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椎葉の先生 ~山の暮らしの知恵と楽しみを学ぶ~
「応募したい」より気軽に、興味がある・応援したい気持ちを伝えることができます。
地域の人に応募したい意思を強く伝えることができます。
押したあと1対1の非公開メッセージを開始することも可能です。
こんにちは、椎葉生活2年目の池田文です。
普段は地域おこし協力隊として、主に子育て支援活動をしています。
去年は「椎葉の暮らし新聞」として、椎葉の日常の出来事を紹介していました。
https://smout.jp/plans/590
まだまだ書ききれないくらい、椎葉の暮らしは面白さに満ちています。
面白いって、何が面白いんだろう、と考えて、
やっぱり「ひと」だろうな、と思い至りました。
有名なわけでも、何かの肩書があったりするわけでもなくて、
山の暮らしの達人。
山の暮らしを知りつくし楽しんでいる。
今年は、そんな「ひと」に注目して、椎葉を伝えます。
追加レポートで、日々発信していきます!
気になる方は、「興味あるボタン」を押していただくと読めますので、
お気軽にどうぞ!
「先生」=椎葉の豊かさを作り出す、山の暮らしの達人たち
椎葉に来て日々感じるのは、山の暮らしの奥深さ。
そして、その豊かな山の暮らしの元となるのは、
椎葉の人の「知恵」と「経験」。
その豊かさを最大限に味わう「楽しみ」と「感謝」。
みんなで支え合い分け合う「かてーり」の精神。
ないものは、自分たちで作る「発想力」と「技術」。
村の人が、いろいろな知恵や技術を持っている。
このことを「数値」にするとしたら、椎葉村はまちがいなくトップレベルなのではないかと思います。
元牛飼いのおばあさんが、いつどこに何の種を蒔くといいか、収穫したものをどう保存するのか教えてくれ、旬の山菜料理や山の恵みを無駄なく使ったご飯を作ってくれたり。
建設の仕事している人が、鶏も飼っていて、集まりの時には鳥をしめてくれたり。
夏は農家さんだけど、冬は猟師さんだったり。
商店をしている人が民謡の先生だったり。
山の仕事をしながら、地域の特産物を作ったり、民宿をしたり。
普段はお勤めしている人も、ナバ(椎茸)の駒うちをしたり、田んぼをしたり、冬には神楽を舞ったり。
行事も自分たちで段取りし自分たちで楽しみます。
みんなたくさんの顔を持ち、山の暮らしを続けています。
忙しいはずなのに、どこかゆったりしているようにも感じるのは、
そして、外から来た私たちが椎葉の暮らしにひきつけられるのは、
椎葉の人が山の暮らしを楽しんでいる姿を見せてくれるから。
そんな山の暮らしの達人たちを、「先生」と呼んで、ここで紹介していきます。

ある日の、あるお母さんのご飯

かずら編み
山の暮らしに興味のある方へ
「興味ある」ボタンを押すと、更新をお知らせいたします!
こんな方へおすすめ!
・自然が好き
・山の食材が好き
・料理が好き
・自給自足をしてみたい
・猟、釣りに興味がある
・ものづくりが好き
・祭り、神楽が好き
・おもしろい人が好き
・椎葉村に興味がある
質問はメッセージで受け付けます!
「椎葉に来て、この人に会ってみたい!」というリクエストにも、可能な範囲で対応します。

椎葉神楽

春祭りのまとい

日本三大秘境の一つ、椎葉村。
広大な村の面積の96%が森林地帯であり、残りの斜面を家や田畑として利用してきた村の人々。山で生きる知恵と相互扶助の文化が暮らしに色濃く残る地域です。
10の地区からなり、それぞれ景観、言葉、人の性格に特徴があって、合衆国のような村です。
自然の恵みを活かしながら、暮らしと仕事を成り立たせてきた椎葉の人は、たくましく賢く、器が大きいです。都会では感じにくい、「人に支えられていること」を日々実感できるのが、椎葉での暮らしです。

2021/3/15
「小さな村の英語の先生」
久しぶりの投稿です。皆さま、お元気ですか?
