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- 仲間たちと作る賢治ファンの隠れ家「賢治文庫」
皆さま、こんにちは。岩手県花巻市で地域おこし協力隊を担当している栗澤です。
今回は、元地域おこし協力隊の塩野夕子(しおのゆうこ)さんと、賢治ファン仲間の西尾陽子(にしおようこ)さん、中目智也(なかのめともや)さんが一緒に作り、運営する宮沢賢治ファンにおススメの隠れ家的スポット「賢治文庫」について、紹介していきます。
「賢治文庫」は、花巻市大迫町内にある「早池峰と賢治の展示館」の一室に開設された文庫で、宮沢賢治作品や関連作品が約350点蔵書されています。これだけでも賢治ファンにはたまりませんね。
実はこの「賢治文庫」は、元々、大迫町内の塩野さんのご自宅の一室を開放して運営されていたものでした。
しかしながら、個人宅での運営ということで、塩野さんがお仕事の際には、開館できないなどの諸々の事情があって、運営方法について悩んでいたところ、3人が所属する「早池峰賢治の会」と地域の協力もあって、同団体が管理している「早池峰と賢治の展示館」に移転することとなり、令和5年4月8日にリニューアルオープンしました。
そこで、これは行かねば!と思った私は、実際に3人にお会いし、「賢治文庫」をはじめたきっかけやその楽しみ方などを取材してきましたので、そちらの内容をお届けします。
「賢治文庫」の成り立ちとアピールポイント
◆◆◆「賢治文庫」の成り立ち◆◆◆
「賢治文庫」は前述のとおり、最初は花巻市大迫町内にある塩野さんのご自宅ではじまりました。でも、それが本当のはじまりかというと実はそうでもないみたいです。
「賢治文庫」の本当の始まり。
それは今の運営メンバーである塩野さんと西尾さんの出会いから始まります。
二人の出会いは、共通の知人による紹介のものでした。賢治好きでイラストも得意と、共通点も多かった二人は一気に意気投合し、それが後の「賢治文庫」開設につながります。
二人でこんな場所があったらいいよねと妄想が膨らむ中、なんと二人は実際の文庫開設前に「賢治文庫」のTwitterを開設。文庫開設前にTwitterを開設するという逆転現象が起こりますがなんのその。二人は交互に賢治に関する発信を続けます。
そうして、SNSでのPRと構想が膨らみ、ついに令和2年11月1日に塩野さんのご自宅の一部を使って、リアル「賢治文庫」が開設しました。
その後に、SNSを通じて中目さんともつながり、今の仲間が出来上がりました!
「賢治文庫」ができてからは、県外から訪れてくれる方がいたり、ご自身の蔵書を寄贈してくださる方が現れ、大迫町に新しい人やモノの流れが生まれてきました。
ただ、ここで一つの問題が発生します。それは個人宅であるため、基本的に塩野さんがお休みの日しか開けることができないことでした。また、大迫町は山間部で寒さが厳しく、冬の間は閉館を余儀なくされるなどの問題もありました。
この他にも様々なことに頭を抱えていた塩野さんは、3人が所属している「早池峰賢治の会」と地域の振興センターに相談を持ち掛けます。
その話し合いの中で、「早池峰賢治の会」と地域の方々の後押しを受け、急転直下、塩野さん個人ではなく、「早池峰賢治の会」が「賢治文庫」を管理するという体制で、「賢治文庫」の移転が決まったのでした。
このことにより、問題の大半が一気に解決!!
