祖先の縁、島の温もり——伊江島で始まる新しい観光

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2026/11/02

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伊江村(伊江島)は、沖縄本島の本部半島から北西約9kmに浮かぶ周囲約22kmの離島です。本部港からフェリーで約30分と、本島から気軽に訪れられる距離にあります。人口は約4,200人。北海岸の断崖と南海岸の砂浜が対照的な景観を形づくり、島の中央には標高172mの城山(グスクヤマ、別名タッチュー)がそびえます。サトウキビ、島らっきょうに菊栽培や伊江牛などの第一次産業が盛んです。一方、1945年の沖縄戦では激戦地となり、戦後は「ぬちどぅたから(命こそ宝)」を掲げた土地闘争の舞台にもなりました。そんな伊江島で地域おこし協力隊として活動する名嘉元拓磨さんと都留彩花さんに、伊江島に来た経緯とこれからの観光振興について教えてもらいました。

自身のルーツから孫ターンを決意

 東京出身の名嘉元さんは、神奈川で沖縄料理屋を経営していました。お店は地域に愛され軌道に乗っていましたが、コロナ禍で飲食店は休業を余儀なくされ、自分の生き方を見つめなおすキッカケに。その頃、自身のルーツである伊江島に関わることがしたいと思い始め、伊江島の地域おこし協力隊として赴任しました。実は名嘉元さんの祖父は伊江島出身、高祖父は村長も歴任されたという功労者だそうです。

「島には自分の祖父の事を知る人達もいるので、そういった意味では祖先のお陰もあってか、移住者でありながら身近に感じてもらえていると思います」

 名嘉元さんは2026年5月より地域おこし協力隊として伊江島観光協会を拠点に活動しており、新規島内観光プランの造成や新たな観光事業の展開に取り組んでいます。業務外でも、地域行事に積極的に参加し、伊江村陸上競技大会には地域を代表して選手として出場、国重要無形民俗文化財である「伊江島の村踊」の演目「国頭サバクイ」には踊り手としてイベントなどに出演しており、公私ともに地域に密着した生活を楽しんでいます。

国頭さばくい(左から2番目が名嘉元さん)
国頭さばくい(左から2番目が名嘉元さん)
ブランコが印象的な伊江ビーチ
ブランコが印象的な伊江ビーチ

金融業から伊江島の観光振興へ

 福岡県出身の都留さんは、金融業界での勤務を経て、2026年7月に伊江村地域おこし協力隊として着任しました。転機となったのは、休暇を利用して訪れた沖縄旅行でした。沖縄を訪れるうちに、都会で仕事に追われ、ストレスを感じながら暮らす日々に違和感を覚え、沖縄への移住を考えるようになったといいます。沖縄で暮らすなら、地域の人々や文化に深く触れられる仕事がしたい。そんな思いから、伊江島の地域おこし協力隊に応募しました。   「沖縄の文化を知れる場所で暮らしたいと思いました。年齢を重ねると新しいことに挑戦するのも難しくなるかもしれないと思って、今しかない!と思いました」

 都留さんは観光協会での活動に加え、国の重要無形民俗文化財に指定されている「伊江島の村踊」にも関わり、演目の一つである「日傘踊り」に踊り手として参加しています。地域の文化を知るだけでなく、自らその伝統を受け継ぐ一員として、島での新たな挑戦を続けています。

「島の人がとても優しいんです。この前も、観光で訪れていたお子さんの肌に湿疹が出てしまったことがあって。そのとき、地元の方が自宅のシャワーを使わせてくれて、着替えまで貸してくださったんです。そうした島の方々の温かい人柄にも支えられて、伊江島での暮らしを送ることができています」

 着任するまで伊江島を訪れたことがなかったという都留さん。初めての島暮らしの中で、島の人々の温かさに何度も支えられてきたといいます。

日傘踊りの衣装を纏った都留さん
日傘踊りの衣装を纏った都留さん
島のビーチからの風景
島のビーチからの風景

島と共に歩む未来

 そんな伊江島地域おこし協力隊の二人の活動で、少しずつ成果も生まれてきていると言います。

 伊江島観光協会の公式Instagramの新規立ち上げやホームページのリニューアルに携わり、観光協会の会員も10社以上増加しました。伊江島は民泊が盛んな地域で、島の人が家族のように迎えてくれる温かいサービスが好評ですが、歴史ある民泊の継承や発展だけではなく、地域の資源を活用した観光パッケージの造成が期待されています。  名嘉元さんは県内でも有数のロケーションにあるキャンプ場を活用した観光プランを考えており、島外から少年野球などのスポーツ合宿の受け入れにキャンプ場を活用するというものです。キャンプ場の稼働率も上がり、更に宿泊施設の空きがない繁忙期の対策にも役立つことが見込めるため、最優先事項として取り組んでいます。  都留さんはアスリートフードマイスターという資格を活かして、スポーツと観光とを掛け合わせた新しいパッケージを考えています。また、飲食店が閉まっている時に観光客向けの、軽食や弁当などを提供することも思案しています。

 これまでの経営者としての経験を活かし、新しいことへの挑戦に前向きな名嘉元さん。若い感性とこれまで取得した資格やこれまでのノウハウを活かして、新しい観光分野を開拓する都留さん。伊江島の新たな観光事業の飛躍に期待が高まります。

左:名嘉元さん、右:都留さん
左:名嘉元さん、右:都留さん

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