山と家族と犬と鶏と…半農半Xの新しい暮らし We are The 34Sassys!

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経過レポートが追加されました!「お譲り交換会リレー in The 34Sassys(ザ・サッシーズ)!!」

2025/11/28

「興味ある」が押されました!

2025/11/15

突然ですが、あなたは今から10年後、自分が何をしているか想像できますか?

VUCA(ブーカ)と呼ばれるこの時代、新型コロナウィルスの流行、AI技術の急速な進化、直近では米価高騰など、実際に激しい変化が次々と起こり、10年先はおろか、5年先のことさえも見通すことが難しくなってきました。

一方で、こんな世の中だからこそ、何かが起きるたびに翻弄されるのではなく、自分の内側に目を向けて「何がしたいのか」をじっくり見つめ、コツコツと行動していくことが、時代を生き抜く鍵になるのかもしれません。

今回は、「生きるために働く」という理想を胸に、40代で会社を辞めて萩市佐々並(ささなみ)へIターンし、家族で半農半Xの暮らしづくりをスタートさせた笹瀬さんご一家に取材しました。

地縁もなく人口も少ない土地で「自給自足」と「自分がやりたいこと」の両立は、本当に可能なのでしょうか? 都会を出た理由や家選びのポイントは? 家族の生活はどのように変わったのか? 移住5年目、週末にご飯をじっくり炊いて食べるのが楽しみになってきた萩市ローカルエディターの三枝がインタビューしてお伝えします。

お金を稼ぐためではなく生きるために働きたいと思うようになった

三枝 萩へ移住する前は、どのようなライフスタイルだったのですか?

笹瀬智広さん 職場は東京で、旅行会社に勤めていました。仕事は海外旅行がメインだったのですが、コロナの影響で国内旅行になりました。妻も同じ会社に勤めていたので、そこで出会って結婚して、初めはマンションに住んでいたんですが、子どものことを考えて千葉県の印西(いんざい)市に家を購入して、小さなスペースでガーデニングを始めたりもしていました。

笹瀬香織さん マンションではどうしても騒音というか、周囲に気を配らなくてはいけないんですね。子どもが椅子からポンと飛び降りると苦情のお手紙が来たりするので…そうすると「してはいけない」という教育になってしまう。のびのびと子どもらしく育てたいという思いがありました。

三枝 お子さんは3人ですね。それぞれおいくつなんですか?

香織さん いま長女が中3、長男が小6、次男が小3です。

三枝 ライフステージの変化に合わせて、首都圏で暮らす方ができうる限りの対応をしっかりとされているようにも思うのですが、移住に踏み切ったきっかけは何だったんでしょうか?

智広さん 若い頃から、お金を稼ぐために働いている感じがしていて、生きるために働きたいという気持ちから、自給自足を思うようになったのがきっかけです。それで、農地つきの物件を探していく中で、いきなり農業だけという形を取るのではなく、半農半Xという考えに落ち着きました。

香織さん 子どもたちにとっても、田舎でのびのびと育つことで、自然から学べることがあるのではないかと思いました。

三枝 住むところとしては、何を重視して探されましたか?

智広さん 子どもがまだ小さかったので、空き家を修理しながら住むのは難しいと思い、平屋ですぐに住めるところを探しました。とくに水回りは重視して、汲み取り式のトイレは避けることにしました。あとは家の中から田んぼが見えるロケーション、そういった幾つかの譲れないポイントがあって、ある程度マッチすればいいなと思いました。

三枝 なぜ萩市を選ばれたんですか?

智広さん 関東では長野などに移住する人も多いんですが、私たちは海が好きなので、海がない県はイヤだなと。和歌山も見ましたが、“災害が少ない”というところで、中国地方が頭に浮かびました。それで岡山、山口の長門と見て回って、萩では偶然、田万川と佐々並に条件に合う物件があって、全く縁もゆかりもないところだったのですが、家族みんなで1回だけ見に来て、はぎポルトの移住支援員の溝部さんと一緒にまわりました。 田万川では先生が直接、学校の中を丁寧に案内してくださったりもしたのですが、佐々並では萩市移住サポーターで「ささラブ応援隊」の一員でもある廣田さんも案内してくださって。これから住むところがどういうエリアか、地元の方が最初から案内してくれたところは他にはなかったので、最終的に佐々並に決めました。

香織さん 全校生徒の数や男女比率など、子どもが一番聞きたかったことから、買い物はどこですればいいなどの現実的な話まで、質問プラスαで答えて頂きました。溝部さんの対応も良かったです。やっぱり移住って、きっかけは人だったりするのかなと。だから私たちも全然知らないところに移住するのではなくて、「知り合いがいるから安心」という気持ちで来られたんです。

智広さん 2023年の12月24日に引越してきて、その数日前まで雪だったそうなんですが、当日も廣田さんが待っていてくれて、自分ではほとんど何もしないで移住できました。今でもいろいろ助けて頂いてます。

目の前が田んぼのロケーションが条件だったという笹瀬さんご夫妻
目の前が田んぼのロケーションが条件だったという笹瀬さんご夫妻
ご主人が床を張替えた快適なリビングで団欒する毎日。窓を開ければ田んぼが広がります
ご主人が床を張替えた快適なリビングで団欒する毎日。窓を開ければ田んぼが広がります

田舎なのに“ある”ものだらけ?自然・人の助け・友達・海外の人

三枝 半農半Xはどのように実現されていますか?

