
【後編】人をつなぐ"マチ"をつくる―― 山中真樹さん(旧大津公会堂 館長)
公開日:2025/09/10 05:41
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2025/09/12滋賀・大津。ここは、ヒトがまちに恋し恋され、自分なりの愛情でまちと歩む「恋するまち」。本シリーズでは、縁あって大津に出会い、それぞれのやり方で大津に携わる「大津な想い人」へのインタビューをお届けする。
今回は、前回に引き続き「大津に恋するまちづくり」の運営にも携わる旧大津公会堂 館長の山中真樹さんにインタビューをお届けする。
公会堂から広がる“大津らしさ”――後編
――前編では、公会堂の役割について伺いました。今回は視点を大津全体に広げてお話を聞かせてください。山中さんから見た「大津の特色」「大津らしさ」とは何でしょうか。
山中:大津は時間の流れがほかの都市よりゆったりしていると思います。だからといって田舎のように何もないわけではない。琵琶湖や山があり、歴史的建物も多い。そうした環境が人々の感覚に影響しているのではないでしょうか。
――時間感覚に環境が作用していると。
山中:はい。時間は空間に依存すると思います。大津は“あくせく”と“のほほん”の中間にあって、自分らしく楽しめる時間を過ごせる。その感覚が人間性に表れ、まちの人々が誇りを持って暮らしているように感じます。
――その“大津らしい時間感覚”は、公会堂にも反映されていますか。
山中:利用者さん次第ですね。私たちが細かく縛ることはなく、「公共だから他の人に配慮を」とお願いする程度です。だからバタバタと急ぎ足で使う人もいれば、のんびり過ごす人もいる。一定のリズムがないからこそ、それぞれの時間を持ち込める。それが公会堂の良さだと思います。
――まさに「自分らしく過ごせる」場所。大津の縮図のようですね。
◇つながる“きっかけ”を生む拠点に◇
――一方で、大津に課題を感じる部分はありますか。
山中:自治会や地域団体など活動は多いのですが、それぞれが独立している分、横のつながりが弱い。対立しているわけではなく、単に交わる「きっかけ」がないだけなんです。
――確かに「知らないだけ」という状況は多そうです。
山中:だからこそ、公会堂のような場が“つなぐ装置”になれたらと思います。例えば結婚式や成人式といった節目のイベントをここで開くのもいい。家族や地域の人が一堂に会し、人と人が自然につながる。そんな場面にこそ公会堂の力が発揮されるのではないでしょうか。
◇“まち”ではなく、“マチ”をつくる◇
――では、山中さんにとって「大津を想う」とは何ですか。
山中:キーワードは「まちづくり」です。ただしここで言う「まち」とは、建物やインフラではなく、“マチ”なんです。
――マチ、ですか。
山中:紙袋の底の折り込みを“マチ”と言いますよね。あれがあるから袋にふくらみができ、物を受け入れられる。まちも同じで、多様な人々を包み込む懐が必要なんです。私にとってのまちづくりは、この“マチ”を広げること。互いに知らない人同士が出会える土壌を整えることが「大津を想う」ということにつながるのだと思います。
――「まちづくりは人づくり」とよく言われますが、その第一歩には“マチ”という名のゆとりが大切なのですね。


このプロジェクトの地域

大津市
人口 34.06万人

特定非営利活動法人BRAHart.が紹介する大津市ってこんなところ!
大津市は、比良・比叡の山並みとびわ湖に代表される自然と、様々な歴史の舞台となった豊かな文化財を有する歴史と文化に彩られた都市です。 滋賀県の県都として、市外の方からも評価をいただき、現在も転入超過※を続けている「選ばれるまち」です。
このプロジェクトの作成者
「障がいがあろうとなかろうと、好きなこと得意なことを仕事にして精一杯生きる」をモットー2014年設立。大津市瀬田地域を中心に、「社会を楽しくするのが福祉のミッションだろ!」を合言葉に、近江國一之宮建部大社の朝市や、石山寺縁日の運営に携わったり、近隣の子ども達への学習支援ブレイクスくール、滋賀の食材とアーティストを応援するcafe&galleryspoonsの経営など、社会から支援される側から、支援する側にまわる活動を続けている。
















