【後編】連載:大津な想い人 #03 尾中克行さん(百町物語代表理事)

読みもの

公開日:2025/10/06 05:33

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2025/10/08

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立命館大学X旧大津公会堂企画 滋賀・大津。ここは、ヒトがまちに恋し恋され、自分なりの愛情でまちと歩む「恋するまち」。本シリーズでは、縁あって大津に出会い、それぞれのやり方で大津に携わる「大津な想い人」へのインタビューをお届けする。

今回は、前回に引き続き(株)百町物語の代表理事・尾中克行さんに「大津への想い」と地域再生へのヒントに迫る。

◇あの頃の賑わいをもう一度◇

――街を活性化させたいというのは、昔の商店街やまちのにぎわいを取り戻したい、という思いなのでしょうか? 尾中:そうですね。子どものころの商店街は本当に賑やかで、買い物をするたびに圧倒されたものです。ナカマチ商店街に行くときは少し良い服を着て出かける場所で、欲しいものが何でも揃っていました。それだけに今でも強い愛着があります。

――昔の賑わいを知っている尾中さんだからこそ、今の商店街に足りないと感じるものは何でしょうか? 尾中:一番は、商店街の人たちが本気でまちを元気にしようと動く姿勢ですね。危機感を持ち積極的に取り組む人もいれば、収益源が別にあり現状維持を選ぶ人もいる。その意識の差が大きいのです。

――そうした意識の差をどう埋めようとされていますか? 尾中:同じ思いの人たちと一緒に動いていますが、限界も感じます。商店街を本当に活性化させるには莫大な資金と「こう進めていく」という明確なビジョンが必要だと思います。

◇豊かさが挑戦を鈍らせる◇ ――まちを変えるビジョンとは? 尾中:例えば大津の本陣や大津城を再建するだけでも大きく変わるでしょう。長浜や近江八幡のように歴史資源を観光資源化した例があります。長浜城は戦後に建てられましたが、今では人を呼び込む拠点になっています。八幡堀もどぶ川から人気スポットに変わった。そうした力はすごいと感じます。

――では、なぜ大津では進まないのでしょうか? 尾中:大津は財政的に豊かだからです。長浜や近江八幡は人口減少の危機感から挑戦を進めましたが、大津はベッドタウンとして人口が増えた経緯があり、その豊かさが逆に動きを鈍らせています。本来、大きな変化には民間資本が不可欠ですが、大津ではほとんど投下されていません。

――つまり今は民間の力が入りにくい状態なのですね。 尾中:そうです。もし商店街に人を集めたいなら、インフラ整備に加え、街区ごとにコンセプトを設けて外装や景観を統一する必要がある。そうすれば観光客は増えるはずですが、現状では資本投下がなされていません。

◇行政は“後から”ついてくる◇ ――行政を動かすには市民の小さな成果が重要でしょうか? 尾中:行政は「絶対に成功する」と確信できなければ動きません。けれど民間は可能性があれば資金を出す。だからこそ資金を投じるオーナーを見つけることが大切です。百町物語では芝田さんが自ら資材を投じて動いたから、周囲もついてきて資金も集まり、実績ができた。そこで初めて行政が後から動いたんです。行政は市長がやり手でも議会で止まることが多く、結局は市民発の動きが先に必要です。

――芝田さんのような実業家的存在が初動の機動力になるわけですね。 尾中:大きいです。今ではたねやさんなども積極的で、民間の熱と資金が行政を動かす“最初の火”になるんです。

◇遊び心と真剣さを次の世代へ◇ ――最後に「大津を想う」とは? 尾中:私は大津で生まれ育ち、祖父の代から数えて三代です。東京で生活した時期もありましたが、最後はやはりここに戻った。それだけ強い愛着があります。だからこそ行政に頼るのではなく、市民や商店主が自ら動くことが大切だと思う。閉じた社会ではなく、自由に意見を言える場であり続けてほしい。そして私たちだけでなく若い世代にバトンを渡したい。遊び心と真剣さを併せ持つ人が未来の核になると信じています。

私にとって「大津を想う」とは、子どものころ胸に刻んだにぎわいと人とのつながりを原点に、地域への愛着と責任を次の世代へつなぎ、新しい形で未来に息づかせていくことです。

このプロジェクトの地域

滋賀県

大津市

人口 34.06万人

大津市

特定非営利活動法人BRAHart.が紹介する大津市ってこんなところ!

大津市は、比良・比叡の山並みとびわ湖に代表される自然と、様々な歴史の舞台となった豊かな文化財を有する歴史と文化に彩られた都市です。  滋賀県の県都として、市外の方からも評価をいただき、現在も転入超過※を続けている「選ばれるまち」です。

このプロジェクトの作成者

プロフィール画像

「障がいがあろうとなかろうと、好きなこと得意なことを仕事にして精一杯生きる」をモットー2014年設立。大津市瀬田地域を中心に、「社会を楽しくするのが福祉のミッションだろ!」を合言葉に、近江國一之宮建部大社の朝市や、石山寺縁日の運営に携わったり、近隣の子ども達への学習支援ブレイクスくール、滋賀の食材とアーティストを応援するcafe&galleryspoonsの経営など、社会から支援される側から、支援する側にまわる活動を続けている。

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