椎葉も山々が赤みがかってきて、木々の若芽が吹き、山桜や岩つつじが咲き始めています。俳句の季語でいう「山笑う」ですね。
うぐいすの声も響き、菜の花の香りがあたりに満ちて、いよいよ春!という感じです。
今日は、椎葉で唯一の外国人である英語の先生ジュリーと、英会話教室の様子を紹介をします。
ジュリーはベルギー出身で、昨年夏に、ALTとして椎葉村にやってきました。
普段は椎葉村内の5つの小学校と中学校をまわって、英語を教えています。そして、週に1回、村内の希望者にも英語を教えています(村の生涯学習)。
写真は、ジュリーが子どもたちと一緒に発音の練習をしているところです。これまで日本人の私たちがやってきた勉強法とは異なりますが、とても面白く、子どもたちも楽しんでいます。ジュリーは、生徒に答えを教えるのでなく、一緒に答えを探しながら、英語の音や言葉に気付かせていきます。生徒同士も教え合いながら、英語で話す感覚を少しずつ身に着けていきます。
ここでは大人も子どもも一緒に英語を学んでいて、大人や中学生よりも小学生のほうができる時や、慣れたワークを生徒だけで行う時もあります。覚える勉強としてでなく、コミュニケーションとして英語に親しんでいる子どもたちの姿に、学ぶことは本来楽しいことなんだな、と気づかされます。このまま英語を好きになって、それぞれの道を広げてほしいな、と思います。
さて、4月から紹介してきた「椎葉の先生」。
本当は「おまんじゅうの先生」とか、「お茶炒りの先生」とか、「梅干しの先生」とか(食べ物ばっかりですね)、紹介したかった先生がもっともっといらっしゃいます。今後も何かの機会にお伝えできたらいいな、と思っています。
椎葉村の広報誌「Only One Shiiba」のWebページも充実しています!ぜひこちらからも、椎葉に住む人たちの姿を感じていただけたら嬉しいです。
https://shiiba.jpn.org/
それでは、椎葉村に関心を寄せていただいた皆さん、ありがとうございました。皆さんお一人おひとりの、よりよい移住生活を心からお祈りしています。そして、もし「椎葉に住んでみたいよ」なんて気持ちを持ってくださった方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せいただけたら嬉しいです。
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2020年12月9日号
久しぶりのレポートになってしまいました。
皆さんお変わりありませんか?
目に鮮やかな秋の風景はさっと過ぎて、冬の寒さの椎葉村ですが、今年の「収穫の秋」を振り返ってみます。
今回紹介するのは、「蕎麦の先生」椎葉武さんです。
椎葉の中心地からほど近い若宮地区に住む武さんは、椎葉では個人宅で唯一、焼畑による蕎麦づくりを続けています。
今年の8月16日に、ご近所や焼畑仲間と一緒に自宅の裏山を焼き、蕎麦をまきました。
それからあっという間の70日後、10月26日が収穫日でした。
山の斜面に広がる一面の蕎麦を見ると、「豊作で嬉しいー」という思いと、「これを全部収穫するのにどれくらいかかるのだろう」という思いが交互に出てきます。
そんな私をよそに、武さんはさっさとしゃがんで、蕎麦を鎌で刈り始めます。
斜面にかがんで、蕎麦の茎を左手で「パッ」とつかんで、、、右手の鎌で「さっ」と刈ります。2,3回分をまとめて束にし、斜面に横にして置きます。
これだけ書くと、とても簡単そうなのですが、、
緩やかな斜面でかがんだ姿勢を保ち、ふわふわと伸びている大量の蕎麦をひたすら刈っていくのは、そんなに簡単ではないのでした。
しばらく刈り続けると、、、鎌が左手をかすってひやっとします。左手でつかんで→右手で刈る、の順を守っていればこうはならないのですが、身体が作業に慣れていないと、動きがバラバラになって、あぶなっかしくなるのです。
