リベンジを果たし、林業の道へ。宿毛市で受け継ぐ“林業のバトン”

■東京で不動産のお仕事をされていたそうですが、宿毛市に移住されたきっかけは何だったのですか？ 昔から、農業や林業といった“自然の中で働く仕事”に興味を持っていました。 そんな中、東京で開催された「高知暮らしフェア」で宿毛市のブースに立ち寄ったのがきっかけです。いくつもの自治体のブースが並ぶ中で、宿毛市だけが“自伐型林業のモデルチームを目指す協力隊”というミッションを掲げていて、強く惹かれました。他にも林業をテーマにした協力隊募集はありましたが、「せっかく移住するなら、海・山・川が全部揃う場所が良い！」と思っていたので、その点でも宿毛市に惹かれましたね。 当時は“自伐型林業”という言葉すら知らないほどでしたが、調べていくうちに、自伐型林業は少人数で取り組めて初期投資も少なく、将来的に独立も目指せることを知りました。自分の力で生きていくためのスキルを磨ける仕事だと感じ、「これは挑戦する価値がある！」と心が決まりました。

■なるほど、それで宿毛市の林業ミッションの協力隊を選ばれたのですね！ そうなんです。でも実は、最初に応募した年は“まさかの不合格”でした（笑）。 それでも諦めきれず、「来年もう一度挑戦しよう」と決めたんです。落ちた理由を考えたときに、「もっとPCスキルやSNSの知識など、＋αのアピールが必要だったのかもしれない」と思い、セミナーや講習に参加してスキルアップに励みました。１年間準備して、翌年再挑戦。見事合格し、念願の宿毛移住を果たしました。当時は特に応募が多く、倍率も高かったそうですが、めげずにリベンジして本当に良かったです…！

■実際に宿毛市で林業を始めてみて、どうでしたか？ ほとんどの人がそうだと思いますが、私もチェーンソーを触ったことすらない、完全な未経験からのスタートでした。でも不安よりワクワクの方が大きかったですね。 朝、山でコーヒーを淹れてから作業を始めたり、天候に合わせて休みを取ったり。自然のリズムに合わせて働ける生活がとても心地よく、自分にはすごく合っていると思いました。チェーンソーで木を伐採したり、重機（ユンボ）を扱えるようになったり、できることが増えるたびに達成感があります。まさに“やればやるほどハマる”仕事です。 着任後は、先輩協力隊の吉田さんに導かれながら、地元の自伐型林家のもとで約１ヶ月間修行しました。ここで学んだのは、技術だけでなく「作業量と収支のバランス」や「現場経営のリアル」。この経験が指針となり、３年間は“修行期間”と決めて、とにかく現場で技術を磨くことに専念しました。

■協力隊を卒業した現在、どのような活動をされていますか？ 自伐型林業の個人事業主として活動しています。林業を軸にしながら、草刈りや特殊伐採、土砂の撤去など、地域の方からの依頼も多くいただいています。重機を扱えるので、林業以外でも“地域のお困りごとを解決できる仕事”がたくさんあるんです。こうした柔軟さも林業の強みですね。 また、協力隊OBOGの仲間４人で「宿毛フォレストサービス」というチーム（LLP：有限責任事業組合）を立ち上げました。事業者が入れないような狭い場所や、細やかな作業を得意としています。メンバーはそれぞれ得意分野が異なり、私は営業担当として山の所有者との交渉や相談対応も行っています。ロープワークが得意なメンバーもいれば、作業スピードに優れたメンバーもいて、まさに補い合いながら活動しています。LLPは個人事業主の集まりなので、必要なときに集まり、互いの得意分野を生かして動くことができます。個人事業主としての自由さを保ちながらも、協力し合えるのが特徴です。 今後は、このチームが新たな協力隊の“受け皿”になれたらとも思っています。先輩が作った道を次の人へ繋いでいきたいです。同じ志をもって挑戦したい方、ぜひ一緒に活動しましょう！

■最後に、宿毛市や林業に興味を持っている方へメッセージをお願いします！ 宿毛市の林業は、先輩が道を作ってくれているので、新しい人も挑戦しやすい環境です。みんな前職はバラバラですし、覚悟さえあれば絶対にできると思います！３年間を修行期間と捉えてコツコツ頑張り、卒業後に自分なりのスタイルを築いていくと良いと思いますよ。また、頼りになる先輩や優しい自伐型林家さんがいるので、困ったらすぐに相談できます。少しでも気なる方はぜひ一度現地やオンラインでお話しましょう！

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