農家さんのやる気を引き出す菜園ビュッフェレストラン「マネージャー（店長）」＠長野・豊丘村

豊丘村は、温暖な気候と豊かな段丘地形を活かし、春にはタケノコ、夏は桃、梨、ぶどう、秋はりんごや松茸、冬は市田柿（干し柿）や苺、源助かぶ菜など、季節ごとに様々な果実や作物が実り、農業が人々の暮らしを支えてきました。 一方で、山間地特有の段丘地形ゆえに一軒あたりの農地は小さく、大規模出荷には向かないため、自家消費や近所へのおすそ分けで終わる野菜も多く、中にはせっかく作っても誰にも食べられずに廃棄されてしまうこともあります。

そんな豊丘村の主産業である農業を支え、次世代につないでいくためには、小規模農家や兼業農家が適正な価格で野菜を販売でき、しっかり収入を得た上でやりがいを持って農業に取り組める仕組みが必要です。

そのための第一歩として始まったのが、菜園ビュッフェレストラン「VEGE-FULL KITCHEN（ベジフルキッチン）」です。 2023年に「道の駅 南信州とよおかマルシェ」内にオープンしたレストランは、村内外の100軒以上の農家と提携し、旬の野菜や果物を毎日約30種類仕入れています。

レストランが形や大きさに関係なく仕入れられる仕組みをつくることで、農家の販路拡大と安定した収入につながっています。

訪れるお客さんの「おいしい！」という言葉が、農家のやる気と誇りを生み出す――。 この小さな循環こそが、豊丘村の農業の未来を支える大きな力になっています。

VEGE-FULL KITCHENでは、キッチンスタッフが仕入れた旬の野菜を一番美味しい食べ方で料理に昇華させ、ホールスタッフがお客様からの感想や反応を収集、地産地消コーディネーター（仕入れ担当）が旬の野菜を農家さんから仕入れるとともに、お客様からの反応を農家さんへフィードバック。消費者から農家さんまでの流れを作り出しています。 この取組みによって農家さんの意識も変化しており、オープン当初は「家庭で作ったようなこんな野菜じゃ人様に出せない。」「たくさん野菜が採れたからもらってくれないかな。」といった声だったのが、今では「次はどんな野菜を作ったら喜ばれるかな？」「この時期に欲しい野菜はどんな野菜かな？」と、農家自らがニーズを探るようになりました。 これは、大きな変化でこれまでの「プロダクトアウト」から「マーケットイン」に意識が変化知ってきている証拠です。 農家さんのやる気とは、消費者の評価がダイレクトに伝わり、誰かのために作物を作るという気持ちになることが大きなきっかけになります。

現在は、このような取組自体が官公庁からも高く評価され、視察や講演依頼、テレビ放送など話題のレストランに成長しています。

このような取組みをレストランのそれぞれの役割に就くスタッフに理解してもらいながらレストラン業務を通じて推進していくのがマネージャー（店長）の役割になります。

必要なのはビジョンを描ける想像力とチームをまとめるリーダーシップ、そしてビジョンに向かって突き進む推進力と野心です。

地域おこし協力隊としての活動の任期は最長でも3年間。

この３年という短い期間でできることはそう多くありません。この期間で豊丘村を知り、暮らしている人（農家さんも含めて）から信頼を得られる人物になってください。 今現在与えられたミッションを地道に取り組むことで周りの人たちの信頼が得られます。 まずは、与えられたミッションを推進してください。 ただ、就任初日からマネージャー（店長）の任務を与えることはしません。 まずは、レストランの通常業務を把握し、自分なりに良い点・悪い点を探ってみてください。 日々の仕事へ取り組む姿勢からまずはレストランスタッフの信頼を得てからマネジメントの仕事を徐々に行っていただきます。

どんな能力を持った人でも、仲間に信頼されなければ能力の持ち腐れになってしまいます。忍耐強く、地道にスタッフや周りの人からの信頼を得てください。

マネージャーというとすべてのことを把握してしっかり者が行うイメージを持たれるでしょうが、求めている人材は「ふんわりマネージャー」。 スタッフや農家さんとよく話し、誰が何を求めているのか、何に対して不満を持っているのかを聞き出すことのできるコミュニケーション能力が高い人材を求めています。 スタッフも農家さんも、その仕事を行っている理由は人それぞれで関わり方も千差万別。 こうした人々の意見をしっかり聞きながら、レストランのビジョンに当てはめ、バランスを取りながら推進できる柔軟な方が必要です。

難しいミッションだからこそ「やりがい」や「成長」が見込める内容です。 自分自身の成長や日本の農業の未来のために自分を試したいという方は是非お待ちしています！