
魚に導かれて五島列島へ~移住して見つけた私の生き方
公開日:2025/10/28 07:00
最新情報
「興味ある」が押されました!
2025/11/15「興味ある」が押されました!
2025/11/14離島に移住してくる人には、さまざまな理由があります。
「自然あふれる暮らしへの憧れ」 「島時間をのんびり感じたい」 「毎日、海を眺めて暮らしたい」 「過疎地域を元気にしたい」
そんな中で、新上五島町に移住してきた一人の女性がいます。 長崎市出身の長浦優子(40)さんです。 優子さんの動機は、ただ一つ「魚に魅了された」ことでした。
長崎市の起業家育成講座をきっかけに夜明けから魚市場で働き、魚の可能性を知る。初めての上五島では観光より現場見学を選び、39歳で決意し移住。水産会社で仕分け・加工から学び、大手通販向けの出荷も任されるまでに成長。2025年5月には仲間と「海と共に生きる〜漁師の祭り〜」を実現。五島の魚の魅力を伝えています。
魚との出会い
長崎市で生まれ育った優子さんは、整体師として働いていました。 30歳の時、タイへ勉強を兼ねた旅行をした際、そこで出会った方からワーキングホリデーという制度があることを聞き、長崎市から出たことがなかったのに、英語もままならないまま、オーストラリアとニュージーランドへ2年間飛び込みました。 「行動さえすれば、なんとかなる」 この時学んだことが、後の人生を大きく変える原動力になりました。 帰国後は個人サロンを自宅で経営し、その後コロナをきっかけに「何か別のこともしたい」と考え始め、オンラインで仕事ができそうな資格も取得しました。
きっかけは、長崎市で開催された起業家育成講座を受講したときでした。 宿題で「長崎の魅力」を調べることになり、「魚の魅力」をテーマに選びました。 実は、それまで魚をほとんど食べてこなかった優子さん。家族に水産関係者もおらず、祖母も母も魚をさばかない家庭で育ちました。長崎に住んでいても、魚との縁は薄かったのですが、調べれば調べるほど、魚の知識がどんどん増えていきました。
「魚って、こんなにすごいんだ!」
魚の魅力にのめり込んだ優子さんは、もっと現場を知りたいと長崎市の魚市場でアルバイトを始めました。朝2時出勤。真っ暗な中、次々と水揚げされる魚たち。朝日が昇ると、その鱗が一斉に光を放つ姿に魅了されていきました。 調べて知った魚の知識を目の前にして、ますます魅力に心を奪われ、魚の「力強さ」「美しさ」「尊さ」を感じる日々を過ごしました。魚をさばけるようになりたい気持ちが大きくなり、スーパーにある魚屋でも働き、魚の扱い方やさばく基本を教えてもらいました。
「この魚のおいしさ、おもしろさを全国の人に知ってほしい」
その思いが、人生を大きく動かしました。 魚市場で働くうち、後に勤めることになる上五島の水産会社を紹介してもらう機会があり、この出会いが、優子さんと五島を結ぶ最初の縁となります。
移住のことはまだ頭にない頃、紹介してもらった水産会社を訪れるため初めて上五島へ。
水産会社の方から「上五島に来たのに観光しないの?」と驚かれましたが、加工の方法や、水揚げの現場をこの目で見たいという理由から2泊3日をまるまる「魚のため」に費やし、定置網漁の現場・活き締め・加工の技術を見学。
この経験が「上五島なら、魚と本気で向き合える」と希望になり、 その確信が、のちに五島列島移住を決定づけました。


39歳での移住と水産会社での日々
自分で水産加工の起業をしたいと思い、母親にも「五島で事業をやりたい」と相談すると、乗り気で39歳での新たな一歩を後押ししてくれました。 しかし、起業するための国の補助金審査には落ちてしまいました。それでも上五島に移住し、魚の現場を見ていました。ある日、縁のあった水産会社の方と話すうちに、「じゃあ、うちでやってみたら?」という流れになり、導かれるようにして、今の仕事が始まりました。
港での仕分けや加工場での作業からスタート。冷たい水に手を浸す重労働もありましたが、苦にはならず、「魚と向き合える時間」が何よりも誇らしく感じられます。 勤め先の水産会社は、30代の若き社長が経営する会社です。10代で会社を継ぎ、事業を拡大してきた経営者は魚の扱いが丁寧で、全国の市場でも高値で取引されるほどの信頼を築いています。 「社長の知識量がすごくて、教えてもらうことばかり」 優秀な経営者のもとで学べる環境が、優子さんの成長を加速させました。 魚屋で捌く基本を学んでいたこと、それまで加工と販売をやりたいと行動していたので、加工や販売も任されるようになり、現在では大手通販サイトに掲載される商品の準備や管理も担当。自分が扱った魚が全国のお客様の食卓へ届くことが、大きな喜びと誇りになっています。 魚の扱い方や美味しい食べ方を伝える活動にも力を注ぎ、地域やイベント、SNSを通じて魚の魅力を発信し続けています。
「漁師の祭り」のイベントを通して
「魚の魅力をもっと多くの人に知ってほしい」——。 その思いを周りに話すと、勤め先のみんなは賛成してくれました。次第に賛同者が増え、町内の水産業の方々と一緒に、港付近の会場を舞台に第1回目となる「海と共に生きる〜漁師の祭り〜」が実現しました。関係のある漁師さんたちとイベント企画をみんなで進めていきました。
2025年5月のゴールデンウイーク。 会場は新鮮な魚、漁師めし、模擬せりや抽選会で賑わい、「この魚がこの値段で!?」と舌の肥えた島の人たちからも大好評。町民も観光客も笑顔であふれました。 やってよかったと心から思えた達成感に、「魚を通じて人も地域も動かせる」と強く実感しました。協力してくれた方々、賛同してくれた方々のおかげで、初回は大盛況で終わりました。 「次はもっといいイベントにしたい」と、社長はすでに構想を練っているそうです。どんな企画が加わるのか私も今から楽しみです。 次回の「漁師の祭り」にたくさんの方に来てもらいたいです。上五島でお待ちしています!


