子どもの未来を切り開く本部町地域おこし協力隊

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2025/11/08

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2025/11/02

沖縄県本部町、伊江島との玄関口である本部港、瀬底島や美ら海水族館などを抱えている青い海と豊かな自然に囲まれた町。大正時代にカツオ漁で栄えた町も、現在は高齢化と過疎化が社会課題となっています。そんな本部町で、子ども達の希望進路への支援と、地域資源を活かした学び、この2つを通して地域の活力を高める「教育魅力化」のプロジェクトに携わる地域おこし協力隊の後藤さりさんに、これまでの活動について語ってもらいました。

何か面白いことが始まりそう

後藤さんは、東京での空間デザインの仕事を辞め、本部町にやってきました。彼女がこの町を選んだきっかけは、偶然目にしたウェブサイト「仕事百科」の記事。そこには、本部町が新たな教育魅力化プロジェクトを立ち上げるという情報が掲載されていました。沖縄には叔母が那覇に住んでおり、幼い頃から家族旅行で訪れていた親しみのある土地だったこともあり、「何か面白いことが始まりそう」と感じた後藤さんは、迷わず応募。25歳の若さで、未知の挑戦に飛び込みました。本部町に降り立った初日は、青々とした海とゆったり流れる時間が印象的だったといいます。町の中心にある交差点には「本部町へようこそ」の看板が立ち、そこで感じたのは、都会の喧騒とは対照的な穏やかな空気。後藤さんが最初に取り組んだのは、本部町教育魅力化プロジェクトの一環である中学生向け公営塾の立ち上げです。 開校初日、交差点近くの歴史あるホールを借りて始まった塾には、80人もの中学生が集まり、予想以上の反響に後藤さんたち初期メンバーは驚きと不安でいっぱいだったそうです。「教えることに不安はあったけど、子どもたちを目の前にしたらやるしかなかったです」と振り返る後藤さん。塾の運営は、教材作りから生徒募集まで地域おこし協力隊が担っており、まるで「映画のような展開」だったと笑います。本部町には放課後に遊ぶ場所が少なく、この塾は勉強の場を超えて、子どもたちが安心して過ごせる居場所というもう一つの目標があります。様々な境遇を持つ生徒たちが、互いに励まし合いながら学ぶ姿や、プロジェクトに協力してくれる職員や地域の人たちを見て、後藤さんは本部町の温かさと可能性を感じたそうです。

赴任1年目公営塾で教える様子(写真左)
赴任1年目公営塾で教える様子(写真左)
塾の掃除に取り組む生徒たち
塾の掃除に取り組む生徒たち

仲間と共に挑む試練と葛藤

本部町での3年間は、全て順風満帆というわけではありませんでした。教育魅力化プロジェクトの立ち上げ当初、7人の初期メンバーで始めた公営塾の運営は、誰もが未経験の状況でのスタートでした。町役場からは「協力隊のアイディアを重視して、自主的に進めてほしい」と場所を提供されたものの、具体的な仕組みや教材は全て自分たちで作り上げる必要がありました。後藤さんは「右も左もわからないまま、子どもたちが来るからやるしかなかった」と振り返ります。はじめは緊張感のあった塾の中も、徐々に子どもたちの笑顔で溢れていきました。

そんな中でも、困難はありました。互いの熱い想いがぶつかる場面も多かったそうです。年齢や経歴の異なる個性豊かな隊員たちが集まり、それぞれの視点で町の課題に取り組む一方、意見のすれ違を感じる瞬間もあったと後藤さんは語ります。この困難を乗り越える一つのきっかけとなったのは、外部の地域おこし協力隊アドバイザー派遣でした。総務省の制度を活用して招かれたアドバイザーは、隊員たちのフラストレーションを受け止め、本音を吐き出す場を提供。後藤さんは「知らない第三者に話すことで、みんなの毒が抜けた」とその効果を振り返ります。

町の子どもたちも、塾での学びを通じて変化を見せていました。学力向上に課題を持つ本部町ですが、塾に通う子どもたちの「勉強が楽しい」という声が増え、保護者からの信頼も厚くなっていきました。こうした小さな交流が、彼女のモチベーションを支え、チームの結束力を高めていったのです。2年目の後半、チームは新たな挑戦として本部高校チャレンジ塾やあおいろ楽舎の立ち上げに取り組みました。後藤さんは推進チームとして、プロジェクト全体のコーディネートを担当。教育委員会との橋渡し役として、隊員のアイデアをどう町に根付かせるかを模索しました。

連携を図るためデスクは教育委員会
連携を図るためデスクは教育委員会
当時の中学生達と一緒に
当時の中学生達と一緒に

本部町の未来を共に描く

本部町の課題である過疎化や見えない貧困に対し、塾は単なる学習の場を超え、子どもたちの居場所としての役割を果たしました。町には放課後に遊ぶ場所が少なく、子どもたちが集まれる安全な空間が求められていたのです。チームの葛藤を乗り越え、町と向き合う中で、後藤さんは本部町の温かさと可能性を改めて実感したのです。

後藤さんの本部町での活動は、教育の枠を超え、町全体の未来を見据えたプロジェクトへと広がっています。地域おこし協力隊の卒業生が活躍できる団体を設立する構想も、彼女の夢の一つです。この団体は、隊員が本部町に定住し、町づくりに貢献するための受け皿となることを目指しています。後藤さんの活動の根底には、本部町の課題である過疎化や教育環境の改善への強い思いがあります。本部高校の入学者減少をきっかけに始まった教育魅力化プロジェクトは、単なる学校の存続を超え、子どもたちの未来を支える取り組みへと発展しました。

「それまで引っ込み思案だった高校生が、1年後には町の祭りの司会を務めたり、子どもたちの成長を見れることが嬉しいですね」と語る後藤さんは、この町の子どもたちに、夢を持てる場所を提供したいと感じました。彼女の活動は、子どもたちだけでなく、町全体のコミュニティを繋ぐ架け橋となっています。任期後も本部町へ定住し、街づくりや教育に携わりたいと考えています。任期終了後、街づくりの先進事例を学ぶべく、北欧デンマークへの短期滞在を計画。「本部町に何か新しい風を吹かせたい」と語る彼女の目は、町の未来への希望に満ちていました。後藤さんの本部町での3年間は、町との深い結びつきの中で新たな夢を育む時間でもありました。

取材日:2025年8月18日

高校生たちと一緒に
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インタビューに答えてくれる後藤氏
インタビューに答えてくれる後藤氏

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エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。

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