貴さん」との出会いも、阿蘇の知り合いの人からの紹介だったそうです。そういうこともあって、石松さんは阿蘇地域での婚活パーティのボランティアを長年続けられています。さらには、お仕事が忙しいなか自治会の活動にも日頃から携われていて、阿蘇のコミュニティの維持に尽力されています。

がっちゃん農園さんの益々のご発展をお祈りしています。

直売所「ノウカノセンス」
直売所「ノウカノセンス」
「がっちゃん農園」ブランド
「がっちゃん農園」ブランド

このプロジェクトの地域

熊本県

阿蘇市

人口 2.40万人

阿蘇市

阿蘇市が紹介する阿蘇市ってこんなところ!

日本中・世界中から多くの観光客が訪れる雄大な自然を有する阿蘇。

朝起きて、目の前に美しい山を眺めながら伸びをしたり、 夜、帰宅し玄関前でふと空を見上げると数多の星たちが輝いていたり、 学校帰りに湧き水を飲んで帰ったり、、、

そんな大自然と共に日々を過ごしています^^ 一緒にカルデラ暮らししませんか^^?

このプロジェクトの作成者

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熊本県の北東部、阿蘇火山とともに暮らすまちです⊂(^_^)⊃

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