
高校生がつくる“放課後の居場所”ー 山梨県モデル事業「放課後 cafélab」
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2026/03/27放課後、制服のまま寄れる場所があったら。 家でも学校でもない。けれど、「ここにいていい」と思える場所が、もし当たり前にそこにあったなら——。 かつてのような子どもたちの遊び場が減り、共働き家庭も増えるなかで、中高生が地域の中で過ごせる場所は少しずつ減ってきています。近年、新宿・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる場所に居場所を失った若者が集まる現象が社会問題として取り上げられるなど、「中高生の居場所」は全国的な課題として注目されています。 そんな場所を、高校生自身の手でつくろうとしたのが、山梨県のモデル事業「放課後 cafélab」です。 舞台は、イオンモール甲府昭和の一角と、昭和町にある日蓮宗の寺・妙福寺。 「放課後 cafélab」事業では、 行政、企業、僧侶、地域クリエイターが伴走するなかで、中高生たちは自分たちの居場所をゼロから考え、企画し、運営してきました。 しかし、その道のりは決して順調なものではありませんでした。 受験との両立、メンバー同士の温度差、「そもそも居場所とは何か」という問い。 その答えを、高校生も大人も持たないまま、迷いながらも、高校生たちは半年間の活動を続けてきました。 活動の舞台裏や葛藤、そして確かな手応え。 高校生の言葉のひとつひとつには、“やってみた人にしか出せない温度”が宿っていました。 今回は、高校生たちの声を手がかりに、「放課後 cafélab」で起きた出来事を振り返ります。
中高生が自らの手で作る居場所・放課後 cafélabとは
2025年7月にオープンした「放課後 cafélab」。大人が用意した居場所ではなく、中高生が試行錯誤しながらつくっていく居場所そのものに価値を置いた取り組みです。
活動の舞台は、イオンモール甲府昭和と妙福寺。中高生にとって身近な居場所である商業施設の中に「気軽に寄れる新たな場所」が生まれ、もう一つの会場として、ゆったりと静かに過ごせるお寺がある。二つを行き来しながら、放課後 cafélabは育っていきました。
高校生たちはオープン前の準備から活動を開始しました。初回に行われたのはAIを活用して、放課後カフェラボのロゴをつくるワークショップ。告知を見て集まった山梨県内の高校生8人が参加しました。
参加者の1人、はやとさんは放課後 cafélabが始まる前から、ソーシャルテンプルが運営する「寺GO飯」という企画にボランティアとして参加していました。そこで声をかけられ、放課後 cafélabへの参加を決めたと言います。
「将来、教員になるという夢を持っているので、放課後 cafélabもきっと良い経験になるだろうと思ったんです」(はやとさん)
初回のワークショップ以降、高校生たちは、平均すると2週間に1回程度の会議を行いながら居場所作りの企画を練り、当日の運営や広報までを担ってきました。
「居場所とは何だろう?」という問いから始まり、ロゴ作りやSNSでの情報発信と、少しずつ自分たちの得意分野から方向性を見出していった中高生たち。大人たちの力も借りながら、ボードゲーム大会やビンゴ大会などの企画も実施してきました。
しかし、その道のりは簡単なものではありません。高校生たちにとって、商業施設でゼロから場や企画を作っていくのは初めてのこと。一つひとつの活動に労力がかかります。高校生たちは「想定よりも人が来てくれなかった」「何をやったら、居場所になるのかわからなくなった」といった現実的な課題にも直面したと言います。
「この活動を始めた時、僕たちの周りには『居場所が必要だ』と感じている人が見えづらくて。だから、当事者にとって本当に必要なものを想像することが難しかったんです。会議で話し合っても、それが本当に正しいのか、正直よく分からない部分もありました」(はやとさん)
「居場所をつくる」ことが、想像よりもずっと難しい取り組みだったことが、はやとさんの言葉から伝わってきます。 都市部とはまた違うかたちで、地方にも“見えにくい孤独”があります。けれど、その答えを最初から誰かが持っていたわけではありませんでした。大人も、高校生自身も、「何が正解なのか」を探りながら進んでいく。そんな手探りの状態から、放課後 cafélab の活動は少しずつ動き始めていきました。
さらに、活動を揺さぶったのは「受験生」という現実。参加者のほとんどは高校3年生。熱量の高い人もいれば、低い人もいる。それぞれにやりたいことも異なる。話し合いの中でぶつかり合うことも少なくありません。受験期が近づくと、活動から離れていくメンバーもいました。