智広さん 家の前に田んぼが2反※あるのですが、トラクターで苗植えもしてもらえて、あとは自分たちで草刈りや虫対策をどうするかという程度だったので、初年度はほぼ見ているだけという感じでした。 今年は家族みんなで田んぼの半分は手植えをしてみようと挑戦しているのですが、腰が痛くなっちゃって。まだ半分しかできていない状態です。施肥については野菜や米ぬかなどの天然肥料を使ってみようと思っています。

※田んぼの単位:1歩(ぶ)=1坪(畳2枚分)1畝(いっせ)=30坪、1反(いったん)=300坪、1町(いっちょう)=3000坪。2反はテニスコート(シングルス)10枚分の広さ

香織さん 今年の米づくりはできるだけ機械を使わずに、クワとカマだけで行こうと思ってます。 田植え前には、子どもたちは学校から帰ってきたらすぐに制服を脱いで泥遊びをしていました(笑)

三枝 それで田んぼに足跡がいっぱいあったんですね!(笑)半Xの方はいかがですか?

智広さん 自宅の一部を使って、2024年7月にホームステイ型民泊『The 34Sassys(ザサッシーズ)』をオープンしました。Booking.comなどの予約サイトを利用して、日本はもちろん北欧、フランス、ドイツ、香港、韓国などからもお客様が来られます。また、萩市ふるさとツーリズム推進協議会と連携したホームステイも行なっています。ファミリーで来られる方は、子ども同士でいつの間にか仲良くなってるんですよ(笑) 子どもたちもこの国に行きたいとか、英語を喋りたいと言い出しました(笑)

香織さん 田舎にいても家をグローバルな環境にしたことで、子どもたちにも影響が出てきました。学校でALT(外国語指導助手)から学んだことをお客さんに話してみたり、生きた会話ができるのが嬉しいようです。 うちはペットもOKなので、「ワンちゃんが来るよ」とか、「この国の人だよ」と、どんな人が来るか事前に伝えるようにしています。

三枝 それはいいですね!お客様の反応はいかがですか?

香織さん ここはすぐそこに山があって、川も流れているので、それがすごく落ち着くと皆さん仰います。 ふだんは眠れなくて、アプリで自然の音を流しながら寝ているというお客様がいらっしゃたんですが、自然の音を聞きながらぐっすり眠れたと仰っていました。 ペット連れのお客様も、いつも吠えるのに、ここに来たら全然吠えなくて、お腹を出して寝ていた(笑)というお話も聞いたりします。

三枝 お子さんたちはどうですか?学校など環境の変化に馴染んでいますか?

智広さん 印西では50人くらいの少人数の学校で、複式学級だったので、そんなに違和感はない感じです※ ただ、友達と遊ぼうと思ったら車で送迎する距離なので、そこだけが変わったところですね。田舎でいろんな年齢の子と一緒に学んだり遊んだりできるのは、いいことなんじゃないかと思ってます。社会に出たら、同じ年齢の人だけという環境はほとんどないので。

※印西市では、少子化の進展で児童生徒数が減少している地域と、宅地開発等により増加している地域が混在しており、学校の小規模化と大規模化が同時に進行している。

香織さん 遊ぶことで得られるアイデアもあると思うんですね。大人になった時に、あの時の遊びがあるから生まれるとか。子供らしい生き方、人間らしい生き方で生きる力がつくのではないかと思っています。

家族の足跡でいっぱいの田んぼ。初めての手植えを思いきり味わった幸せの足跡
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地元の木工クラブの方に作ってもらった型抜きで、皆で郷土料理の押し寿司体験も!
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補助金も上手に活用して家を改修、カフェの起業も!

三枝 笹瀬さんご夫婦は移住されて今、どんなことを感じていますか?

智広さん 国道から見る、自分の家と田んぼと山が一つになった風景が好きですね。 あと、以前印西に居た頃は、大好きな海へ出るのに朝から準備して2時間かけてやっと着いて、遊んで帰るのが1日がかりでした。でも今は「海へ行こう!」と思ったら、いつでも30分で菊ヶ浜の綺麗な砂浜に出て遊べるのがいいですね。

香織さん 鶏を飼っているので、たまごが採れるようになったらそれも使って何か作ってみようと思っています。それと、ご近所の方が野菜を届けてくれるのがありがたいですね。恐縮してると二人暮らしだから食べきれないからと。他にも苗を頂いたり、生かされていると感じます。

三枝 萩へ移住したことで、何か役に立った補助金などはありますか?

