【おといねっぷ夢中人カタログ④】砂澤ビッキの魅力をエコミュージアムを訪れる人々に発信したい

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2026/07/22

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【とことん惚れこんだ砂澤ビッキの魅力を、エコミュージアムを訪れる多くの人々に発信したい】

2009年度から総務省が実施する「地域おこし協力隊」は、人口減少や過疎化などの課題を抱える地域を応援するために、都市部から地方へ移住した協力隊員たちが地域活性化に取り組む制度です。音威子府村でも多くの協力隊員が活動しています。

岡山県出身の光森さんは、協力隊として「エコミュージアムおさしまセンター」に勤め、来館者に砂澤ビッキの魅力を発信し続けています。北の大地に来た理由や、ビッキへの熱い思いなどについて聞きました。

取材/2026年3月

アートへの想いと音威子府との出会い

小さな頃から「アート」や「手仕事」が好きだった光森さん。グラフィックデザインを学ぼうと岡山県内の専門学校に進んだものの、すぐに違和感を覚えたといいます。「寸分たがわずっていうのが、どうにも性に合わなくて。細かい作業自体は嫌いじゃないんですけど、何か思ってたのと違うなと」。

芸術系だと思っていた学校は、精密な職人技術の訓練の場でした。「もっと手作り感のあるアートがやりたかったんですよ。アナログな人間なもので」と笑う光森さんは、在学中から自作のアクセサリーをフリーマーケットに出品するなど、手作業の感性を磨いてきました。

卒業後は本格的にアーティストとして活動し、岡山市内の空き店舗を借りて個展やグループ展を開催。アートが盛んな岡山で、地域のアートプロジェクトにも参加しました。生活費を稼ぐためのアルバイト先では「カフェの装飾とか新メニューの提案もしていました。ちょっと滞っている場を動かすのが好きで」という性格が、後の地域おこし協力隊の稼働につながっていきます。

母校の高等課程で生徒に造形を教えたり、瀬戸内海の島々を舞台に開催される「瀬戸内国際芸術祭」の犬島会場で来場者の案内業務を担当したことも。アートを創る自分と、アートを教える自分、アートを伝える自分——光森さんにとって、それらの経験をすべて生かせる場所が音威子府村でした。

地域おこし協力隊という制度に興味を持ったのは30代に入ってからのこと。インターネットで探しはじめた光森さんですが、1年以上かけても思うような募集情報が見つかりませんでした。「ものづくり系の求人は【林業+ものづくり】がほとんどで、林業がメインなんです。体力的にも厳しいし、自分の方向性とも合わなくて」。

そんな中、地域移住マッチングサービスの「スマウト」で見つけたのが、音威子府村のエコミュージアムに関する情報でした。「ギャラリーの魅力化・管理という仕事内容が書かれていて。そんな仕事は全国探してもありませんでした」。

実は光森さん、北海道にはもともと興味があったそう。「動物が大好きで。北海道には『ムツゴロウ王国』がありましたよね。私、ファンクラブにも入っていて、一度来たことがあるんです」。ムツゴロウこと畑正憲さんがいた北海道に住んでみたい——そんな思いを抱く光森さんが募集の詳細を調べると、「砂澤ビッキ」という名前が出てきました。

「ビッキって誰?」最初はそう思った光森さんですが、調べれば調べるほど、ビッキの人間としての面白さに引き込まれていきます。「自然とともにあること、風化も美であること、人間が特別ではないという考え方。なんかギラギラした人間臭さがある、昔の文化を作ってきた人たちの匂いがする作家だなって」。

中でも好きなエピソードがあります。ビッキの作品を札幌の美術館に運ぶ途中、スタッフのタバコの不始末で作品の一部が燃えてしまったのです。誰もが青ざめる中、ビッキは「これもかっこいいからそのまま飾ろう」と言って、何事もなかったように展示に臨んだそうです。「かっこよくないですか!? その懐の大きさというか、作品への自信というか、そこに惚れたんですよね」と、光森さんは推しの魅力を熱く語ります。

言葉にならない感動を目の当たりにできる喜び

協力隊に応募し、その面接で「縁もゆかりもない北海道で大丈夫ですか」と心配された光森さんは、「どこでも生きていけるタイプなので大丈夫です」と笑い飛ばしました。2024年4月に着任。現在の仕事は、エコミュージアムの開館中はギャラリーの受付と来館者への案内、閉館後は翌年の企画立案や広報誌「3モア通信」などの情報発信業務です。

来館者の中には、アイヌのルーツを持つ人々や、アイヌ文化に関心を持つ作家も多いそう。ビッキ自身はアイヌの血を引きながらも「現代彫刻の作家として評価してほしい」というスタンスで、アイヌ文化だけでは語れない存在です。光森さんは「去年、阿寒湖を訪れたときにも、地元のアイヌ作家がビッキさんのことを『あの人は別格だから』と言っていました」と語ります。

国道沿いの音威子府を通過する途中でたまたま立ち寄る人も多いそうです。光森さん曰く「この近辺で検索して、Googleマップで高評価をされているから来てみたという人がけっこう多いですね。Googleマップに負けないくらいに情報を発信していかなければ」。

仕事で最もやりがいのある瞬間は、来館者が言葉にならない感動を見せてくれる時だそう。「エネルギーを感じると言う方、怖すぎて中に入れないっていう方や、アトリエで涙を流される方も。そんな姿に触れると、めちゃめちゃいいって思います」。

これからも血が通う、体温がある場所であってほしい

エコミュージアムの最大の特徴は、ビッキが実際に暮らし、制作したアトリエがそのままギャラリーになっていること。特にアトリエは、「通路から入った瞬間に、みんな『おおっ』って言いますから」。ビッキが最晩年を過ごしたその部屋は「ビッキさんにとっても特別な場所だったと思いますよ。そこに入ると、今でも何か残っている感じがして」。

その場所の魅力をさらに引き出しているのが、エコミュージアムの名誉館長・河上實さんの存在だと光森さんは言います。「ビッキさんの親友であり、最大の理解者で、一番側にいてワクワクしていた人ですから。ビッキさんと河上さんの関係は、永遠に続いていくような気がします」。

エコミュージアムの未来について、「美術品としての価値はどんどん上がっていくと思いますが、管理が厳しくなりすぎてはダメだと思います。血が通うような場所、体温がある場所でなければ」と語る光森さん。「昔みたいに、ビッキさんのことを語り合い、河上さんと雑談しながら、誰かがものを作ったりする。そういうワイワイした場所だったらいいですよね」。

素朴なままの筬島地区に、ポツリと佇む「エコミュージアムおさしまセンター」。光森さんが理想とする、アートと人の記憶が宿る場所です。「中川研究林には、ビッキさんが愛したアカエゾマツの大木“ビッキの木”があります。毎年秋に行われる散策会は、ビッキの木に会いに行ける年に一度のチャンスなんです」と語る光森さん。エコミュージアム見学も散策会のコースに入っているので、興味のある方はぜひご参加を!

このプロジェクトの地域

北海道

音威子府村

人口 0.06万人

北海道音威子府村が紹介する音威子府村ってこんなところ!

北海道のほぼ中心に位置する旭川市と、最北の稚内市のほぼ中間に位置するところに、人口が600人ほどの北海道で1番小さな村(おといねっぷ村)があります。

過疎最先端地で人口は少ないけれど、その分唯一無二な地域資源(人・文化・鉄道・村立美術工芸高校・木工・芸術などなど)が沢山あります。どこの地域よりもスピード感があって、おもしろいことに敏感で、能動的でチャレンジできる方を求めている地域です。

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