この作業をお昼ご飯を挟んで3時頃まで続けました。やっと刈り終わると、いよいよ、わらで一束ずつ結わえて、はざがけにしていきます。この時、仮結び・本結びをしっかり結ぶのが難しい。コツをつかむまでは、束がゆるんだり、わらがほどけてしまったり。そのたびに、武さんはゆっくりと手元を見せながら、縛り方を教えてくれるのでした。
そばの束を抱えて斜面を降り、平らな田んぼに全ての束をかけ終わると、もう太陽が沈んでちょうど視界が薄暗くなっていました。
武さんは、焼畑による蕎麦だけでなく、お米や野菜も、無農薬・無肥料で育てていて、作物の先生、といってもいいくらいです。他にも蜂蜜の先生であり、山登りの先生であり、、。いろんなことをやれてしまうのが、椎葉の人のすごいところですが、改めてその一つ一つの奥深さ、手間ひま、それにかける思いを感じることができた一日となりました。
先生のようにはなれないけれど、、少しでもエッセンスを自分の中に取り入れて、椎葉での暮らしを楽しみたい、と思います。
*写真は、一面の蕎麦畑で。
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2020年10月4日号
米作りの先生
台風の被害から1カ月がたち、少しずつ日常の生活に戻りつつある椎葉村です。SMOUTで椎葉村のプロジェクトにご登録いただいている皆さまにもご心配おかけしたと思います。
あらためて、この土地に住むことの豊かさ、そして隣りあわせの自然の脅威に、意識を向けられた出来事でした。
今日は、そんな台風にも負けずに、秋の実りを収穫できた、喜びのレポートをお送りします。
今年の春に椎葉に来たエディター中川さんが、素敵な棚田の稲刈りの様子を取材してくれました!
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恵蔵さんちの稲刈り
上椎葉地区、桑の木原(くわのきばる)集落。
稲刈りを手伝わせてもらいに、恵蔵さんちへお邪魔しました。
山道を車でずっとずーっと上り、一番奥の一軒にお住まいなのが恵蔵さんとそのご家族。
この日は、息子さんとお孫さんも一緒に稲刈りです。
お宅からの眺めは、どっちを向いても椎葉の壮大な山々。
向こうの山も、こっちの山も、桑の木原なんだとか。椎葉は広いです。
家の目の前にはいろいろな野菜を育てている畑と、段々と小さな棚田になっている田んぼが見下ろせ、なんとも気持ちのいい光景が広がっていました。
棚田への脇道は人ひとりが通れるほどの幅で、もちろん大きな機械は通らず、荷物の上げ下げも人力のみ。行き来するだけでも息が上がってしまいます。
「去年より、腰やら、疲れが残るなあ」
今年88歳になるという恵蔵さん、そうはおっしゃるものの、稲を手刈りし、竹をぐいぐい田んぼにねじ込んで稲干し台を作り、まだ水気を含んで重みのある稲穂をせっせと台に掛けていき……。
夕方まで動き続ける底知れぬスタミナには、本当に驚き!若輩者は到底かないません。
作業が終わったあとは、家の中から「お茶でも飲んでけ!」と、奥さんのハルエさんが食べきれないほどにあれもこれも出してくれました。
土間でのまったり団欒は、初めてなのに親戚の家に来たような、そんなあたたかな安心感。
「手伝ってもろて助かった〜」
とっても喜んでくださって、こちらまで清々しい気持ちに。
いいえ、私の方こそいい時間を過ごさせてもらいました。
そんな、9月の終わりの夕暮れどきでした。
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写真は、恵蔵さんとご自慢の田んぼ。中川さんによる素敵な一枚です。
そして、この「椎葉の先生」プロジェクトのトップ写真も、この恵蔵さんの棚田で、去年の稲刈りの時に撮影させていただいたものです。