日常が舞台 好きを続けるその先へ
-“魚に導かれた”その先に、どんな希望を抱いているのか。今の思いを聞きました。
A:新上五島町に来て約1年。39歳での移住は大きな挑戦でしたが、今では魚に携わる日々が当たり前になっています。 実は、私より半年遅れて、母も長崎市から移住してきました。事業を諦め、水産会社に勤めることになっても、母は「五島で暮らしたい」と(笑) 今では母の方が満喫しているかもしれません。ゴミ拾いのボランティアを続けたり、地域の人との交流を楽しんだり。「長崎市に住んでいた頃より便利」と、歩いて行ける範囲に図書館も郵便局もスーパーもある暮らしを気に入っています。
水産会社での仕事に加えて、夜は地元の居酒屋でアルバイトも。島ならではのマルチワークで、いろんな人と出会い、つながりが広がっていく毎日が楽しくてたまりません。 これからは「漁師の祭り」を恒例行事に育てて、もっと多くの人に五島の魚を知ってもらいたい。地元の子どもたちにも、魚の面白さを伝えていけたらいいなと思っています。 39歳で、未経験で飛び込んだ世界。でも、好きなことに正直に生きるって、こんなに楽しいんだって気づきました。
迷っているなら、まずは一歩踏み出してみる。 優子さんの生き方は、そんなメッセージを静かに伝えています。
また「五島列島産の魚は、全国で通用するレベルの力があり、その魅力を伝えれられる仕事を誇りに感じています」と話してくれました。
あなたも、新上五島町を人生の転機の場所にしませんか。
取材後記 取材で訪れたある朝の漁港。静けさの中、港に並ぶ漁船と、透き通った海の青さが印象的でした。水揚げされたばかりの魚、漁師たちの活気、潮の香り。その中で働く姿は、風景に溶け込んでいました。「この海に魅了された」と語る理由が、その風景を見ただけで理解できた気がします。やりたいことに対する行動力、水産会社での着実な成長、そして母親との二人三脚の島暮らし。彼女の物語は、移住の「リアル」を教えてくれます。
移住して1年経ち、魚と向き合う日々。優子さんの選択は、決して特別なものではなく、「好きなことを仕事にする」というシンプルな生き方の実践でした。五島の海は、そんな生き方を静かに受け入れてくれる場所なのかもしれません。


このプロジェクトの地域

新上五島町
人口 1.50万人

新上五島町が紹介する新上五島町ってこんなところ!
この島は、自然との距離が近い。 時を忘れて浸ることができる。 街を歩けば、神社仏閣、教会など、 歴史や文化が生活に溶け込んでいる。 町民の気質は「お互い様」。 訪問客とも飾り気のない触れ合いをする。 この島にいる間は、時間に縛られなくていい。 自分の体内時計に従って、 のんびり自由に過ごすことができる。 頭と心をリセットし、 自分のやりたいことを見つけよう。
私たちは、世界中の人たちに、 自分と向き合う時間を提供します。
このプロジェクトの作成者
・新上五島町は、長崎県五島列島(九州の西端)に位置する島で、7つの有人島と60の無人島で構成されています。 ・新上五島町は細長い島で、山々が連なり入り組んだ地形をしており、リゾート地のようなエメラルドグリーンの海や水平線に沈み島を赤く染める夕陽、圧倒的な自然や教会群が魅力です。 ・島には、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、病院、学校(大学を除く)等の施設があり、生活するうえで必要なものは島内で購入することが可能です。 また、漁業・農業・建設業・医療・介護・交通・各種サービス業等、様々な業種があり特産品の「五島手延うどん」や「椿油」、「かんころもち」等の製造業もあるなど歴史や文化を感じながら働くことができます。 (新上五島町公式HP:https://official.shinkamigoto.net/) (新上五島町観光HP:https://shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com/) (新上五島町移住HP:https://kami510.com/)

















