新しく阿蘇に根を下した人たち【ヴィーガン・カフェ】

読みもの

公開日:2026/06/22 00:45

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2026/06/23

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阿蘇には、阿蘇開拓の神様である健磐龍命(タケイワタツノミコト)が阿蘇山の往生岳の山頂から約6km離れた的となる岩に向けて弓矢の稽古をしたという言い伝えが残っています。阿蘇カルデラの北西部、「的石」という地名の由来はこの伝説がもとになっています。

今年の4月に開店したヴィーガン料理を提供する「人空間」は、この的石地区にあります。 築65年の古民家をリノベした昭和レトロな雰囲気が漂うお店で、食事をしながら阿蘇山の眺望も楽しめます。今回は「人空間」の経営者、ナミさんとカエさんのご紹介です。このお二人は阿蘇市での「パートナーシップ宣誓」第1号でもあります。

阿蘇移住の決め手は「人」でした

的石にあるお店を訪ねると、お二人とお客さんとの明るい会話が中から漏れ聞こえてきます。実際に店内に入ってみると、大きな土間が広がっていました。この土間は「人空間」という屋号を象徴するような空間に感じました。家にはもともと土間は無く、畳の部屋だったものを、わざわざ土間に改修したのだそうです。

ナミさんは阿蘇に移住する前は、大阪の古い商店街の一角で同じ「人空間」という名のお店を営んでいました。コンセプトとしては、最初は人が行き交うコミュニティースペース的なものを考えていたそうなのですが、そのうち飲食も提供するようになり、得意としていたヴィーガン料理がそのメインとなりました。 一方、ナミさんと以前からお知り合いだったカエさんは、当時、沖縄に住んでいて陶芸をやっていました。

― 阿蘇市に移住することになった経緯を教えてください。

(ナミさん&カエさん)実は大阪で借りていた店舗の契約期間が終了間際になり、地価の上昇もあって、その後は家賃が倍くらいに上がると聞いていたので、これを機に二人で新しい店を都会ではなくて地方で構えるのも良いのではと考えるようになりました。 それと、うちの看板メニューのなかでオーガニックの野菜を使ったA定食というのがあるのですが、ここで使う野菜を田舎だったら自分たちで作れるかもしれないと思ったのも理由のひとつです。定食の原価も抑えられますしね。

「水がきれいなところ」というポイントを重視して、移住先の候補をいくつか挙げました。そのなかで阿蘇を選んだのは、自然の景観もさることながら、決め手はズバリ「人」です。 阿蘇市の職員さんが親身になって移住相談にのってくれ、いくつかの空き家にもアテンドしてくれました。そして、眺望の良い古民家で、将来、民泊や工芸ができそうな納屋があり、かつ畑もあるという理想に近い物件を見つけることができました。また、的石地区の人たちは本当に面倒見が良くて、助けられたことが多々ありました。こういった「人」との出会いがなければ、阿蘇への移住はなかったかもしれません。

― 阿蘇に移住してから開業に至るまでの間、大変だったことを教えてください。

(ナミさん&カエさん)いやぁ~、全てが大変でしたね。移住してきた当初から、改修をしながら、この家に住んでいたので、ムカデなどの虫は出てくるし、冬は寒かったですね(笑)。 とは言え、やはり一番の苦労は開業にあたっての資金調達と、特に工事が計画どおりに進まず開業が遅れたのには焦りました。駅の近くの空き店舗を借りて仮営業をやっていた時期もありました。 やっと今年の4月にグランドオープン。その後は口コミやSNSのお陰で、地元の人たちを含めてお客様が増えてきました。 経営的な面で言いますと、大阪でやっていたときとの大きな違いは、新規のお客様の獲得という面では阿蘇の方が圧倒的にアドバンテージがあるということです。人口が多い都会の方が集客はしやすいと思われがちですが、主要な道に面したチェーン店ならともかく、路地裏の小さな飲食店は常連客に頼ることが多いです。また、単に飲食だけでなく、お店の雰囲気も一緒に楽しんでもらうのも田舎ならではないかと思います。

「人空間」建物
「人空間」建物
ナミさん&カエさん
ナミさん&カエさん

深く考えすぎないのが一番かも

― これからの展望や目標があったら教えてください。

(ナミさん&カエさん)現在、納屋の2階部分を民泊施設用に改修中です。そして、1階部分は陶芸作りとかの工房にしたいと思っています。野菜の調達に関しては、できるだけ阿蘇で採れるものを使いたいので、今は契約農家さんから購入したり、道の駅や直売所で仕入れたりしていますが、今後は庭で自分たちの手で育てた野菜の比率も上げることができればと思っているところです。ただ、ここまでは当初の計画のうちで、その後についての展望は全くありません。自分たちには「毎日のことを精一杯やるしか能はない」と思っています(笑)。

―地方に移住して、飲食業を始めたいと思っている人たちへのアドバイスはありますか?

(ナミさん&カエさん)いやぁ~、あったら私たちがお聞きしたいくらいです(笑)。 ただ、私たちの場合は大阪での賃貸契約終了期限を迎えるにあたり、「人空間」を何とかして継続したいという強い気持ちがあったので、あまり深く考えずに突っ走ってきた感じです。冷静かつ合理的に考えすぎると、「そもそも借金してまでやることなのか?」といったネガティブな思考に陥りそうです。良くも悪くも私たちは楽観的にやってきたのが、実行力に繋がったのだと思います。

― お二人は「阿蘇市パートナーシップ宣誓制度」の第1号だとお聞きしました。

(ナミさん&カエさん)はい、そのとおりです。市役所内でパートナーシップの宣誓をしたわけですが、何せ私たちが初めてだったものですから、市役所の職員さんの方が慣れてなくて、ちょっとまごつかれているような感じでした(笑)。 日本では同性婚は認められておらず、民法上の制約があるため、「パートナーシップ宣誓制度」と言いつつも、単にカップルであることを宣言しただけで、大きな効力があるわけでもありません。ただ、公の機関に私たちのパートナーシップが認められたことで、メリットとしては、融資を受ける際に二人の関係を証明するのに役立ちました。今後はこの制度の認知と運用範囲がもっと広がり、婚姻に近い形での権利関係を持てるようにしていただくと有り難いですね。

いかがでしたでしょうか? とても明るいキャラのお二人。笑いが絶えない会話を求めて、お客さんがやってきます。 まだ始まったばかりの「人空間」阿蘇編。 文字通り、多様な価値観や文化、バックグラウンドを持った人たちの「行き交う場所」になるのではないかと思います。 今後益々のご活躍をお祈りします。

                               撮影:長尾 マサキ

ランチ A定食
ランチ A定食
お店からの眺望
お店からの眺望

このプロジェクトの地域

熊本県

阿蘇市

人口 2.40万人

阿蘇市が紹介する阿蘇市ってこんなところ!

日本中・世界中から多くの観光客が訪れる雄大な自然を有する阿蘇。

朝起きて、目の前に美しい山を眺めながら伸びをしたり、 夜、帰宅し玄関前でふと空を見上げると数多の星たちが輝いていたり、 学校帰りに湧き水を飲んで帰ったり、、、

そんな大自然と共に日々を過ごしています^^ 一緒にカルデラ暮らししませんか^^?

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熊本県の北東部、阿蘇火山とともに暮らすまちです⊂(^_^)⊃

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