2020年9月3日号
竹細工の先生
夏休みの間、村内の小学生は村の中心にある一つの施設に集まって、勉強したり遊んだりして過ごしています。
今日は、前から子どもたちが楽しみにしていた「竹細工の日」です。
先生は、子どもたちのいる椎葉の中心から車で40分くらいの尾向地区からはるばるやってきてくれた、亀次さん、一日出さん。
竹細工はもちろんですが、蜂蜜を取ったり、ツリーハウスを作ったり、魚の石焼をやったり、と、椎葉の暮らしをなんでも楽しむスーパー先生です。テレビ番組に出ることもあり、村内の子どもたちに親しまれている存在です。
昨日、亀次さんと弟の秀久さんが準備で竹をたくさん持ってきてくれた時から、そわそわしていた子どもたち。竹の半割になったのを見つけてにおいをかいでみたり薄皮をはいでみたり。
今日は、いよいよ自分のコップとおはしを作ります。
大きい子は、自分たちでのこぎりを持ち、竹の節を切ります。道具の使い方も、先生たちや応援に来てくれた大人に聞きながら、恐る恐る挑戦。竹を押さえる子、切る子、声をかける子と、なんとなくチームになってやっています。
小さい子たちは、あらかじめ亀次さんたちが切ってくれた竹コップの断面や底を、紙やすりでこすります。やすりでこするだけですが、みな熱中してやっています。
おはしは、その場で大人たちがなたで竹を細割にしたものをもらい、また一生懸命やすりをかけて、仕上げていきます。
そして、いよいよ出来上がったコップとお箸で、クライマックスの「流しそうめん」です。
まずは小さい子たちから。大きい子たちがそうめんを流す係を買って出てくれ、小さい子たちは満足するまでそうめんを食べます。次は大きい子たちの番。大人と小さい子が一緒にそうめんを流して、大きい子たちはゆっくり味わいます。
食べ終わった子どもたちのそばで、一日出さんが竹とんぼを作り始めます。それを見て回りの大人もみようみまねで挑戦。それを見ていて子どもたちが「やりたい!」。出来上がった竹トンボをもらって、飛ばして遊ぶ子もいます。
昔は、椎葉の子どもたちは小刀(ナイフ)を持って山に行き、遊んでいたそうです。自分で作ったもので、食べる。作ったもので、遊ぶ。そんなことも、今よりずっと身近にあったのだろうと思います。今の子どもたちは残念ながら同じような環境にはありませんが、こうして地域の大人に教えてもらって、「面白い!」と感じるだけでも、今後の過ごし方がちがうように思います。
<竹にやすりがけをする子どもたち>
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2020年8月3日号
焼畑蕎麦苦楽部の焼畑
今日は待ちに待った、向山地区の火入れの日です。
雨続きで苦労した去年とは異なり、今年はさわやかな晴天が続きました。
朝早くから集まっているのは、焼畑蕎麦苦楽部のメンバー。代表は、日本で唯一焼畑による農林業を継承してきた椎葉勝さん、今回紹介する「焼畑の先生」です。
今年はコロナの流行を防ぐため県外からのお客さんには呼びかけず、蕎麦苦楽部と近隣からの小さな集まりです。まずは全員で丸くなって自己紹介タイムの後、実際に火入れをする山まで歩いて移動します。
火入れの手順は、、
① 防火帯を作る。
② 山の神へのお祈り(御幣やお神酒、お供え物)
③ 山の上部から火入れ
④ 飛び火を消したり、焼け残りそうな部分を火入れする。
⑤ 完全に鎮火してから、蕎麦の種まき
⑥ ほうきで灰かけ
手順として書くとこれだけなんですが、なんせ広大な山の斜面で、一歩間違えたら山火事です。
火入れは風向きや火の動きを見ながら、上部から下部へ、息を合わせて火をおろしていきます。焼きすぎや焼き足りないところについても、互いに声をかけながら対応していきます。
勝さんを始めとする地区の皆さんのチームワークと知恵と経験による絶妙な連携プレーで、事前に細かく打ち合わせていないのに、それぞれが自然に自分の役割を果たして火入れが進んでいくところが、見事です。
