帰れる場所は、ひとつじゃない　−　トルコギキョウ　−

福島県北東部にある川俣町。 春から夏にかけて、田畑の中を歩くと、温室の中で咲き誇るトルコギキョウの花に出会います。 淡い色合いの花びらが風に揺れ、ひとつひとつが丁寧に育てられているその姿は、町の穏やかさそのものです。

今回ご紹介するドキュメンタリー動画「帰れる場所は ひとつじゃない - episode 2 -」には、 この町で長く花づくりに携わるトルコギキョウ農家の方々が登場します。

朝の光を受けながら花を選び、気温や湿度を確かめ、 季節ごとに表情を変えるハウスの中で、花を“育てる”というよりも“ともに生きている”ような姿。 映像には、職人としての誇りや、自然と向き合う謙虚なまなざしが映し出されています。

彼らの手仕事には、「日々を積み重ねる」ことの確かさがありました。 天候に左右される不安、出荷までの緊張、そして花が咲いた瞬間の喜び。 その一つひとつが、花づくりという営みを超えて“暮らしそのもの”になっています。

動画の中で印象的なのは、地域との距離の近さです。 作業の合間に交わされる何気ない会話や、季節の移ろいを共に感じる時間。 それらがこの町の魅力を、静かに、けれど確かに伝えています。

そんな川俣町では、今、花づくりを通して地域と関わる地域おこし協力隊を募集しています。 すでに活躍している農家さんのもとで学びながら、次の世代にトルコギキョウの栽培技術をつなぐ。 “花とともに生きる暮らし”を、自分の手で紡いでいくような仕事です。

都会のスピードから少し離れ、季節と呼吸を合わせるように働く。 土の温度、朝露の匂い、花を包む空気の柔らかさ。 そんな日々の積み重ねの中にこそ、“帰る場所”を見つけられるのかもしれません。

帰れる場所は、一つじゃない。 あなたの「これから」が咲く場所が、川俣町で見つかりますように。