地域おこし協力隊から伝統菓子の継承者へー二人の「これから」を聞く(後編)

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2025/12/04

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2025/11/28

前編では、地域おこし協力隊として上五島に渡った竹内紗苗さんが、移住仲間の岡本幸代さんとともに菓子工房「花野果」を受け継ぎ、2018年の承継から2020年の工房移転・カフェ開設へと歩んだ道のりをたどりました。

後編はインタビュー形式。二人の「なくしたくない」という想いが商品づくりや地域活動へどうつながっていったのか、そしてこれからの挑戦(畑づくり、仲間づくり、次世代への継承)をうかがいます。

前編あらすじ:協力隊→継承の決断→移転とカフェ開設。 前編はこちらhttps://smout.jp/plans/25107

地域おこし協力隊から始まった、“花野果”との運命の糸

Q1. なぜ協力隊として上五島へ来たのですか? — 記者の仕事から「地域に根づく暮らし」へ踏み出したきっかけ、2015年着任までの流れを教えてください

A1. 新聞記者の仕事を通じてたくさんの人に出会いましたが、一番かっこいいと感じたのは、土地に根を張り、日々の暮らしを懸命に大切に生きている人たちでした。私もどこかの土地で根を張って生きてみたい。そんな思いが強くなった時、地域おこし協力隊の制度を知りました。都内で開催されていた相談会に参加したりもしましたが、面接で伺った新上五島町の穏やかな時間の流れと、面接での「町を一緒に盛り上げてほしい」という現町長の熱い言葉が心に残り、新上五島町への移住を決めました。

Q2. 花野果を「継ぐ」と決めた瞬間を教えてください。 — 先代の想い、迷いと背中を押した出来事、承継後のお二人の役割分担について

A2. 先代の花野果さんから後継ぎのお話をいただいた時、正直この道で食べていけるのかは不安でした。当時の花野果さんは、60代と70代の女性2人で切り盛りされていて、通常勤務は週2日のみ。かんころ餅が忙しくなる冬は、毎日早朝から夜まで働き詰めでしたが、それ以外は、郷土菓子のふくれまんじゅうやかりんとうを製造して、町内の直売コーナーで販売しているだけでした。花野果の商品の可能性を探るため、町内のイベントに出店して、お客さまの反応を伺うことにしました。すると、どのイベントでも売れ行きは好調で、花野果さんのお菓子がたくさんの人に愛されていることを感じました。また、私たちが花野果の仕事を手伝っていると、たくさんのお客さまから「来年もかんころ餅をお願いね」と期待の声をいただきました。島で愛されてきたお菓子を未来へ残そうと、花野果を継ぐことを決めました。

かんころ餅をチップスに!?「かりころ餅」誕生秘話

Q3. 「かりころ餅」はどう生まれましたか? — “切って焼く手間”をどう乗り越えたのか、手土産に合う形やパッケージの狙いまで

A3. 移住者の私たちがかんころ餅に抱いていたイメージは、焼いて食べるとすっごく美味しいけど、「切って焼くのが面倒」「お土産には重たい」というネガティブなものでした。五島を代表する名物だからこそ、もっと手軽に味わえて、手土産にも使ってもらえるにはどうしたらいいか。試行錯誤を繰り返して完成したのが、かんころ餅をチップスにした「かりころ餅」です。パッケージにもこだわり、かんころ餅を連想できるかまぼこ型の箱に詰めました。

Q4. 「ながさき手みやげ大賞」大賞の手ごたえは? — 島内外の反応、品質基準としての意味、次の挑戦への影響について

A4.「手軽に食べられるかんころ餅」というコンセプトを専門家の方々からも評価をいただけたことが自信に繋がりました。五島名物である「かんころ餅」を100%使ったお菓子なので、島内の方々から「手土産に使いたい」という声をたくさんいただくようになりました。令和6年度には、長崎県ブランド農産加工品「長崎四季畑」にも認証されました。受賞によって、「かんころ餅」が長崎を代表する特産品であるということを再確認できました。新しい商品を作ることも大切ですが、かんころ餅を作り続けていくこと、かんころ文化を残していくことが使命なんだと感じるようになりました。

地域に根づき、未来を耕す——島とともに歩む花野果の物語

Q5. 2024年の「商工会女性部 主張発表」優秀賞受賞について教えてください。 — 地域活動が評価されたポイント、事業づくりとまちづくりのつながりをどう感じましたか?

