
和田さんが紡ぐ国頭とメキシコ・トルティーヤの物語
公開日:2026/03/30 08:53
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2026/03/30「興味ある」が押されました!
2026/03/30~沖縄本島最北端の自然豊かな村~ 国頭村は、沖縄本島の最北端に位置する人口約4千人の小さな村です。やんばる地域の中心地として、豊かな自然と伝統文化が息づいています。辺戸岬や宜名真海岸などの美しい海岸線と、亜熱帯の豊かな森林に恵まれており、2016年には国立公園に、2021年には世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の一部として登録されるほど貴重な自然を有しています。また、琉球王国時代の歴史遺産や独特の民俗文化が数多く残されており、沖縄の歴史・文化を学ぶ重要な地域です。第一次産業としては農業・漁業が営まれ、地域の生活を支えています。近年は観光資源としての価値も高まり、自然体験やエコツーリズムなどを通じた地域活性化に取り組んでいます。 そんな国頭村で地域おこし協力隊として活動する和田佳浦さん。埼玉出身の彼女が、沖縄の北部でトウモロコシからトルティーヤ*1を作っていると聞いてお話を伺ってきました。そこには、メキシコで過ごした6年間の深い思い出と、メキシコ人家族との絆から始まる国頭トルティーヤの物語がありました。
*1トルティーヤ:中北米でトウモロコシや小麦を原料に作られる薄いクレープ状の主食となる食べ物。 ちょっと豆知識:スペイン語でTortillaと表記され、トルティーヤのほかにもトルティージャ、トルティーシャ等、国や地域によって発音が異なることがあります。
メキシコとの出会い
和田さんとトウモロコシの関係を語るには、スペイン語を専攻していた大学生のころに遡ります。1995年、大学でスペイン語を専攻していた彼女は、スペインへ留学した際、現地の新聞を通じてラテンアメリカの「今」を知り、特に先住民の貧困や差別問題に強い関心を持つようになりました。 大学卒業後、アルバイトでお金を貯めて2000年に初めてメキシコへ。2週間の旅行で出会ったメキシコ人の温かさと、それまで知らなかった現地の人達の生き様に衝撃を受け「ここが私の生きる場所」と確信します。その後3年間、メキシコで暮らしながらアステカダンスのグループと交流し、メキシコ人家族に受け入れられ、家族同然の関係を築きました。そんな生活の中で、メキシコ料理はレストランで食べるものではなく、家族の味として和田さんの心に深く刻まれました。 その後、大学院に入学した和田さんは、博士課程で奨学金を得てチアパス州のトホラバル民族の村で3年間の現地調査を実施します。そこは半自給自足の農村生活が営まれる地域。女性たちはまだ星の見える夜明け前に起き、トウモロコシを洗い、大きなバケツを頭に乗せて製粉所へ運ぶ。たくさんの生地ができたら、薪を入れたかまどで毎日100枚以上のトルティーヤを焼く。畑では全て手作業での種まきや収穫、ロバを使った運搬、牛たちの朝夕の放牧。トウモロコシと豆は日々の食事の中心であり、一日も欠かすことができない、特別な存在であるとともにもっとも身近な作物。朝起きてから眠りにつくまで彼らとともに生活をしていた和田さんは、こうした農村の暮らしに魅了されていき、後の国頭村での活動の原点になっていきます。


やんばるの森はメキシコのジャングル?~国頭村での新たな挑戦~
都内でスペイン語講師として多忙な日々を送る中、全く異なる生活を求めるようになっていた和田さん。移住を検討していた時、偶然インターネットで国頭村のインターンを発見します。以前、沖縄旅のドライブで訪れたことがあり、「やんばるの森」がチアパスの風景と重なり嬉しくなったのをふと思い出しました。「ここにトウモロコシ畑があればチアパスだ」と。そうして2023年2月、インターンに参加。一カ月の生活を通して、ここで理想とするメキシコ農村の暮らしが実現できるのではないかと感じるようになります。 インターンでお世話になった国頭村の農家の方が、メキシコのトウモロコシ文化に興味をもち、協力隊として「トウモロコシ栽培とトルティーヤ作りを一緒にやりませんか」と声をかけてくださったことで背中を押され、2023年秋に協力隊として着任。1年目は農園での収穫作業、トウモロコシの種探し、5品種での試験栽培を開始します。また、トウモロコシ栽培とトルティーヤ作りに必要な資金を集めるためクラウドファンディングにも挑戦し、目標100万円を超える150万円を達成しました。 2年目は試験栽培の結果を踏まえて2品種に絞り、本格的な栽培をスタートさせました。冬の間、200坪ほどの畑で栽培し、春に収穫。メキシコ農村でしか見られないお手製脱穀器具を作ったり、生地作りについても高額な製粉機は導入できないため、手に入る調理機器で工夫したりと試行錯誤をしながら、初の国頭村産トウモロコシによるトルティーヤ作りを成功させました。都内での国頭村産(トルティーヤ用)トウモロコシの営業活動も始めました。


トウモロコシと共にある暮らしへ、はじめの一歩
3年目は農園の広報サポートとともに、退任後に向けた自身の起業の準備期間として活動しました。トルティーヤ以外にも、トウモロコシを使ったメキシコ料理の試作や、沖縄ハーブのひとつであるヨモギや栄養豊富な人参を入れた色鮮やかなトルティーヤ(トップ画像参照)など、新しい商品も開発中。都内での国頭村PRイベントや県内でのイベントにキッチンカーや屋台で出店したり、地域の住民に向けたトルティーヤ講習会を開催したりするなど、トルティーヤの魅力を発信してきました。 トウモロコシ生活の実現に向けた最大の難関は農地探しでした。来沖時から探していたものの、小規模で副業的な農業には制度的サポートが少なく、想像以上に困難を極めます。紆余曲折もありながら懸命に働きかけを続けると、最終的に周囲の方々の協力が得られ、ひとつの農地を借りられることになりました。最初は足を踏み入れることができないほどに草が生い茂る状態の土地を、2週間毎日5〜6時間の草刈り。そんな姿をみた地域の方がユンボで整地を手伝ってくれました。今、この畑には小さく不ぞろいだけど元気なトウモロコシや沖縄野菜が育てられています。
「これから数年以内には自分らしいトウモロコシ作りの形を見つけたい」と話す和田さん。
「自身で作ったトウモロコシやトルティージャを販売したい」
「メキシコ料理やトルティージャ講習会を開催したい」
「トルティージャ作りの動画配信やイベント出店も、、、」
とたくさんの希望を胸に国頭村で暮らしていきます。 今後は地域の福祉事業所「日日草」に勤務しドライフルーツ加工と販売を担当。その傍ら、トルティーヤの加工販売業を個人事業Molino Yambaru(モリーノ・ヤンバル)として取り組みます。
取材日:2026年1月16日 外山


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人口 146.82万人

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エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。
このプロジェクトの作成者
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