600年続く織物産地・愛荘町。 「愛荘乃麻」の一日を見てきました。
公開日:2026/07/22 05:10
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2026/07/222026年7月4日・5日、滋賀県愛荘町の近江上布伝統産業会館(ゆめまちテラスえち)で「愛荘乃麻(あいしょうのあさ)」が開催されました。今年で14回目を迎えるこのイベントは、ほぼ満席となるほどの人気で、600年続く麻織物の織物産地・愛荘町でしかできない体験を届けることを大切にして続いてきました。愛荘町に20年以上在住する私が、当日の様子をレポートします。
植物から糸へ。苧麻の繊維取りから糸づくりまで
愛荘町は、国の伝統的工芸品「近江上布(おうみじょうふ)」の織物産地です。室町時代から600年、この土地で麻織物の技術が受け継がれてきました。毎年6〜7月はちょうど苧麻(ちょま)の最盛期。その麻に触れてもらいたいという想いから、愛荘乃麻は十数年にわたって続いています。
イベントのメインは、苧麻の繊維取りから糸作り「苧引き(おびき)」の体験です。当日の朝に会館近くの畑から刈り取ってきた苧麻を使い、まずは皮剥ぎから始まります。茎の根元から約10cmのところに針を入れて一度裂き、そこから丁寧に皮を剥いでいきます。講師の職人から「皆さんが思うよりも強い力で」という声がかかります。
剥いだ皮は乾燥すると次の作業が難しくなるため、常に水に浸して湿らせておきます。そして専用の道具を使って、苧麻(ちょま)から剝いだ皮から繊維をそぎ、さらに指で 繊維を裂いていきます。
次は引き出した繊維を繋いで、一本の長い糸にしていく「手績み(てうみ)」です。繊維の端同士を結び目を作らずに撚り合わせて繋いでいきます。繊維が乾かないよう、こまめに水につけながらの作業です。会場では、参加者が真剣なまなざしで作業に向き合っていました。慣れない作業に四苦八苦しながらも、わからないことは講師に確認しながら丁寧に進めていきます。静かなものづくりの時間が流れていました。
地機織り——600年前と同じ織り機で
手績み(てうみ)で作った糸は、次に「へそ巻き」という工程で糸巻き器を使って玉状に巻き取ります。水に通した糸をくるくると巻き取っていくこの作業を経て、いよいよ地機(じばた)での織りへと移ります。
地機は、腰に当てた布で経糸(たていと)の張力を保ちながら、足でまねぎと呼ばれる紐を引いて経糸を交差させ、そこに緯糸(よこいと)を通して筬(おさ)で打ち込んでいく——全ての工程が織り手に委ねられる、室町時代から変わらない形式の古い織り機です。縦糸が約270本あり、2本ずつの並びにはルールがあり、取り違えると最初からやり直しになることもあるといいます。
慣れない地機の扱いに奮闘しながらも、少しずつ布が織り上がっていきます。はじめはうまく扱えなかった織り機も、だんだんと手が慣れてきて、自分だけのコースターが仕上がっていきました。講師の方が、その様子を丁寧にサポートしていました。地機を打つ音と、隣の会場で行われていた洋裁レッスンのミシンの音が入り混じって響いていました。終盤に近づくにつれ、みなさん黙々と作業に没頭していきます。それでいて和やかな雰囲気も漂っていて、それぞれが自分の作業にじっくりと向き合っていました。
少しずつコースターが織り上がっていく様子を見ていると、参加者から「根気がいりますね」という声が聞こえてきました。
参加された方の中に、着物の着付けの仕事をされている方がいました。「いつか着物を自分で作ってみたいと思っていて。それなら素材から知ることも面白いと思って来ました。娘も来たがっていたので、次は娘と一緒に来てみたい」と話してくれました。
「これから、何か新しくチャレンジできることはないかを探していて、たまたま見つけて参加してみました。職人を目指すのも次の人生にいいかも」と笑顔で話してくれる方もいらっしゃいました。
完成!世界に一つだけの作品
完成した、まだしっとりとした手触りのコースターを手に取った皆さんの顔がほころびました。植物から自分の手で繊維を取り出し、糸を作り、織り上げた世界に一つだけの作品です。茶色や薄緑など、糸そのものが持つ自然なグラデーションがそのままコースターの表情になっていて、同じものは一つとしてありません。
今年は苧引き体験や機織りに加えて、大人向けの本格体験も充実していました。島根県出雲市の洋裁講師・小林淑美さんによる1day洋裁レッスン、パリ在住の華道家・森田浩之さんによるパリ式いけばなレッスン、東近江市のヘルスロイド村で活動するSLOW FABRIC・嶋田拓真さん、三浦優佑さんによる本藍で染めるワークショップも行われました。各ワークショップの参加者がそれぞれの体験に集中している会場は、静かな熱気に包まれていました。
滋賀県麻織物工業協同組合の田中由美子事務局長は、「今年は苧麻体験の反響が特に大きく、予約もすぐに埋まりました。追加した8月の日程もすぐに埋まってしまうほどで、この体験の魅力に、正直私たち自身も驚いています」と振り返ります。「藍染め教室には海外の方の参加もあり、麻を通した新しいファン層も生まれました。どの体験も、簡単にできるものではありません。時間と手間をかけて何かを作り上げることが、伝統産業の麻織物、そして近江上布の世界観につながっているのだと思います。遠くからでも滋賀の麻織物を知りに来てくださる方たちに、これからも応えていけるイベントにしていきたいです」と話してくれました。
愛荘町は、ものづくりが長く根付いてきたまちです。派手さはありませんが、素材と手作業でじっくりと向き合う時間が、今も確かに息づいています。600年続く工芸と技術は、現代の暮らしの中でも十分に活きていく——長年、愛荘町に住んでいる私も、こんなに素敵な歴史がすぐそばにあったのだと、今回改めて知ることができました。
★愛荘乃麻や愛荘町の記事はこちらをチェック!★ https://smout.jp/plans/11625 「愛荘乃麻」イベントの裏側をお聞きしました。「600年の技術を、次の世代へ。——愛荘乃麻に込めた想い」
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愛荘町では、住んでみたい方やイベントなどに参加したい方を歓迎しています。本記事を読んで少しでも愛荘町に興味が湧いた方は、ぜひ「♡興味ある」ボタンをクリックして詳しい情報をチェックしてくださいね。
このプロジェクトの地域
愛荘町
人口 2.14万人
Yurikoが紹介する愛荘町ってこんなところ!
愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ! 平成18年に2つの町が合併してできた現在の愛荘町は、今年で20年目を迎えます。琵琶湖に流れる川の上流・湖東地域に位置しており、鈴鹿山系からの豊かな清水と自然に恵まれ、古くから水との関わりが深いまちとして発展してきました。
町の東側には、聖武天皇の勅願で行基が開山した湖東三山の一つである金剛輪寺があります。昔から四季折々の雰囲気を楽しめるスポットとして地元の方々をはじめ多くの人に愛され続けている場所です。また、近世には中山道66番目の宿場として愛知川宿が栄え、後の明治には郡役所や警察などの官公署が置かれ、近江鉄道が開通するなど、古くから地方の中心としても栄えてきました。
国の伝統的工芸品に指定されている「近江上布」を中心とした麻織物や、瓶のなかにてまりが入った不思議で美しい滋賀県の伝統的工芸品「愛知川びん細工手まり」など、愛荘町でしか見られない手仕事ならではの「ワザ」が光る工芸品を見られるのも特徴です。
▼愛荘町移住ポータルサイトはこちら https://www.town.aisho.shiga.jp/iju/