大阪で続けてきた地域活動が、久高島での活動につながった

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2026/09/19

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沖縄本島南部の南城市から南東へ約5kmに位置する久高島は、古くから「神の島」と呼ばれてきた島です。島に伝わる歴史や文化、独自の風習が今も受け継がれており、観光地としてだけではなく、島そのものの暮らしや文化に触れられる場所として、多くの人が訪れています。

今回は、南城市の久高島で地域おこし協力隊として活動する甚田知世さんにインタビュー。東京や大阪での地域活動や子育てをきっかけに、さまざまな地域づくりに携わってきたこれまでの歩みや、「沖縄に住みたい」という思いから久高島との出会いにつながった経緯についてお話しを伺いました。

地域活動の先に見つけた、久高島での活動

大阪府堺市出身。美容師のアシスタント、アパレル販売員、医療事務、秘書・事務など、これまでさまざまな仕事を経験してきました。

23歳でアパレル店の店長を務めた後、事務職にも挑戦したいと医療事務を学び、薬局事務として勤務。その後、結婚を機に東京へ移り、銀座のファイナンシャルプランニング事務所で秘書・事務の仕事をしていました。

出産を機に専業主婦になりましたが、そこで「外に出たい」と強く感じるようになります。

子どもを預けて働きたいと思っても、保育園に申し込むには就労証明が必要。でも、就職活動をするには子どもを預ける必要がある。そんな状況から、まずは子どもと一緒に参加できる地域活動を探し始めました。

そこで出会ったのが、赤ちゃんを「先生」にして小学校で命の授業を行ったり、高齢者施設で交流したりする「赤ちゃん先生」の活動でした。

地域活動を続ける中で、子育て世代への情報発信を行う会社から声をかけてもらい、子どもを連れて働く経験もしました。その後、大阪に戻ってからもNPOの仕事などを通して、子ども食堂の立ち上げ支援や地域で活動する人たちのサポート、駅前のマルシェの立ち上げなど、地域づくりに関わる仕事を続けてきました。

さらに、仲間と地域の雑誌をつくり、クラウドファンディングにも挑戦。自分たちが「いいな」と思った人や店を紹介しながら、地域の人とのつながりや新しい仕事を生み出してきました。

そんな彼女が、20歳頃から思い続けていたのが「いつか沖縄に住みたい」という思いでした。

沖縄には旅行で何度も訪れ、子どもが大きくなってからは親子で離島を巡るようになりました。2024年、初めて久高島を訪れます。

「観光地化していない島に心惹かれ、いくつかの離島に訪れていた中で、また訪れたいと思ったのは久高島がはじめてでした」

観光するだけではなく、「自分にも何かできることがあれば」と思い、船のアンケートにも「何かお役に立てることがあればやりたい」と書いたほどでした。

その後、大阪で忙しく働く中で、「自分の人生って何だったんだろう」と立ち止まる瞬間がありました。

そこで思い出したのが、「沖縄に住みたい」という気持ち。

まずは短期間でも沖縄で暮らしてみようと仕事を探していたところ、「離島」「仕事」と検索して見つけたのが、南城市が募集していた久高島の地域おこし協力隊インターンでした。 見つけたのは夜10時頃でしたが、約2時間で履歴書などを準備して応募し採用されました。

翌年、南城市が募集した地域おこし協力隊の条件には合致せず応募は断念したものの、条件が見直された二次募集に応募し正式に「南城市地域おこし協力隊」として久高島に関われることとなりました。

子どもと一緒にはたらく_子育て情報サイトの運営
子どもと一緒にはたらく_子育て情報サイトの運営
RE EDIT_雑誌づくりのメンバーたちと
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島のファンをつなぐ、久高島での活動

久高島で地域おこし協力隊として活動を始めて、1年。

現在取り組んでいるのは、島の特産品の販路拡大に関わる仕事です。その中でも担当しているのが、CRM(顧客との関係を築き、コミュニケーションを続けていくための取り組み)を活用した、島のファンとの関係づくりです。

久高島の情報を知りたいとメールマガジンに登録している人が約2,400人います。

「島の力になりたい!という声もたくさんあり、その方たちの力を借りられるような関係性と仕組みができたら」と、島外の人たちと、島の人たちをつなぐ役割を担う活動をしています。

