【セカンドキャリア×気仙沼】一歩踏み出すキッカケが見つかった2日間

2025年10月、「セカンドキャリアの聖地」を目指す気仙沼で開催されたセカンドキャリアを考える方を対象としたフィールドツアー。滞在するなかで強く感じたのは、この街には“人を自然に受け入れる土壌”と“未来に向けたワクワク感”があるということでした。

気仙沼は日本有数の漁業のまちであり、古くから日本各地、そして、海外からも多くの漁船を受け入れ、外の人との交流を日常としてきたまちです。東日本大震災後には多くのボランティアの方々が復旧・復興に携わり、そのなかで「外の力を柔軟に受け入れる文化」がより育まれていったように思うというお話も地域の方から伺いました。

ツアーでは事業をされる方々にたくさんお会いしましたが、どの方も未来を見つめ、真摯に課題に挑戦されている姿が印象に残っています。本音で話し、参加者から出された意見にも真剣に耳を傾けてくださる姿勢に、「外からの視点を必要としてくれている」「自分の経験も役に立つのでは」と感じた参加者は多かったようです。

一方で、地方ならではの静かな時間を楽しまれた方も多かったようです。いつもと違うゆるやかな空気の心地よさが本当の自分を洗い出していくような非日常感を味わえるのも地域のよさなのかもしれません。

また、セカンドキャリアへの出発という視点でみると、地域でサポートする仕組みがしっかり整っている点も気仙沼の特徴です。気仙沼ビズのような起業や事業サポートのための公的な無料相談窓口があり、事業者と外部人材をつなぐ機能も充実しています。ツアー参加者からは「気仙沼では関係人口を増やすために関係者が協力して様々な形でサポートする体制があることが分かった」という声があり、地域外からの人材を歓迎し、受け入れるためのサポート体制を整えて行こうという姿勢は自然と伝わったようです。

「気仙沼には活躍できる“余白”があると聞いていたが、そのイメージがわかった」という声もありました。誰かの席を奪うのではなく、これまでのスキルや経験、もしくはチャレンジの気持ちを持った人を待っている“余白”、つまり“場所”や“ポジション”が気仙沼にはたくさんあるということです。

関わり方は、プロボノや副業、業務委託でのプロジェクト参画、さらには転職や移住まで幅があります。最初は遠隔で週数時間だけ関わる人もいれば、通ううちに自然と移住を選んだ人や、地元で小さな商いを始めた人もいます。「まずはできる範囲から関われるのが良い」「無理なくチャレンジを試せそう」といった声が寄せられており、気仙沼の懐の深さが伺えました。

今回のツアーは、単なる視察ではなく、地域の日常や価値観に触れる時間が多く設けられていました。そのため、「ここで暮らしたらどうだろう」「自分の経験はどの場面で役に立ちそうか」といったイメージが自然に浮かぶ参加者も多かったようです。「考えるきっかけになった」「具体的な関わり方が想像できた」というコメントが見られ、訪問が一過性の体験にとどまらない意味を持っていたことがうかがえます。実際に、このツアーをきっかけにすでに気仙沼での転職や副業、プロボノスタートを決められた方もいらっしゃるようです。

気仙沼は、大きな決断をしなくても“小さく関わる”ことから始められる場所です。「働き方や暮らし方に少し余白を持ちたい」「これまでの経験をどこかで還元したい」と感じている人にとって、自然体で関わりを育てていける土地だと思います。