
沖縄への恩返しがしたい。スポーツで石垣島の未来をつくる地域おこし協力隊の挑戦
公開日:2026/06/29 03:56
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2026/06/29沖縄本島から遥か南西へ約400km。八重山諸島の中心、石垣島。透き通る海と亜熱帯の豊かな自然が広がるこの島は、多くの人々が「楽園」と称します。しかし、この楽園は、ただ自然が与えてくれたものではありません。古くからこの地で暮らし、自然と共生しながら文化を育んできた先人たちの知恵と努力によって、今の魅力が形作られてきました。
伝統的な石垣の家並みが残る集落を歩けば、時の流れが止まったかのような感覚に包まれます。島の祭りや行事、そして脈々と受け継がれる「トゥバラーマ(叙情歌)」には、過酷な自然の中で生き抜いてきた人々の喜びや悲しみ、祈りが込められています。これらに触れることは、単なる観光を超え、この島の精神に触れることにつながります。
石垣島は、世界クラスの絶景と、満天の星が降り注ぐ夜空という、現代的な魅力に加え、悠久の歴史と人々の営みが息づく、深く、そして温かい感動を与えてくれる場所です。
そんな魅力あふれる石垣市で2024年から地域おこし協力隊として活動する新見 弘基(しんみ ひろき)さんを取材してきました。
石垣島との出会いと、地域おこし協力隊になった経緯
新見さんは東京生まれ東京育ち。高校までは東京で過ごし、サッカーに打ち込む日々を送っていました。大学進学のタイミングでは海外でサッカーに挑戦することも考えていましたが、「まずは大学を卒業してほしい」という家族の思いもあり進学を決意。せっかくなら新しい環境に飛び込もうと、縁もゆかりもなかった沖縄へ渡り、沖縄大学に進学しました。
大学時代は、一人暮らしやアルバイトなど、多くのことが初めての経験でした。不安もありましたが、友人や先生、地域の人たちに支えられながら学生生活を送り、「沖縄で過ごした時間が今の自分をつくっている」と感じるようになります。
卒業後は東京へ戻り、営業職やサッカークラブの運営・指導に携わりました。子どもたちへの指導やスポーツイベントの企画運営などにやりがいを感じる一方で、「いつか沖縄に戻って恩返しがしたい」という思いは消えませんでした。
そんな中で見つけたのが、石垣島*スポーツコミッションの地域おこし協力隊募集です。「スポーツを活用した地域活性化」というテーマが、それまでの経験と重なり、「自分だからこそ挑戦できる仕事かもしれない」と感じ応募し、無事採用。石垣島スポーツコミッションの地域おこし協力隊として、スポーツを活用した地域活性化事業の企画・運営を担当することになります。
*スポーツコミッションとは… スポーツを通じて地域への訪問者を増やしたり、住民によるボランティアや運動機会の創出など、スポーツを通じた活動を行うことで、地域に交流が生まれ、活性化に繋がる「スポーツツーリズム」を推進するため、地方公共団体、スポーツ団体、民間企業等が一体となった組織の総称です。


