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- ランドスケープの視点から見る守山の自然環境〜研究者とまち歩き〜
25年前に大津市守山地区に移住され、ランドスケープの研究をされている深町加津枝(以下|深町さん)さんにSMOUTライター三輪(以下|三輪)がお話をお聞きしました。深町さんは、埼玉県出身で関東の大学院を修了され、就職先の転勤をきっかけに京都市へ移住されました。その後いくつかの研究機関で勤務し、現在は京都大学でランドスケープの研究をされています。守山地区の自然環境や景観、そして地域の文化を保全するために、地元の方々と協力しながら実践的な研究をされています。
今回は、深町さんと地域を歩きながら、守山地区の魅力などについてお聞きしました。
守山地区に惹かれた理由〜この地域を研究フィールドに選んだきっかけ〜
ーーー三輪:大津市守山地区に移住された経緯を教えてください。
深町さん:最初は、ピンポイントで守山に移住しようと思ってはいませんでした。
この辺りの風景がとってもいいなって思ってて。住居というよりは畑ができたらなと思っていました。
でも不動産屋を回って探していたら、今の移住先に出会ってとても良い場所だったので、思い切ってここに住居を置くことにしました。
ーーー三輪:住む予定ではなかったのにも関わらず守山地区に惹かれた理由としては、やはり自然環境が大きいですか?
深町さん:そうですね。この地域を見たときに色々なものが凝縮されてるなと思って。広葉樹林もあるし、綺麗な水、田畑もあって、歴史的な集落もある。京都で働いているので、職場から通える距離だった点もありますね。
でも、なんと言ってもこの地域に一目惚れしたというのが正直なところです。
ーーー三輪:研究者を志した理由を教えてください。
深町さん:同居していた祖父母が専業農家で、子供の頃はよく田んぼや川で遊んでいました。しかし、当時圃場整備が行われ、私の体験と記憶の中で育まれてきたふるさとの景色は失われました。寂しさとやるせなさが幼い頃の私に残っていたことがきっかけで、ランドスケープの研究にいきつきました。
ランドスケープという視点から地域を見る
ーーー三輪:深町先生の研究内容について簡単に教えてください。
深町さん:その地域の地盤となる地形や地質がどういうものなのかを理解し、そこにどんな植生があって、人と自然との関わりがどういう風に続いてきたかを考えることが地域を理解するうえでは、とても大事なところですね。
ーーー三輪:ランドスケープの視点は地域環境の構造を把握するということですか?
深町さん:景観は色々なものが 組み合わさって、それらが繋がりあっています。場合によっては繋がりが切れてしまったりします。湖や田畑、森林と1つ1つを深く見ることも大事ですが、それらがどういう風に組み合わさりながら、配置されていているのか。そのような点を分析することが私の研究の特徴ですね。
ーーー三輪:先ほどのお話を守山地区の自然環境に例えるならどうですか?
深町さん:例えば、この地域は琵琶湖があって、川に繋がっているところに大きな治水のための構造物を作ると、 魚が行き来できなくなったりします。
あと人と自然の繋がりという側面では、人間が管理していないと土砂が堆積してしまって、水の流れが変わるといった自然のメカニズムもありますが、この地域は稲作が盛んな地域です。川からの水を田んぼに使う必要があることで、地域住民が水路を丁寧に管理することで水と人の繋がりが増えてきました。しかし、稲作を辞めたり管理しなくなると、その水のネットワークが切れてしまうので、水路が土砂でせき止められ、水の流れが変わったりします。
ーーー三輪:自然のメカニズムだけでなく、人と自然の繋がりを見ることで地域の特徴が見えてくるということですね。
深町さん:そうですね。自然のことをよく理解することによって深まることも勿論あります。でも人との関わりを知るには、自然のメカニズムだけでは分からないので、実際に田んぼを管理してる人の側で、どんなことをしてるかを確認しないと見えてこないです。
例えば、畔などに稲を乾燥させる時に使う稲木や燃料として使う木を植えました。利便性の高い木を人工的に植え、目的にあった木を上手に選んでは、植えたり、管理したり、 使ったりしてきたことが1つの日本の里山での自然との付き合い方の特徴ですね。1つの歴史でもあるし、文化でもあるし、遺産でもあるわけですね。
自然環境と共生してきた守山地区
ーーー三輪:この地域の人々がどのように山や田んぼ、水と付き合ってきたのかが分かってきますね。守山地区の人々が自然と向き合ってきたエピソードなどあれば教えてください。
深町さん:この辺りの地域には田んぼがたくさんありますが、そういうところには湧水もある場合があります。
湧水というのは、水の源なので信仰の場にもなります。あとは、守山の人にお話を聞くと「小さい頃はこの湧き水がすごく美味しいから、学校帰りには必ず そこで水飲んでんだよ」って教えてくれます。
琵琶湖の水辺でも川から泥がたくさん流れてくる所はフナ類の魚が多くて、砂が多い所はモロコなどがたくさんいたりします。湖岸も地形や水の流量によって魚の種類が変わってきます。
地元の人たちからは「場所によって獲れる魚が違ったんだよ」って教えてもらうこともありますね。
なので、水辺をコンクリートで固めて一律に管理してしまうと、便利になる点もありますが、生き物にとっての生態系を失ってしまったりします。そうすると人と自然の関わりも無くなってしまい、地域の文化にも変化を及ぼしますよね。
なので水という観点から、この地域のことを理解することも大事ですね。
昔からの風景だとか、多様な生き物がいるような自然を活かしていきたいという思いから「NPO法人比良の里人」や「守山里山の会」などという団体で地元の方々と活動しています。
今後の展望
ーーー三輪:今後守山地区でやりたいことを教えてください。
深町さん:まずは地元でのさまざまな関わりを大切にしていきたいと思います。里山の自然や文化は変化していくものですが、守山地区ならではの風景が過去から未来へと繋がっていくといいな、と思います。そのためには、現場での試行錯誤の繰り返しをしなやかに、そして粘り強くですね。
写真|山﨑純敬
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