高校生たちが語る、居場所づくりを通じた学びと成長
「メンバーとの付き合い方、受験期との重なり等に苦労しました。僕も含め3年生が多かったので、9月ごろになると受験で手一杯になってしまって。熱量があるメンバーと、そうでもないメンバーとのすれ違いなどもあり、難しかったです」(はやとさん)
一方で、途中から参加するメンバーもいました。わたるさんは、もともと韮崎市の高校に通っていたところから通信制の高校に転校し、夏頃から放課後 cafélabに関わり始めたメンバーです。参加のきっかけには、こんな想いがありました。
「地域関連を学ぶ大学に行きたいと考える中で、韮崎市のMiacis(ミアキス)という施設と出合いました。ここは、第三の拠点として中高生が自由に過ごせる場所です。僕自身、Miacisとの出合いで居場所に救われたと感じたので、山梨県内で他にもこんな場所があるのか調べて、放課後 cafélabに辿り着きました。だから今度は、自分も“居場所をつくる側”として関わってみたいと思ったんです。」(わたるさん)
わたるさんは、放課後 cafélabで活動したことで、新たな刺激が得られたと語ります。
「まず、放課後 cafélabのメンバーが、外から来た僕にも優しく接してくれたのが嬉しかったです。異なる地域の学生たちと関われたこともすごく良かった。通信制に転学してから人と会う機会が減って寂しかったけれど、ここに来れば同世代と関われる」(わたるさん)
居場所を考える活動そのものが、高校生たちにとってもひとつの居場所になっていたのかもしれません。 高校生たちは約半年間の活動を駆け抜けました。
2月5日。 冬の空気のなか、富士山を背にした妙福寺に高校生と大人たちが集まりました。 はやとさんとわたるさんは緊張した面持ちで、ピカピカのパソコンを開き、自作のスライドを操作しながら活動を振り返るプレゼンテーションを行いました。 分かりやすく整理されたプレゼンテーションに、客席の大人たちから感嘆の声が上がります。 活動を振り返り、こう語ります。
「一緒に活動しているメンバーから『助かった』『ありがとう』と言ってもらえた時は、やりがいを感じました。それから、この活動を通して、調整力・責任感・相手の立場で物事を考える力の大切さがわかりました。将来、教員になった時にも、前よりもっと、いろんな子どもたちのことを想像して働きたいです」(はやとさん)
発表会には、二人の後輩で途中から運営に携わった2年生のけんさんも訪れていました。けんさんは、「先輩たちは苦労した部分も話してくれたけれど、それらを経て“道”を舗装してくれていたから、僕は純粋に楽しく参加させてもらった」と嬉しそうに話します。
中高生自身が「自分たちの居場所」を言葉にし、関係性を組み直しながら社会と接点を持つ。 放課後 cafélab には、そんな時間が流れていました。
活動を通して見えてきたのは、「居場所をつくる」ことの難しさと、それでも人が関わることで少しずつ形になっていくプロセスでした。
あの夜、妙福寺で交わされた高校生たちの言葉には、活動の舞台裏や葛藤、そして確かな手応えが残っていました。そこには、“やってみた人にしか出せない温度”が宿っていたように思います。
悩みながら進めていくことが、次の誰かの放課後を少しだけ生きやすくしていく。 そんな予感を残して、発表会は静かに幕を閉じました。
今回の取り組みを踏まえ、山梨県では今後もさまざまな形で、中高生の居場所づくりに関する取り組みを継続していく予定です。山梨県の放課後の模索は、まだ始まったばかりです。


募集要項
※募集者 / 主催者に連絡を取りたい場合、まずは「応募したい」ボタンを押してメッセージを送ってください。
今回の「放課後 cafélab」の活動の核となったのが、ソーシャルテンプルによる地域交流の食事会・子ども食堂「寺GO飯」です。 お寺を舞台に、中高生を中心に小学生や大人が食卓を囲みながら、世代を越えてゆるやかにつながる場として続けられています。
今回募集するのは、その寺GO飯の運営をサポートしていただくボランティアです。
https://www.socialtemple.or.jp/project/03/
◾️主な内容 ・食事会の準備(会場準備、簡単な調理補助など) ・参加者の受付や案内 ・中高生や地域の方との交流 ・片付け、運営サポート
寺GO飯は、お寺という地域の場を活かしながら、中高生が主体となって運営する交流の場です。 居場所づくりや地域活動に関心のある方に、ぜひ関わっていただけたら嬉しいです。
特別な経験や資格は必要ありません。
・ボランティア/地域活動に興味がある中高生 歓迎! ・居場所づくりや地域活動に関心のある方 ・人と関わることが好きな方 ・お寺や地域コミュニティの活動に興味がある方
・子どもや若者と関わる活動の経験 ・地域活動、ボランティア活動の経験 ・イベント運営や飲食のサポート経験
※経験がなくても問題ありません。興味があればぜひご参加ください。
ボランティア参加(交通費等は応相談)
ボランティア参加
開催日程:月1回程度 時間:夕方〜夜(準備含め2〜3時間程度)
※単発参加・継続参加どちらも歓迎です。
住所
連絡先
寺GO飯は、お寺で食事を囲みながら、地域の小中高生や大人がゆるやかにつながる場です。 「放課後 cafélab」のように、若い世代が自分たちの居場所を考え、育てていく活動とも重なっています。
私たちが大切にしているのは、 「大人が用意する居場所」ではなく、 若い世代と一緒に考えながら場を育てていくことです。
そのため、
・自ら場づくりに挑戦したい中高生・大学生の方 ・中高生の話を対等に聞ける方 ・地域の居場所づくりに関心のある方 ・お寺や地域コミュニティの活動に興味がある方 ・何かを教えるというより、一緒に場をつくる姿勢を大切にできる方
そんな方と出会えたら嬉しいです。
特別な経験や資格は必要ありません。 まずは一度、寺GO飯の場に来てみてください。
一般社団法人SOCIAL TEMPLE・山梨県 総合県民支援局
このプロジェクトの地域

山梨県全体
人口 76.33万人
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山梨県 総合県民支援局 こども福祉課が紹介する山梨県全体ってこんなところ!
今回の舞台となるのは、山梨県甲府盆地に位置する昭和町。 甲府市に隣接し、イオンモール甲府昭和をはじめとした商業施設や住宅地が広がる、山梨県内でも人の往来が多いエリアです。県内各地から人が集まる場所でありながら、少し車を走らせれば富士山や南アルプス、八ヶ岳の山並みを望むことができる、山梨らしい風景も身近にあります。
甲府盆地は、果樹栽培が盛んな地域としても知られています。ぶどうや桃の畑が広がり、季節ごとに風景が変わる土地です。
今回の活動拠点となったイオンモール甲府昭和と妙福寺も、この昭和町にあります。 地域の人々の暮らしに欠かせない商業施設であるイオンモールと、昔から人々の生活のそばにあったお寺。性格の異なる二つの場所を拠点に、中高生の居場所づくりに挑戦した山梨型の社会実験が行われました。

