智広さん 最初は「がんばるリノベ応援事業」を使おうと思っていたのですが、リビングの床を自分で変えた時点でこれは結構大変だと思い、「がんばるリノベ」はやめて、「萩暮らし応援事業」を使って、冷たいタイル張りだった浴室をユニットバスに変えました。 それと、明木でカフェができそうな家を借りられることになり、「萩市移住創業チャレンジ支援事業補助金」を使って古民家カフェ『The 34Sassys』を2024年8月にオープンしました。

香織さん カフェでは旭地域(佐々並・明木)の生米で作ったカップケーキ「ふわもちこめかし」を看板メニューに、おむすびや豚汁など、体にやさしいごはんを提供しています。 1日だけの限定オープンから始めて、イベント出店、地元道の駅などでの委託販売、最近ではお譲り交換会のリレー会場としても参加し、たくさんの方に食べて頂くことができました。

三枝 あ、知ってます!市内のお店を巡るお譲り交換会リレー、春夏の3つ目の会場は笹瀬さんのお店だったんですね! お店でも地域との交流をしっかりとされているんですね。ぜひ今度、カフェにも行かせて頂きたいです! 本日は、貴重なお話をたくさんお聞かせ頂き、ありがとうございました。

〜・〜・〜・〜・〜

いかがでしたか? はぎポルトに移住相談に来られる方の中には、「自給自足」「家庭菜園」といったキーワードを口にされる方もたくさんいらっしゃいます。 それは広い庭を持つことが難しい都会暮らしの人にとっての夢であり、安心・安全・新鮮な食べ物を手に入れると同時に、最近の物価高騰を考えると、より現実的な防衛策にもなってきそうです。

都会から移住して、自分の憧れをどのように実現するか…具体的な方策が立てられないまま、動けなくなってしまっている人、いませんか。

笹瀬さんは、移住1年目から周囲の力も借りながら無理のない農業を始めて、家の一部を民泊スペースにすることで収入源を確保。続けてカフェを作って地域の特産品を活かしたフード販売と、目標を立てて1つずつ着実に進められています。それでもいきなりフル回転で行くのはなく、じっくり、できるペースで。今年は既にネット通販も始めていらっしゃって、お菓子作り教室やイベントも計画されているそうです。

半農半Xをイメージして移住を考えている方も多いと思いますが、笹瀬さんから学ぶ幸せな田舎暮らし実現の秘訣は… ①やりたいことの整理 ②地域にあるものを活かす ③できることをピックアップ ④計画を立てて実行 ⑤ムリしないこと

そして、この繰り返しが10年後に理想の自分に出会うための道を作っていくのかもしれないと思いました。

皆さんはどう思いますか? ぜひ「興味ある」を押してあなたの想いをお聞かせください。

鶏が子どもたちの遊び相手にもなってくれます。抱っこしたりおいかけっこしたり(笑)
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明木(あきらぎ)にオープンしたカフェ。すべてが未来につながる大切な一歩
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このプロジェクトの経過レポート

このプロジェクトの地域

山口県

萩市

人口 4.11万人

萩市

三枝英恵が紹介する萩市ってこんなところ!

日本で唯一「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」といわれるほどの城下町の町並みを残し、自然も豊か。その中に人々の暮らしがある、それが萩市です。

今回ご紹介した笹瀬さんがお住まいの佐々並地域は萩市街地と山口市の中間地点にあり、江戸時代に萩と三田尻(防府市)を結ぶ53kmの「萩往還(はぎおうかん)」の宿駅として栄えました。また、当時の景観を現在まで色濃く残していることが評価され、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。

佐々並には萩市で一番標高が高い「男岳(おんだけ・789m)」があり、気候は標高差により異なりますが、佐々並は市内中心部と比べて気温が5~6℃ほど低く、冬は積雪があります。昼夜の温度差が大きいため、萩の中でもおいしいお米の産地としても知られています。

また、200年以上続く伝統の製法で作られた「ささなみ豆腐」が名産です。 萩市へおいでの際には、ぜひ佐々並地域の魅力にもふれてみてください🤗✨

(写真は佐々並市伝統的建造物群保存地区)

このプロジェクトの作成者

プロフィール画像

こんにちは!萩市ローカルエディターの三枝です。萩・明倫学舎4号館「はぎポルト」から、地域で輝く人や楽しいイベントなどを紹介しています。わたし自身、東京からの移住者ですので、これからも移住者としての視点も大切にしながら、皆さんのお役に立てる情報をお伝えして行きたいと思っています。

【はぎポルト 開館時間】 毎週火曜日~土曜日 9:00AM~6:00PM 地域のディープな情報や空き家の提供や空き家バンクのご相談、定住相談の窓口として、どなたでも自由にお越し頂ける開放的なスペースです。キッズコーナーもありますので、お気軽にお立ち寄りください。

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