鎮火したところで、蕎麦苦楽部のメンバーが蕎麦の種をまいていく(これもまた難しいのです)のを、横一列になった参加者が、ほうきで灰をかぶせながら斜面を降りていきます。全身灰まみれになりますが、この灰が作物や山を豊かにしてくれると感じると、気にならなくなります。
無事火入れが終わると、皆さんでお疲れ様でしたの飲み方(飲み会)へ。男性陣がさっきまでの真剣なまなざしから、陽気で愉快な笑い顔に変わるのはあっという間です。
さて、今日まいた蕎麦の収穫まで、たった2カ月半。その間に草取りや害獣除けが待っています。
火入れは、特別なことではなく暮らしの営みの一部である、という先生の言葉を、これから作業を通してより実感できるのだろう、、と思います。
<火入れ後に、蕎麦の種をまいている勝さん>

2020年7月28日号
\\\プレゼント企画!焼畑と椎葉の暮らしを伝える絵本「りんたろうといのちの種」を読んでみませんか?///
久しぶりに雨がやみ、強い日差しが戻ってきた椎葉村です。今年も村内では焼畑が行われますが、コロナのために皆さんに来ていただくことが難しい状況です。
そこで今回は、皆さんにもっと焼畑や椎葉のことを伝えたい!という思いで、椎葉に伝わる焼畑農業の絵本の紹介と、ご希望の皆さまにこの絵本をプレゼントしてしまおう、という企画です。
縄文時代の農業を色濃く残した焼畑農業。山を焼いて、4年ほど蕎麦や雑穀、大豆を栽培した後、休閑期を設け森林を再生させています。かつては全国各地で行われていましたが、現在では椎葉村に残っているのみ。
椎葉村の焼畑は、豊かな森林を作り、そこで生きる人や生き物の命を支えてきた、古くから伝わる循環型農法であり、究極の自然農法ともいわれています。焼畑が続いてきた背景には、山で生きていくための知恵と技術、そして村の人たちの自然に対する畏敬の念があります。
焼畑を、焼畑を続けてきた椎葉の暮らしを、もっと多くの人に知ってもらいたい!なんと、椎葉村は、そんな思いを絵本にしてしまいました。それが「りんたろうといのちの種」です。
あらすじだけご紹介すると、、、
父の故郷である椎葉村に越してきた少年、りんたろう。村内をめぐり、祖父の話を聞き、都会では見たこともないことをたくさん経験しながら、命について考えていきます。
読んでみたい!と思った、パソコンの前のあなた!
ぜひ下記を確認のうえ、ご応募ください。皆さんがいつか椎葉に来るきっかけになる絵本かも??
<<「りんたろうといのちの種」プレゼント 応募条件>>
・ご氏名とお送り先(ご住所、お電話番号)を、SMOUTメッセージでお知らせくださる方
・「りんたろうといのちの種」を読んだ後、感想を書いてくださる方(文字数は問いません!一文でもOK。こちらもSMOUTメッセージでOKです)。
・そして、なんだか椎葉村が気になるなあという方
*応募の方には、発送準備ができた時点でお知らせします。随時発送作業を行いますが、ご応募が多い場合は、少しお時間をいただくと思います。ご了承ください。
<写真は、焼畑と椎葉の暮らしを伝える絵本「りんたろうといのちの種」>
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2020年6月29日号
「お話の先生」
雨が続く椎葉村。全国的にもこの雨により大きな被害があり、心が痛みます。椎葉は土砂崩れによる通行止めなどはありますが、地元の人たちによるあっという間の復旧活動により、支障のない生活を送れています。
そして今椎葉で、雨が早くやんでほしいと一番思っているのは、子どもたちかもしれません。今日はそんな子どもたちにとっての「お話の先生」の紹介です。