スポーツを通じて地域課題の解決に挑戦
着任当初からスポーツコミッションの仕事を理解していたわけではありません。これまでサッカー指導やスポーツイベントの企画・運営には携わってきましたが、スポーツコミッションという組織の役割や、地域資源を活用したスポーツによる地域づくりについては知識も経験もありませんでした。
特に、協力隊の任期終了後を見据え、「スポーツコミッションをどのように自走できる組織へ育てていくのか」ということについては、何から考えればよいのかも分からない状態でした。
そんな中で出会ったのが、九州でスポーツコミッションの運営に携わる元地域おこし協力隊の方です。自分と同じ立場を経験してきた先輩に、事業の考え方や地域との関わり方、組織づくりの進め方などを一から教えていただきました。
その学びと支えがあったからこそ、現在は地域課題の解決につながるさまざまな事業に挑戦することができています。改めて、人とのつながりや学び続ける姿勢の大切さを実感しています。
活動の中でも特に力を入れているのが、AIカメラを活用した遠隔スポーツ指導です。離島では専門的な指導者が不足している競技も多く、子どもたちが質の高い指導を受けられる機会に地域差があります。
そこで、試合や練習をAIカメラで撮影・配信、島外の指導者からオンラインで指導を受ける仕組みづくりに挑戦しています。現在はハンドボール競技を中心に実証を重ねており、試合と振り返りを組み合わせることで、子どもたちがその場で学びを実践できる環境づくりを進めています。
この取り組みを含むスポーツを活用した地域づくりの活動が評価され、石垣市はスポーツ庁が実施する「スポまち!表彰」を3年連続で受賞しています。
また、「アルバイト×スポーツ合宿」という取り組みにも力を入れています。これは、島外から合宿に訪れる学生が地域でアルバイトをしながら滞在する仕組みで、学生の経済的負担を軽減するとともに、地域の人手不足解消にもつなげる取り組みです。航空券や宿泊施設、練習会場、アルバイト先の調整・サポートを行い、地域と学生双方にメリットのある仕組みづくりに取り組んでいます。
そのほかにも、スポーツフェスティバルの企画運営や海外チームとの交流事業、人工ビーチを活用したスポーツイベントの企画など、スポーツを入口にした人と地域をつなぐさまざまな事業を展開しています。
新見さんが活動を通じて大切にしているのは、「スポーツをすること」そのものではなく、「スポーツを通じて地域課題を解決すること」です。スポーツが持つ力を活かしながら、人と地域をつなぎ、新しい価値を生み出していきたいと考えています。


石垣島の未来につながる仕組みをつくりたい
協力隊として活動する中で感じているのは、地域づくりに近道はないということです。人とのつながりを一つひとつ積み重ねながら、地域の信頼を得ていくことが何より大切だと実感しています。
だからこそ今後は、単発のイベントを増やすだけではなく、協力隊の任期終了後も続いていく仕組みづくりに力を入れていきたいと考えています。
現在取り組んでいる遠隔スポーツ指導や合宿事業も、将来的にはスポーツコミッションの自走化につながる事業へ育てていくことが目標です。スポーツを通じて人が集まり、地域経済が回り、子どもたちの成長機会が増えていく。そんな持続可能な循環を生み出していきたいと思っています。
また、子どもたちがスポーツに触れる機会をさらに増やしたいという思いもあります。離島だからできないのではなく、離島だからこそ実現できる新しいスポーツ環境をつくり、子どもたちの可能性を広げていきたいと願っています。
将来的には、スポーツを軸に地域のさまざまな分野と連携しながら、石垣島ならではの魅力を発信していくことも目標の一つです。
「石垣島からJリーガーを出したい」
「沖縄への恩返しがしたい」
その思いを原点に、スポーツを通じた地域づくりへの挑戦はこれからも続いていきます。
石垣市においても新見さんは唯一の存在です。沖縄県内でもスポーツ分野で活動する地域おこし協力隊は、新見さんただ1人。手探りの環境の中で、自らできることを模索しながら挑戦を続けてきた結果、その活動はスポーツ庁からの表彰や大学での講演、大阪・関西万博での登壇へとつながっています。
スポーツを通じて地域の未来をつくる。その挑戦がこれからどのような広がりを見せていくのか、今後の石垣島スポーツコミッションの活動に注目です。
写真提供:新見弘基 取材日:2026年6月9日 山田


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沖縄県全体
人口 146.82万人
おきなわ島ぐらしが紹介する沖縄県全体ってこんなところ!
エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。
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石垣市
人口 4.76万人
このプロジェクトの作成者
沖縄移住に向けた情報発信 沖縄県では、沖縄県移住応援サイト「おきなわ島ぐらし」において、沖縄移住・沖縄暮らしの「今」を発信しています。移住相談会や移住体験ツアーなどの開催案内をはじめ、『住む』『働く』『支援』『子育て』『医療』5つのカテゴリー別に支援機関などの紹介を行っているほか、市町村の生活環境や移住定住に活用できる支援制度の情報など、沖縄移住の情報収集に役立つ情報を掲載しています。



















