「田舎と相性の良い人は自然が好きで時間を大事にできる人」〜日々の暮らしから気づいたこと〜滋賀大学生の移住者レポート(6)
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公開日:2023/01/16
終了日:2024/03/31

「田舎と相性の良い人は自然が好きで時間を大事にできる人」〜日々の暮らしから気づいたこと〜滋賀大学生の移住者レポート(6)

 お子さんの出産をきっかけに、大学時代から住んでいた京都から地元・田根に帰ってきた という中まりもさん(仮名)。今回は、U ターン移住をしようと考えた理由、移住してから感じたこと、これからやっていきたいことについて語っていただきました。
 中まりもさんが田根に帰ってくることを決めたのは、移住前に住んでいた京都では感じられなかった、光や風、土など自然を感じることができる場所で、子供をのびのび育てたいからだと話します。例えば、京都に住んでいたころ、日常の中で自然を感じられるように土いじりをしようと思った時、田根に住んでいたころは身近にあった土がなくて、土すら買わなくてはならないことに驚いたそうです。スーパーに行った時も、『きれいな野菜だけで、見せ物のような野菜しかない』と感じたと語ります。『自分の過ごしてきた場所では、野菜はわんぱくだった。本来のものが食べたいと思っていた』と話します。仕事で疲れた時に鴨 川に行ったり、田根に帰ってきたりするたびに、自然を感じられる場所が良いと感じ、中まりもさん自身が生まれ育った田根で子育てすることを決めたそうです。

田根を知っているけど、知らない状態だった

 移住した時の地域の様子について伺うと、『田根を知っているけど、知らない状態だった。 少子高齢化が緊急的な問題だと実感した。』と話します。現在、最も人口層が厚い団塊世代 が、10 年後には 80 歳代になり、さらに人は減り空き家が増えると、危機感を語ってくれました。そのことに気づいたのは、建物の建て替えやそこに住む人の流出入がほとんどないという田舎ならではの特性が関わっています。以前住んでいたころとほとんど景色が変わらないからこそ、空き家が増えていることや知っている人が年を取っていたり、亡くなっていたりすることを実感したそうです。
 生活に影響する少子高齢化の具体的な課題として、お子さんが通う地元の小学校の合併が検討されていることを挙げてくれました。小学校が合併されることに対して、中まりもさんは三つの不安を語ってくれました。一つは、現在、地域で行っている小学生の登下校の見守りがなくなると、にぎわいがなくなり、地域がますます廃れていくことです。子供という未来の塊がいるだけで、おじいちゃんおばあちゃんは元気をもらっているので、小学校がなくなると心に穴があいてしまうと語ります。二つ目は、小学校が合併すると、スクールバスで通学することになり、子供に体力や根性がつきにくくなるのではないかという心配です。 雨の日も雪の日も歩いて学校に行くことで、根性がつくと思うと話します。三つ目は、小学校を合併した地区に住むお母さんも、同級生が少ないけれど、地元の小学校に通わせてあげたかったと話していることを聞いたことです。合併前後の変化について話を聞くことで、やはり地元の小学校に通わせたいと言います。

インタビューの様子

インタビューの様子

子どもの思い出になるイベントをやりたい

 子どもが大人とわいわいしているのは思い出になっていいと、中まりもさんは話します。 しかし、中まりもさんの子供時代にはあったけれど、なくなってしまったものもあるそうで す。そんな中でも現在も続いている行事の一つ、地蔵盆についてお話を伺いました。
 地蔵盆とは、子どもの守り神であるお地蔵さんに一年の感謝を伝えるための子供会のイベントです。お地蔵さんの前掛けを変えたりお掃除をしたりするだけでなく、地域の家を周り、お供えのお菓子をもらいます。お供えしたお菓子は、おすそ分けという形で子どもたちで分けて持ち帰ります。地域の人は地蔵盆のために段ボールでお菓子を準備しているため、 子どもたちは毎年たくさんのお菓子を持ち帰ってきて、とても嬉しそうにしているようです。
『お祭りや行事は維持できなくなったときに形が変わっていくのかなと思う』と中まりもさんは言います。今後、地蔵盆のように昔ながらのイベントだけでなく、子どもが地域の人と一緒に楽しめるイベントをもっと考えていけたらと話してくれました。
 中まりもさんは、インタビューの中で、田舎と相性が良く、移住に向いている人とは「自 然が好きで、時間を大事にできる人」と話していました。これは中まりもさん自身を体現し ている言葉なのではないかと思います。中まりもさんが、前半部分の「自然が好き」な人に当てはまっていることは、自然を感じられる故郷で、子どもを育てたいとお話してくださっ たことから明らかです。
 しかし、後半の「時間を大事にできる人」とはどういう意味でしょうか。中まりもさんの いう「時間」とはどんな時間を指しているのでしょうか。それは日常生活を営む「時間」だ と、お話を聞く中で分かりました。自然を感じられる場所に移住したいと思ったのは、スー パーの野菜を見たり、鴨川で疲れを癒したりした時間があったからだそうです。小学校合併 に危機感を感じるのは、子どもが徒歩で通学する時間やその姿を地域の人が見守る時間がなくなるからです。中まりもさんは限られた一日をどんなことに使うのが心地よいのかを理解して、大切に過ごしているそんな方なのではないかと感じました。

滋賀大学経済学部森ゼミナール 小ノ上紗希 協力:滋賀県長浜市
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長浜市
いざない湖北  茂森 貴洋が紹介する長浜市ってこんなところ!

私が個人的に長浜市でおすすめしたいのは、琵琶湖の夕景と観音文化です。風景というとありきたりですが、滋賀県には琵琶湖があり、空気がスカッと晴れた日に、琵琶湖に沈む夕陽は本当に見とれてしまいます。普段から見慣れているはずなのに、足を止めてカメラに納めたくなったことが何度もあります。そんな景色、他ではなかなか見られません。
もう一つは観音文化です。普通は「観音さま」と呼びますが、長浜市では「観音さん」と親しみを込めて「さん」付けで表現することがあります。これは、それだけ「観音さま」が人々の身近な存在であったからだと思います。戦国時代の戦禍を逃れるために、川に沈めて手がとれてしまった観音さまや土に埋めていたため一部が朽ちてしまった観音さまもありますが、今もなお、地域住民の方に大切に守り受け継がれています。
長浜市には、ここでは言い表せないくらい色んな資源があるので、少しでもご興味をもっていただければと思います。

いざない湖北  茂森 貴洋
長浜市移住定住促進協議会
びわ湖の東北部に位置する滋賀県長浜市です。 羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町です。 豊かな歴史と自然に恵まれながら、新しい文化もはぐくむ長浜で、やりたかったことにチャレンジしてみませんか? 移住だけでなく、リモートワークや起業、副業・兼業と新しい働き方も支援します。
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