椎葉小学校には、毎週月曜日の朝「読み聞かせの時間」があります。そこでは、子どもの保護者や地域のボランティアさんによる「たんぽぽの会」のメンバーさんがいろいろな絵本を読んでくれます。
今日は1,2年生の子どもたちが、先生に連れられて図書室に入り、静かに座ります。朝のあいさつが終わると、「たんぽぽの会」代表の頼子さんが、4冊の絵本を見せました。
「かぜビューン」「ゆびたこ」「オニのサラリーマン」「おしりのあなうみへいく」
どれもイラストが迫力があって、なんだか面白そう、、、ちょっと眠そうだった子どもたちの顔が少し上向きになります。
「かぜビューン」で身を乗り出し、「ゆびたこ」ではどきどきしながら真剣に聞き入り、「オニのサラリーマン」では指をさして「知ってる!」と声をあげ、「おしりのあなうみへいく」で友達の顔を見ながら大笑い。低学年ならではの素直な反応がとても可愛らしく、頼子さんもなんだか楽しそうです。
4冊の本を読み終えて担任の先生がお迎えに来る頃には、なんだか心身がほかほか、ほぐれたような感じの子どもたち。頼子さんの「いってらっしゃい」「がんばってね」の声に見送られて、それぞれの教室に帰ります。
学校の授業に比べたらわずかな時間。でも、子どもたちは、誰かに読んでもらうお話、友だちと一緒に聞くお話、自分の知らない世界のお話を、時間を忘れて楽しんでいます。
頼子さんを中心にたんぽぽの会の皆さんが大切にしていることは、「本と子どもとの時間を楽しむ」ということ。会の活動報告の一文を最後にご紹介します。
「本をいっぱい知っていなければならない訳でも、読み方が上手でなければならない訳でもありません。子どもたちと一緒のひとときを、本を通して過ごす‥時間なのです。素敵な時間だと思いませんか?」
<お話に熱心に聞き入る、小学1年生2年生>
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2020年5月22日号
「神楽面作りの三鶴亀さん」
久しぶりの投稿になってしまいました!
今日は、神楽面づくりの古川三鶴亀(みつるき)さんを訪問しました。
三鶴亀さんは、すでに別のプロジェクト「日本三大秘境、椎葉村で、神楽の面作りを体験してみませんか?」でもご紹介していますが、伝統工芸士でもあり、役場の元職員でもあり、マラソンランナーでもあり、ロードバイカーでもあり、、という沢山の顔を持つ椎葉の先生です。
元々は県内小林市生まれの三鶴亀さん。若い時に水道の仕事で椎葉に来て以来、椎葉で仕事を続け、結婚、お子さんたちを育ててきた、という椎葉での移住の大先輩でもあります。
椎葉神楽を参拝して神楽面を「作ってみたい!」と思い、今から30年くらい前になんと我流で作り始めたそうです。その後、宮崎や熊本の能面師の先生から能面の技法を学び、神楽面に応用しながら制作を続けてきました。
椎葉にある神楽面の修復をしてみて、面のすばらしさや奥深さに気づいたという三鶴亀さん。椎葉神楽の面は、能面づくりと同じ工程で作られており、古い能面に残っている宗教性や精神性が感じられるそうです。
訪問時には、工房の中で新しい面の色塗りをされているところでした。愉快な、見る人をも楽しい気分にさせてくれる男性の面で、すでに渡る先が決まっているとか。
色塗りについてお話を伺っていたところ、奥さんのアヤ子さんが、「山のものを出しますよ」とにこにこしながら、きれいに盛られたお手製のお茶請けを出してくれました。
ゆず皮の甘煮、栗の渋皮煮、梅の紫蘇甘漬け、などなど。どれも香りも味わいも素晴らしくて、梅の紫蘇甘漬けについては、思わず作り方を聞いてしまいました。
アヤ子さんは、上椎葉ダムの見下ろせるこの山中地区で生まれ、ダムのできる前から椎葉村の姿を見て過ごしてきたそうです。地域のお子さんたちのために地区にプールを作ったりしたことなども、懐かしそうに話してくださいます。
