
【前編】連載:大津な想い人 #04 小倉康寛さん(八百與 七代目店主)
公開日:2025/10/27 07:49
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2025/10/29「興味ある」が押されました!
2025/10/29滋賀・大津。ここは、ヒトがまちに恋し恋され、自分なりの愛情でまちと歩む「恋するまち」。本シリーズでは、縁あって大津に出会い、それぞれのやり方で大津に携わる「大津な想い人」へのインタビューをお届けする。
今回は、嘉永3年(1850年)創業の老舗漬物屋「八百與」の7代目店主、小倉康寛さんにお話を伺った。歴史ある家業を継ぎながら、現代のニーズに合わせた新しい取り組みにも挑戦する小倉さんの「大津への想い」に迫る。
◇漬け込みのひと手間がつなぐ、まちの日常◇
滋賀・大津。ここは、ヒトがまちに恋し恋され、自分なりの愛情でまちと歩む「恋するまち」。 本シリーズでは、大津に出会い、それぞれのやり方でまちと関わる「大津な想い人」へのインタビューをお届けする。
今回は、嘉永3年(1850年)創業の老舗漬物屋「八百與(やおよ)」の七代目店主・小倉康寛さんにお話を伺った。 歴史を受け継ぎながら、新しい感性で今を漬け込む、小倉さんの「大津への想い」に迫る。
――八百與さんはどんな商品を? 小倉:季節の野菜を使った漬物です。今(取材時)はなすやきゅうりなど旬のものを漬けています。 うちは製造と販売の二本柱で、野菜は週2回市場で仕入れます。朝に漬け込み、販売は10時から16時半。 日中も交代で仕込みを続けています。
――漬物づくりで大切にしていることは? 小倉:温度管理ですね。漬物は気温に敏感で、暑いと発酵が進み酸っぱくなったり変色したりします。 うちは人が入れるほどの大型冷蔵庫を使い、樽ごと温度を管理しています。塩分控えめの漬物ほど繊細なんですよ。
――昔ながらの製法も? 小倉:今はプラスチック容器も使いますが、手順は昔のままです。重い石を何百個も使っていた時代の名残もありますね。 浅漬けなら1〜2日、奈良漬けは1年かけて何度も漬け替える。手間がかかるぶん、美味しく仕上がるんです。
――やりがいは? 小倉:やっぱりお客様の「美味しかった」という声。卸だけだと反応がわからないけど、店頭販売なら直接聞ける。 それが何よりの励みです。
――創業の歴史について教えてください。 小倉:1850年に漬物屋として創業しましたが、それ以前は寺院で精進料理を作っていたそうです。 「近江かぶら」の千枚漬けは九条家の要望から生まれ、そこから宮内庁御用達になりました。 明治時代には、モルガンお雪さんがパリに奈良漬けを取り寄せたという話もあるんですよ。
――七代目として大切にしていることは? 小倉:昔ながらの味を守りながら、今の時代に合った商品を生み出すことです。 ズッキーニやセロリを使った漬物、塩を使わず甘酢で仕上げるピクルスなど、若い人にも楽しんでもらえるよう工夫しています。 イオンで野菜販売をしていた経験も、商品づくりに活きています。
「守るだけでなく、変化を楽しみたい」。そう語る小倉さんのまなざしには、 150年以上続く味を次の世代へとつなぐ確かな覚悟がにじんでいた。


このプロジェクトの地域

大津市
人口 34.06万人

特定非営利活動法人BRAHart.が紹介する大津市ってこんなところ!
大津市は、比良・比叡の山並みとびわ湖に代表される自然と、様々な歴史の舞台となった豊かな文化財を有する歴史と文化に彩られた都市です。 滋賀県の県都として、市外の方からも評価をいただき、現在も転入超過※を続けている「選ばれるまち」です。
このプロジェクトの作成者
「障がいがあろうとなかろうと、好きなこと得意なことを仕事にして精一杯生きる」をモットー2014年設立。大津市瀬田地域を中心に、「社会を楽しくするのが福祉のミッションだろ!」を合言葉に、近江國一之宮建部大社の朝市や、石山寺縁日の運営に携わったり、近隣の子ども達への学習支援ブレイクスくール、滋賀の食材とアーティストを応援するcafe&galleryspoonsの経営など、社会から支援される側から、支援する側にまわる活動を続けている。


