そのための情報発信の一つとして始めたのが、『note』です。

「なぜ神の島と呼ばれているのか。久高島にはどんな歴史や文化があるのか。ただ、訪れただけでは分からない、島の日常をお伝えできればと思っています」

島のことを丁寧に伝えるためにも、じっくり読んでもらえるnoteを使うことにしました。

すると、 noteを読んで久高島を訪れた人と、実際に島で出会うことができたのです。

「まだ始めたばかりなのに、こんなふうに届くんだ」

情報発信を通じて、人が実際に島を訪れ、島の人と出会っていることを実感しました。

もう一つ取り組んでいるのが、島の新商品づくりです。

その一つとして、島の写真を使った商品をつくる際、これまで久高島を訪れた人たちに写真を提供してもらう企画を行いました。

募集期間は10日でしたが、約130枚もの写真が集まりました。

「久高島って、本当に愛されているんだなと思いました」

商品をつくる。情報を発信する。人と人をつなぐ。

一見すると別々に見える活動ですが、その根っこにあるのは、「久高島を好きになってくれた人と、島との関係を育てること」です。

島の中だけで活動するのではなく、島の外にいる人たちも含めて、久高島との関係をつくっていく。

地域おこし協力隊としての仕事を通して、少しずつその形が見えてきています。

1年目関わった島の特産品「久高島の利き塩」
1年目関わった島の特産品「久高島の利き塩」
note投稿_イラブー(海蛇)燻製中の様子
note投稿_イラブー(海蛇)燻製中の様子

島の「今」を残し、次の世代へ。久高島で描くこれから

地域おこし協力隊としての任期は、残り2年です。

これから取り組んでいきたいことについて聞くと、いくつかの久高島ならではの商品づくりの構想が出てきました。

現在進めているのが「久高島ダイアリー(手帳)」。島の人たちや、島を大切に想う人たちが参加しながら、久高島の魅力を形にしていく取り組みです。

そして、次に考えているのが特に大切にしたい、久高島の方言を集めた「久高島方言かるた」製作です。

ただの観光土産としてのかるたではありません。島に伝わる言葉や文化を残し、子どもたちにも楽しみながら知ってもらえるものにしたいと考えています。

今では、若い世代で話せる人が少なくなっているという方言。だからこそ、言葉を聞いて、声を残して、次の世代につないでいく。

「普通のかるたとは少し違うものにできたらいいなと思っています」

また、久高島には島外から学びに来る子どもたちもいます。そうした子どもたちが島を訪れたときに、久高島ならではの文化や言葉を学び、持ち帰ることができるような機会もつくれたらと考えています。

これまでの活動を振り返ると、彼女の地域との関わり方には一つの特徴があります。

美容師、アパレル販売員、医療事務、秘書、子育て支援、マルシェ、雑誌づくり。地域おこし協力隊。

一見すると、さまざまな仕事や活動を経験してきたようにも見えます。

けれど、その一つひとつが、人とのつながりや地域で何かを生み出す経験につながり、今の活動に生かされています。

「自分がやりたいことを仕事にする」というよりも、「自分ができること」と「地域が必要としていること」が重なったところで、新しい役割をつくってきた。

久高島との出会いも、まさにその延長線上にありました。

また、そんな彼女の暮らし方にも特徴があります。

車の免許を持っておらず、もちろん車も持っていません。

車が必要と言われることも多い南城市での暮らしを支えているのは、地域を走るNバス(コミュニティバス)です。バスを駆使し南城市役所への出勤と島での活動を両立しながら、時間や乗り継ぎを工夫しています。日々の移動はもちろん、大阪の自宅へ戻るときに那覇空港へ行くときもバスを利用しています。私生活においても自分なりの移動スタイルをつくってきました。

もちろん、誰もが同じようにできるわけではありません。それでも、「できない」と決めつけるのではなく、自分にできる方法を探して動いてみる。

そんな姿勢も、これまでさまざまな形で地域と関わってきた彼女らしさなのかもしれません。

これからも、島の中にあるものを見つけ、島の外にいる人たちとつなぎ、次の世代へ残していく。

地域おこし協力隊としての残り2年間は、そんな役割を少しずつ形にしていく時間になりそうです。

写真提供:甚田知世 取材日:2026年8月13日 山田

久高島よりオンライン編集会議を実施
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取材_宿泊した人にしか見れないニライカナイから昇る朝日in久高島
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エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。

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