数年前には、庭先にダムを見下ろせる展望台も完成。椎葉のたくさんの変化を見守りながら、外の人を迎え入れてくれる古川ご夫妻。神楽面作りのプロジェクトでも、問い合わせが多くありますが、神楽面はもちろんですが、このお二人の椎葉の話も多くの人に聞いてほしいなあ、と思います。
<写真は、アヤ子さんのお手製お茶請けと、三鶴亀さんの作り中のお面>
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2020年5月4日号
「蓬餅名人の、蓬摘みと蓬餅づくり」
今日は、松尾地区の蓬餅名人、伸一さんの元で、蓬(よもぎ)摘みのお手伝いです。
伸一さんは、椎葉生まれの椎葉育ち、これまで牛飼いや林業や椎茸、米作りをしながら、旬の地場産品づくりや、地区の子どものための活動やお年寄りのための演劇を行ってきた、多才な方です。
そして、お餅づくりが好きで、普段からたくさんのお餅を作っています。白餅だけでなく、蓬や旬の物を入れたお餅も作られていて、今日は蓬餅のための蓬摘みです。
おうちから少し離れた田んぼに行くと、一面の蓬!柔らかくて若緑のきれいな葉です。
きれいな葉だけをひたすらかごに入れていきます。摘んでも積んでも、田んぼにまだたっぷりあります。次第に葉を摘む親指と人差し指の爪が、蓬のあくで真っ黒に!
摘んだ蓬の葉を、重曹をいれたお湯に入れ、しばらく煮て葉が柔らかく崩れてきたら引き揚げるのが伸一さん流。重曹はたっぷり入れると色がきれいに出るとのこと。
ここからが本番です。
お餅が8割がたつけたところで、ゆであがった蓬を投入!そして蓬が完全に混ざって綺麗な若緑色のお餅ができたら、あたたかいうちに手にもちとり粉をつけ急いで丸めます。名人が作るときれいなまんまるになりますが、いざ自分がやってみると、粉が間に入ってしまって継ぎ目ができてしまいます。粉はつけすぎると、そこからカビやすくなってしまうそうです。そのうちに餅が手についてしまい、そのまま丸めるのも難しくなってきます。
椎葉の方を訪問する時よくご馳走になる丸餅。作るのは、こんなに手間がかかるんだなあ、、と改めて気づきます。蓬がたっぷり入った蓬餅は、ついた次の日もやわらかくてびっくり!焼き色がつくくらいに温めて、お醤油をたらして食べたら、蓬の風味がたっぷり。
伸一さんは、今の時期に旬の蓬をたくさんストックして、一年中蓬餅を作るそうで、今年は「2000個くらいは作ろうかな」とのこと。作ったお餅は近所に分けたり、遠くにいる友人に送ったりして、「喜んでもらうのが嬉しい」という伸一さん。今日は蓬餅以外にも、タケノコもゆでて山椒酢味噌和えを作ってくれました。
余談ですが、蓬関連で。
椎葉は春から夏にかけてムカデが多く、家の中に入ってくることもあります。蓬つみをしたその日の夜に、油断していたら足指を噛まれてしまい、じんじんとしびれていたのですが、蓬エキスを塗るとあっという間に痛みも腫れもひいて、あらためて植物の力を実感!!お風呂に入れても、冷えとり効果があり、まさに万能薬ですね。
<写真は私ともう一人の見習いが作った、いびつな蓬餅たち。>
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2020年5月2日号
「一枝三葉 八十八夜のお茶摘み」
GWの初日に、移住者の先輩のおうちに野良仕事のお手伝いに行ってきました。
内村夫妻は、田舎暮らしをしたいと2年前に椎葉の栂尾地区へ移住、近くの耕作放棄地を借りて田んぼや畑をしながら子育てされています。農業の他にも、ご主人はテレワークのライターや、会議のファシリテーターをしたり、奥さんは地区の集落支援員をしたり、、と、現代の山暮らしを満喫していて、まさに「移住の先生」です。
今日の野良仕事は、お茶摘み。
前日の5月1日は八十八夜、新緑の季節の気持ちよい作業日です。