A5. 地域おこし協力隊を卒業するとき、「これからも地域おこしを目標に活動しよう」と誓いました。花野果にとって一番身近なお客様は、島の人たちです。この島で事業を続けていくためには、島が元気じゃないといけないという思いもありました。島内の飲食店やハンドメイド作家が集う「GOTOマルシェ」を毎年開催していましたが、コロナの影響で中断。2023年からは、所属する商工会女性部の若手で「かみごとうぐるぐる」というチームを立ち上げ、小さな夏祭りの開催や、5月10日の「五島の日」を盛り上げる取り組みを各事業所で実施してきました。昨年、岡本さんがこれまでの取り組みを「商工会女性部主張発表」でスピーチしたところ、全国大会で優秀賞に選ばれました。

Q6. これから、何を一番に進めたいですか? — さつまいもづくり、仲間づくり、次世代への継承など、今後の具体的な一歩を聞かせてください

A6. 2代目花野果として駆け出して8年が経ちましたが、かんころ餅を取り巻く状況は急速に変化しているように感じます。町内のさつまいも生産量が減り、原料不足が深刻です。かんころ餅を製造する業者も高齢化し、このままだとかんころ餅が希少なものになってしまいます。これからは、原料となるさつまいもの生産に力を入れていきたいと思っています。自分たちだけではマンパワーに限りがあるので、さつまいも作りの輪を広げていきたいです。

取材後記

赤と緑のユニフォームを見かけると、いつも元気いっぱいに声をかけてくれる。花野果を継いだと思えば、新商品でながさき手みやげ大賞を受賞し、工房を新築し、商工会でも大活躍——日々、進化を続けています。町の中でも「赤と緑のユニフォーム」はちょっとした有名人。二人の存在は、確かな希望そのものになっています。 「地域おこし協力隊のその後」は、スマウト読者のみなさんにとってもきっと気になるテーマだと思います。協力隊という肩書を外してから始まる暮らしの物語——そこに、伝統を継ぐという選択があります。 伝統継承で根付く生き方があること。島の味を守りながら、今の暮らしに合う形へと磨き続けること。移住して、地域の人との縁が繋いだ日々が、この町の明日を少しずつ明るくしているのだと感じました。その歩みの積み重ねが、地域おこし協力隊という選択の意味を、未来へとつないでいくと感じました。

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*また、島の暮らしをもっとイメージしたい方は、ぜひ「新上五島町」が発信しているほかの記事も読んでみてください。きっと新上五島町での生活が、よりリアルに思い描けるはずです。

このプロジェクトの地域

長崎県

新上五島町

人口 1.50万人

新上五島町

新上五島町が紹介する新上五島町ってこんなところ!

この島は、自然との距離が近い。 時を忘れて浸ることができる。 街を歩けば、神社仏閣、教会など、 歴史や文化が生活に溶け込んでいる。 町民の気質は「お互い様」。 訪問客とも飾り気のない触れ合いをする。 この島にいる間は、時間に縛られなくていい。 自分の体内時計に従って、 のんびり自由に過ごすことができる。 頭と心をリセットし、 自分のやりたいことを見つけよう。

私たちは、世界中の人たちに、 自分と向き合う時間を提供します。

このプロジェクトの作成者

プロフィール画像

・新上五島町は、長崎県五島列島(九州の西端)に位置する島で、7つの有人島と60の無人島で構成されています。 ・新上五島町は細長い島で、山々が連なり入り組んだ地形をしており、リゾート地のようなエメラルドグリーンの海や水平線に沈み島を赤く染める夕陽、圧倒的な自然や教会群が魅力です。 ・島には、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、病院、学校(大学を除く)等の施設があり、生活するうえで必要なものは島内で購入することが可能です。  また、漁業・農業・建設業・医療・介護・交通・各種サービス業等、様々な業種があり特産品の「五島手延うどん」や「椿油」、「かんころもち」等の製造業もあるなど歴史や文化を感じながら働くことができます。 (新上五島町公式HP:https://official.shinkamigoto.net/) (新上五島町観光HP:https://shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com/) (新上五島町移住HP:https://kami510.com/)

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