
【兵庫県姫路市】「必死に生きているモノは美しい」——漁師の孫が、島で3年間やってきたこと
公開日:2026/04/02 04:24
「必死に生きているモノは美しい」——祖父にそう言われて育った漁師の孫が、3年間の地域おこし協力隊を経て、島で会社を立ち上げました。これは、移住して3年間でできることの、ひとつの記録です。家島地域の人たちが守ってきたものを、島の外に届けることに関心のある方に読んでいただきたい記事です。
祖父の言葉と、石巻の仕事。それが、島への道になった。
母方の実家は、坊勢島の漁師の家系です。その孫として育った私に、祖父はある日、こんな言葉を言いました。
小学生のころ、祖父に連れられてサバの養殖場に行ったことがあります。水槽を泳ぐサバを眺めながら、祖父がぽつりと言いました。「必死に生きているモノは美しい」と。
その言葉の意味が、はっきりわかったのは大人になってからでした。大学院で海の微生物を研究し、東京で環境コンサルの仕事をした後、最後に関わった仕事が石巻での地域漁師料理の商品化でした。そこで確信したことがあります。地元の人が当たり前だと思っているものに、外の人間には見えない価値がある、ということ。その瞬間、祖父の言葉と、坊勢島が、ひとつにつながりました。
必死に生きているモノを、ちゃんと美しいと伝える仕事をしよう。それだけを決めて、島に戻りました。


この島には、届けられていないものが多すぎた。
地魚というのは、遠くに運ぶと味が落ちます。マグロのように寝かせれば旨くなるわけではない。だから流通に乗らず、産地周辺でしか食べてもらえない。石巻の加工業組合の方が言っていたのはそういうことでした。「産地の味が一番なのはわかっている。でも消費地に届いた頃には、同じ魚でも別物になってしまう」と。産地の味を遠くの人に届けたい——それが、あの企画の出発点でした。
その話を聞きながら、個人的にリサーチしていた缶詰の事例を思い出しました。生の鮮度が高いほど、缶の中で熟成が深くなる。産地の味を、そのまま閉じ込めて届けられる可能性がある。そのとき、坊勢島のことが頭をよぎりました。あの島なら、生きたまま港に持って帰れる。
協力隊として家島に来て、1年目に感じたのは「本物がある」ということでした。200種を超える魚、代々受け継がれてきたまかないの知恵、海と人が隣り合わせにある暮らし。でも、「誰に」「どんな形で」届けるかが、ほとんど整っていなかった。
答えが見えないまま、最初の半年は島中を歩きまわりました。会う人ごとに話を聞きながら、少しずつ形にしていきました。3年間、3つの柱で動きました。広報では、移住者向けの情報誌を家島版・坊勢版と制作し、旬の魚のカレンダーをつくりました。防災では、AIとLINEを組み合わせた欠航情報のリアルタイム通知システム等を構築・試行しました。産業振興では、缶詰事業の企画を協力隊活動として立案しました。この企画を実現するため、令和7年10月に個人で会社を設立しました。
人口は減っています。若者は出ていく。それは事実です。でも、この3年間で見えてきたのは、各団体や個人が本当に一生懸命動いているということでした。誰かが誰かを応援していた。まだ、なんとでもできます。これが、3年間の確信です。


次の3年が始まる人へ
これはあくまで一つの事例です。3年でここまでできた、という記録であって、正解でも模範でもありません。
ただ、こういう人には向いている場所だと感じています。
若者に出ていかれた悔しさを今も抱えている漁師さんの隣で、一緒に動ける人。諦めかけている人の背中を、言葉ではなく行動で押せる人。島を「変えたい」のではなく、島民が当たり前に持っている誇りを、島の外にちゃんと届けたい人。
3年後に「自分も卒業報告を書けた」と思えれば、それで十分だと思います。
どんな人を探しているかは、募集要項に書いてあります。まず読んでみてください。 ※リンクを参照したい方はまずこのページの「興味ある」ボタンを押してください! https://www.city.himeji.lg.jp/himeji_brand/0000006209.html


このプロジェクトの地域

姫路市
人口 51.98万人
姫路市地域おこし協力隊が紹介する姫路市ってこんなところ!
姫路市家島諸島とは・・・ 兵庫県姫路市の沖合い18kmの瀬戸内海に浮かぶ大小40余りの島々から成る家島諸島。家島、坊勢島、男鹿島、西島の4島が有人島です。 家島諸島の魅力の一つは、島の近海で獲れる新鮮な魚介類です。複雑な海岸線に囲まれた島周辺は、魚の格好の棲み家で、タイやタコ、アジなど年中多くの魚介が揚がります。特に、ぼうぜ鯖、ぼうぜがに(ガザミ)、華(はな)姫(ひめ)鰆(さわら)、白鷺(しらさぎ)鱧(はも)はブランド魚として売出し中で、島内の旅館や飲食店には新鮮な魚料理を求めて多くの来訪者があります。 また、家島本島の港の両側に山が迫る裾野に石材運搬船、ドックや建物が並び、島の人たちが生き生きと行き交う瀬戸内の港町や、隣接する坊勢島の湾奥の漁港を取り囲む漁村の風景は他の島では見かけることが少ない貴重な風景です。 まるで昭和にタイムスリップしたような原風景を大阪からは2時間、姫路市本土からは30分の至近距離で味わえます。 ぜひ一度、足を運んでみてください!
このプロジェクトの作成者
姫路市政策局ひめじ創生戦略室です。 主に兵庫県姫路市の離島、“家島諸島”で活躍する地域おこし協力隊に関する情報等を掲載します。 家島諸島とは・・・ 兵庫県姫路市の沖合い18kmの瀬戸内海に浮かぶ大小40余りの島々から成る家島諸島。家島、坊勢島、男鹿島、西島の4島が有人島です。 家島諸島の魅力の一つは、島の近海で獲れる新鮮な魚介類です。複雑な海岸線に囲まれた島周辺は、魚の格好の棲み家で、タイやタコ、アジなど年中多くの魚介が揚がります。特に、ぼうぜ鯖、ぼうぜがに(ガザミ)、華(はな)姫(ひめ)鰆(さわら)、白鷺(しらさぎ)鱧(はも)はブランド魚として売出し中で、島内の旅館や飲食店には新鮮な魚料理を求めて多くの来訪者があります。 また、家島本島の港の両側に山が迫る裾野に石材運搬船、ドックや建物が並び、島の人たちが生き生きと行き交う瀬戸内の港町や、隣接する坊勢島の湾奥の漁港を取り囲む漁村の風景は他の島では見かけることが少ない貴重な風景です。 まるで昭和にタイムスリップしたような原風景を大阪からは2時間、姫路市本土からは30分の至近距離で味わえます。 ぜひ一度、足を運んでみてください!

