内村さんのおうちの裏山に上がると、斜面一面にお茶の木が。放棄され荒れていたところを、少しずつ手を入れてお茶畑に戻しているそうです。最初に摘み方を教えてもらい、若葉だけを丁寧に摘み取ります。
お茶摘みでは、「一枝三葉(いっしさんよう)」という言葉があるそうです。
一つの枝についている三つの若葉を摘み取るという意味だそうですが、調べてみると、「一芯三葉」とか「一心三葉」とか、いろいろ出てきます。いずれにせよ、この時期に若葉だけを丁寧に摘むことが、おいしいお茶の秘訣のようです。
できるだけ丁寧に、傷や虫のない葉っぱを摘んで、かごに入れていくうちに、太陽の日差しに少し蒸されて、かごの中からお茶の香りが漂ってきます。
夏日のような日差しの日で、休憩はすぐ下の小丸川の河原で。川水に足をつけるとびっくりするくらい冷たくて、一分もつけられません。お茶の後、みんなで「石切り」をして遊びました。屋外の農作業は、暑さ寒さも厳しいですが、自然の恵みのありがたみや喜びも感じられます。
内村さんは、「今のコロナの状況が落ち着いたあとには地方移住の波がまた来るはず。」と言います。その時に備えて、人を受け入れる土壌を地域でつくることも自分たちの役割だと感じているそうです。
椎葉のお茶は、昔ながらの「釜炒り茶」。現代の日本茶は蒸すのが主流ですが、釜入り茶は生葉を炒って作ります。地元の人のお宅には、たいてい煮炊き用とお茶炒り用の二つの外かまどがあり、自分の山でお茶を摘み、炒って、一年分のお茶を作ります。
またその様子はまたいつかレポートできればと思います。 お楽しみに。
<写真は、お茶を摘みながら見る小丸川(栂尾地区)>
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2020年4月24日号
「300年後を見越して、樹を植える」
4月のある土曜日、向山地区の山で行われていたのは、、、
植樹です!
去年焼畑を行い、蕎麦を作った斜面で、に、欅(けやき)と椚(くぬぎ)の苗木を植えました。
作業の仲間は、焼畑蕎麦苦楽部の0歳からベテランさんまで、数名。
本日の「先生」は、このベテランさんの一人、義光さん。山の暮らしを愛し、外から来た私たちにも惜しみなくその知恵を教えてくれる、有難い存在です。今日は、植樹のやり方をレクチャーしてもらいました。
① 山鍬を使って、草木の根を切りながら穴を掘ります。十分な大きさになったら、苗木を真ん中に立て、ちょっと力を入れて押し込みます。
② 掘り出した周りの土を穴の中に半分くらいまで落とし込み、苗木の根の周りをギュギュっと足で踏んで固めます。
③ 掘った穴の周りの土を山鍬で掘り起こしながら苗木の根元に寄せて、完了。
山の斜面は、いろいろな根がぎっちりなので、畑用の鍬でなくて皆さん山鍬を使っています。でも根以外は、これまで焼畑をやってきたからか、黒くてふかふかした土で、山鍬を入れた瞬間に思わず歓声があがります。
風も強い斜面での作業ですが、みんなでやると、笑いが絶えず大変なはずの作業も楽しくなります。
義光さんは、私が1本植える間に3,4本植えていて、私の分の穴まで掘ってくれています。
時々斜面に腰を下ろしてお茶を飲んだりしながらも、たくさんあった苗木をあっという間に植えてしまった皆さんのパワーがすごい!
植えた木を伐採できるのは、なんと300年後とか。
椎葉の人は、何世代も後の未来とつながって、今を生きている、そんなことを思います。
それは、ちょっとやそっとのことでは揺るがない、大きな軸となって、山の暮らしを作っています。
この日、本当は「海山交流植樹祭」という名前で、海と山の人たちの交流も行われる予定でしたが、コロナの影響により、急遽身内での活動になりました。それでも、他の地域に比べると、いつも通りの暮らしができていて、本当にありがたいと思います。
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