個人の活動として行っていた「賢治文庫」が、地域の活動へと発展した瞬間です。
◆◆◆「賢治文庫」のアピールポイント◆◆◆
あくまでも私から見た点ですが、賢治文庫の魅力は、約350点の豊富なラインナップとどなたでもゆっくり過ごせる空気感ではないでしょうか。
まずは、ラインナップから。「賢治文庫」には宮沢賢治の作品はもちろんのこと、賢治に関しての考察本や二次創作ものまで豊富なラインナップがあります。
これらは、もちろん塩野さんの私物もありますが、多くは同じく賢治を愛する方からの寄贈によって集められたそうです。いろんな人の想いがつまった文庫と考えると何かロマンを感じますよね。
それらを中目さんが、本の一つひとつを丁寧に陳列していったそうです。棚の上段には、手に取りやすい本を、下段にはコアなファン向けの本をといった感じで、読む人のことを考えた配置となっていました。
ミーハーな私は、「じゃあ上から順に読んでいけば、読み終わったころには立派な賢治ファンですね?」とおバカな質問をすると、3人とも朗らかに笑っていました。
あとは空気感。
これは実際に訪れてみてほしいのですが、外の静けさも相まって、ゆったりとした時間が流れているように感じられます。
素朴な空間とたくさんの人の想いがつまった本たちが作り出す、ゆったりとした不思議な雰囲気を象徴するように、入って右手の黒板には次のように書かれています。
「どなたもどうかおくつろぎください 決してご遠慮はありません」
宮沢賢治からのオマージュですが、来る人みんなを歓迎する3人のお人柄も現れていると感じました。
「賢治文庫」の内観
本の手入れをする中目さん
3人それぞれの「賢治文庫」の楽しみ方を聞いてみました!!
◆◆◆塩野さんの楽しみ方◆◆◆
本を読むのはもちろんのこと、ファン同士が集まって議論をして、調べて、読み深める。そんな楽しみ方をしたいとのこと。
「賢治文庫」を秘密会議的、隠れ家的に使いたいという希望もお持ちのようです。
賢治ファン同士で賢治について、徹底的に語り合いたいという方は、ぜひ一度「賢治文庫」を訪れてはいかがでしょうか。
◆◆◆西尾さんの楽しみ方◆◆◆
一日中、本を読みたい。自分が持っていない本もここにはたくさんあるため、どっぷりと本に浸かりたいとのことでした。
特有のゆったり感がある「賢治文庫」なら、西尾さんのように一日中、本に浸ることができるので、忙しい毎日を忘れて本に浸りたい方にも「賢治文庫」はおススメです。
◆◆◆中目さんの楽しみ方◆◆◆
中目さんは疑問に思ったことを調べるのがお好きのようで、この本に書いてあるこの部分は、あの本にはこう書かれていてといったふうに、何冊かを同時読みして理解を深めていくようです。
中目さんによると、賢治の本は探求心をくすぐられるとのことで、何かに没頭したい方にも「賢治文庫」はおススメです。
このようにメンバー3人を見ても、楽しみ方は三者三様。「賢治文庫」はいろいろな楽しみ方ができる空間です。
話しているとさらに構想は膨らみ、フィールドワークで早池峰山を登ってからここで集まって議論するのもいいよねと夢はどんどん膨らみます。
今回、地域の後押しもあって移転が決まった経緯もあり、3人はこの場所を地域の交流の場としても使ってほしいそうです。
また、今では仲間に恵まれた3人ですが、過去には賢治仲間がいなくて寂しい思いをしたこともあったとか。
だからこそ、賢治が好きだけど周りに語れる人がいないという方にも、気軽に訪れてほしいとのことでした。
~最後に、早池峰と賢治の展示館の館長 浅沼利一郎さんから~
「賢治文庫」は静かで思いっきり本を楽しめる場所だと思う。
最近では親子連れで楽しむ姿も拝見しており、様々な世代が楽しめる場所になっている。
賢治に関する考え方が一人ひとり違うように、「賢治文庫」の楽しみ方も人それぞれあっていい。
これからも若い方たち(塩野さん、西尾さん、中目さん)の活動を見守っていきたい。
とのことでした。
今回の取材で、やっぱり素敵な場所は素敵な人たちに支えられているんだなと深く実感しました。
この記事を読んで「賢治文庫」に興味を持った方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
おすすめの本について、語りあう3人
3人の活動を見守る浅沼利一郎さん
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