【移住そして新規就農】　地域おこし協力隊を通して豊かなセカンドライフ

〜55歳からの挑戦〜

1年で7名の新規就農者が移住した温泉地 ここ石川県加賀市には2024年度にわずか1年で7名の新規就農者が移住されました。 この記事は、その中の1人である稲本昌丞さん(当時55歳)の挑戦の記録

〜第二の人生を “土” から描く〜　

『果樹とジビエと、加賀のある暮らし』 朝露に濡れた果実の香りで目覚める日々。 白山の稜線が空に溶け込み、朝日に照らされた果樹が静かに輝く。 この風景の中で、2025年2月に石川県加賀市山代温泉に移住した稲本昌丞さんは 果樹栽培と狩猟の二つに挑戦している。

かつて奈良県で整骨院を経営していた稲本さん。 いつしか都市の喧騒と施術室という閉ざされた空間での毎日の繰り返しに、次第に息苦しさを感じるようになったという。 そんなとき、このスマウトがきっかけで訪れた加賀で出会ったのが、「果樹を育てる人々」と「広大な加賀の風景」だった。 「この場所なら、自分の手で半農半猟という夢を実現出来るに違いない」と感じた稲本さんは、2025年2月に移住。 現在は地域おこし協力隊として活動しながら、「加賀フルーツランド」でイチゴやぶどう、ブルーベリーの栽培を学んでいる。

〜土に触れ、季節を色で感じる日々〜

農業の現場は穏やかな感じだが、自然を相手に実際には厳しさも多い。 特に北陸の冬は冷たく、雪に埋もれた果樹の前で立ちすくむ日もあるが、 待ち遠しかった春が来ると、りんごの赤い花や、ぶどうの緑の新芽などで畑に色が戻ってくる。 「四季の移ろいを肌で感じられるのが嬉しいですね。果樹とともに、自分も自然と共存して生かされている感じがします」と稲本さんは語る。

〜温泉と人のぬくもりが、明日の力になる〜

移住後の暮らしは、想像していたものとは違い 慣れない作業や気候、生活の変化に戸惑うことも多かったと話す。 そんな疲れた稲本さんの体を支えているのが、地元の温泉『山代温泉総湯』 「湯けむりの中で地元の人との触れ合いや、大好きな『温泉』で、1日の疲れもリセットされ、明日の活力へとなるんです」と笑う。

〜果樹とジビエ、そして風景のある場所〜

稲本さんのもう一つの取り組みが「ジビエ」だ。 果樹栽培で、イノシシなどによる農産物被害は深刻な問題。 さっそく今年７月に「わな」と「猟銃」二つの狩猟免許を取得する予定で 「ジビエは対策ではなく、“恵み”として命を美味しくいただき、全てをカタチとして生かしたい」と意気込む。

現在の夢は、ブルーベリー観光農園を立ち上げ、果物狩りと地元のフルーツを楽しめる場所を加賀に根づかせ、そこで果樹とジビエのコラボレーションによる食体験も提供する。 加賀でこそ実現できる、“風景を味わう空間” を作り観光客や地元の人に楽しんでもらいたいんです」と語ってくれた。

最後に稲本さんが働く「加賀フルーツランド」では、就農や移住に関心のある人の見学も歓迎している。 「農業は自分が想像していた何倍もの困難があります。それでも自分の手で季節を感じられるこの暮らしには、代えがたい魅力があります」と語る。

次の人生に、新しい風景を求めているみなさんへ―― その一歩を、私と一緒に加賀の土から踏み出してみませんか。 未来をこの加賀の地で、私たちの手で一緒に耕す。

　　　　　　　加賀市地域おこし協力隊　　稲本昌丞

加賀市農園見学プログラムへの参加も随時受け付けています。 https://kaga-teiju.jp/archive157/ 興味あるボタンも押してくれると嬉しいです。