地域ぐるみの米作りから始まる地域の未来づくり

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2026/10/30

―毎日の食事が、自分たちの健康をつくっている。 そう考えるようになったことが、車さんのお米との関わりの原点でした。

大学で化学を学び、卒業後は東京で製薬や食品分野の仕事に携わっていた車さんは、やがて飲食店業界に転身。現在は高知県土佐町にある松ヶ丘地区で、地域おこし協力隊員として米作りに携わっています。 化学の道から米作りへ。一見つながっていなさそうなこのキャリアを車さんはどのように歩んできたのか。「お米を作り、田んぼを守るだけでは足りない」。その気づきを得た車さんの地域にかける思いとは。 「お米の、その先の価値まで考えていくことが大切だと思っています」 そう語る車さんのストーリーを紐解いていきます。

お米には、人を惹きつける力がある

大学で化学を学んだ後、製薬会社、食品会社で勤務してきた車さん。サプリメントなどの臨床試験や健康に関するデータ分析に関わってきました。そんな中で、「体の調子が悪くなってから治すのではなく、毎日の食事から健康の土台をつくることが大事なのではないか」といつしか考えるように。 その後、知人からの誘いを受けて飲食業界へ転身。飲食店の立ち上げや店長を経験するなかで、思いがけず「お米の力」を実感する出来事がありました。

お店で、毎日丁寧に炊き上げていた、白いごはん。 「ここのごはんはおいしい」と評判になり、ごはんを目当てに通ってくれるお客さんが増えていったのです。

「おかずとかはそんな凝ったものは出してないんですけど、お米だけは、ちょっといいものを使っていて。ちゃんと直火で炊いて、お櫃に移してってやってたんです。それだけでもけっこう美味しくできるんですよね、お米って」

著名な方もたくさん常連客として通ってくれていたというこちらのお店。もともとお米が大好きだった車さんにとって、“ごはんがおいしい”ということに共感してもらえたのは大きな喜びでした。

子どもの教育をきっかけに高知へ、そして土佐町へ

車さんは家族とともに、2022年に高知県へ移住。移住のきっかけは、子育て。東京で暮らしていた頃から、お子さんの教育環境について話し合うことが多かったという車さん夫婦は、現地を回るなどして、各地の教育環境について情報収集していました。 その中でも「高知が一番よかった」という車さん。自然の中で子どもが主体的に学ぶ教育に魅力を感じたそう。

移住後は、高知市内でクラフトビール醸造会社に勤務。原料となるホップや大麦の栽培にも携わることになるのですが、このことがきっかけで6次産業化に関心を持つように。やがて、今の土佐町地域おこし協力隊の活動へとつながっていくのです。

6次産業化とは、“地域で栽培した農産物をその地域で加工・販売し、価値として循環させること”。

「自分たちで作ったものを自分たちで加工し、流通まで担う。農産物を作るだけではなく加工や販売まで含めて取り組むことで、地域により多くの仕事や収益を生み出せるのではないか」 その思いを実現できるフィールドが土佐町にあると知り、声をかけてくれた地域の人を頼りに協力隊として着任。以前から関心のあった米作りに携わることに。また、地域産品の活用や加工品づくりにも挑戦できる環境があること。これらが自身のやりたかったこととぴったり重なったのです。

地域に広がる棚田
地域に広がる棚田
土佐町松ヶ丘地域で加工している肉味噌「今宵の土佐あかうし」
土佐町松ヶ丘地域で加工している肉味噌「今宵の土佐あかうし」

地域のみんなで田んぼを守る松ヶ丘の米作り

車さんが活動するのは、土佐町松ヶ丘地域。昔から米処として知られ、美しい棚田が広がる場所です。一方で、高齢化や担い手不足によって耕作が難しくなった田んぼが増加しているという課題も。地域ぐるみでこれらの田んぼを管理する取り組みが進められており、そのうちの一部を、車さんを含めた地域おこし協力隊の3名が引き受けています。

対象となる田んぼは約30カ所。広範囲に点在しているため、水管理や見回りだけでも大変な作業。田んぼの様子を見て回るだけでも、毎日何時間もかかるそうです。

それでも地域の宝を守りたいという思いは、みな同じ。困ったときには地域の方がすぐに手を差し伸べてくれます。田んぼの水管理のコツや機械の使い方などを、つきっきりで教えてもらったそう。 先輩農家から知恵や経験を受け継ぎながら進める様は、まさに地域ぐるみの共同作業。地域の暮らしそのものを支えてきた、大切な営みでもあります。車さんは地域の人たちに支えられながら、その一端を担っているのです。

米作りの仲間
米作りの仲間
地域のみんなで作業したあとの懇親の様子
地域のみんなで作業したあとの懇親の様子

お米を守る。その先に、地域の未来をつくる。

車さんが見据えているのは、お米を作るだけで終わらない“地域づくり”。ただ田んぼを守るだけではなく、新しい価値を生み出す必要があると考えています。

現在は、農業体験ツアーや「稲株主制度」の企画も進めているそう。収穫されたお米の販売や6次産業化への取り組みにも力を入れ、地域農業の収益向上を目指しています。 「農業だけで生計を立てるのは簡単ではありません。だからこそ、販売や加工、体験事業も含めて考えていく必要があります」

車さんが松ヶ丘での活動を通して実感しているのは、地域課題を自分事として捉える人が多いことです。耕作放棄地の増加や担い手不足という課題に対し、地域の人たちが「どうすれば残せるか」を真剣に考え、実際に行動しています。 地域の農業を守ることと、新たな価値を生み出すこと。その両方を目指しながら、地域の人たちとともに歩む車さん。松ヶ丘地域では、米作りを起点に地域の未来をつなぐ挑戦が続いています。

★車さんは12月13日開催『土佐れいほく地域交流会in東京』にゲスト参加します。 詳しくはこちらをご覧ください⇒https://smout.jp/plans/32190

農業体験ツアーの様子
農業体験ツアーの様子
車さんにもっと話が聞ける!土佐れいほく交流会を東京で開催
車さんにもっと話が聞ける!土佐れいほく交流会を東京で開催

このプロジェクトの地域

高知県

土佐町

人口 0.34万人

川村 幸司が紹介する土佐町ってこんなところ!

高知市から車で1時間弱。 吉野川水域のこの地域は山に囲まれ、川に恵まれた地域。 夏は子供たちが川で遊ぶ姿が日常に見られます。 高知県の中でも移住の先進地であり、昔ながらの暮らしだけでなく 新しい風もどんどん吹いている。そんな印象です。

このプロジェクトの作成者

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移住支援NPO団体の代表。地元土佐町出身。子供が生まれたのをきっかけに京都からUターン。

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