
小中学生の子どもと地方移住。進路・学校・友だち…家族移住の疑問を質問『馬上奈々さん』
公開日:2025/11/25 04:11
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2025/11/25気になる家族での地方移住。でも「転校の手続きってどうやるの?」「進路や部活の選択肢は減らない?」「地域コミュニティに受け入れてもらえる?」
そんな疑問、不安を抱くママ・パパは多いと思います。
今回お話を伺った馬上奈々さんは、2023年3月に家族4人で福島県田村市へ移住しました。慣れ親しんだ場所を離れての新生活に不安もあったそうですが「子どもの選択肢を広げるためには」と、田村市への移住を決意。
家族での移住を決めた理由、移住の準備、そして子どもたちの変化。 中高生を育てる馬上さんが経験したファミリー移住について、ご紹介します。
子どもの将来のために決めたファミリー移住
馬上さん家族が以前住んでいたのは、人口2万人ほどのまち。自然が豊かで子育てもしやすく、住民同士の距離が近い住みやすい地域でした。旦那さんは転勤を伴う仕事ではありましたが、家も購入しており、子どもたちが学校に上がってからはずっとこの地域で暮らしていました。
「『このままここで暮らしていくんだろう』と思っていたので、夫から田村市の企業に転職すると聞いたときは、家族みんな『えーっ!?」でしたよね(笑)」
当初旦那さんは単身赴任を考えていたそうですが、急遽開かれた家族会議の結果「家族みんなで移住しよう」ということになりました。
その理由は3つ。
高校進学の選択肢が増える 家族移住を決めた一番の理由は、当時中学1年生と小学5年生の息子さんの進路。以前住んでいた地域では、距離の問題、学力の問題などを考えると、進学できる高校は限られていました。田村市は中核都市である郡山市へのアクセスが良く、郡山市の高校はほとんどが通学圏内です。
子どもの「得意」を伸ばしてあげやすい 移住先として候補に選んでいた田村市の船引町は、学校の規模も大きく、スポーツ活動や文化活動が盛んです。当時長男は吹奏楽、次男は運動が好きだったので、田村市に来た方がそれぞれの好きなことを続けられる環境にあると思いました。
大人数の学校での経験も必要だと思った 以前は小規模の学校にいた子どもたち。これから社会に出ることを考えると、一度大きな学校で揉まれるという経験も、子どもたちには必要ではないかと考えました。
「環境が変わるということは、移住後必ず問題は起こるだろうと思っていたので、その時々で解決していこうという気持ちでしたね」
◆家族移住の3大ハードル―学校手続き、住まい、仕事◆
いざ移住することが決まり、次は移住の準備です。 移住の準備には、家、仕事、学校手続きの3つの大きなハードルがありました。
1.転入手続き 学校の手続きは以下の流れで進みました。
【2022年9月】 田村市の教育委員会へ初めて連絡 【2022年11月】 移住時期が正式に決まったタイミングで、教育委員会へ再度連絡。その後新しい学校へも連絡。 【2023年2月】 親子で転入先の学校を事前訪問 【2023年3月】 正式に転入
移住時期を3月にしたのは、新学期以降ではすでに出来上がったクラスの中に入ることになるので、それを避けるためでした。本当は年明け早々に移住したかったのですが、家の引き渡し等の関係で新年度直前の3月に移住することになりました。
2.住まいの確保 田村市では、子育て世代向けに住宅取得のための補助金があったため、そちらを利用して、駅の近くに新しく住まいを建てました。
駅の近くにした理由は、子どもの通学に便利であり、近くにはスーパー等の生活施設も充実していて、老後も困らなそうだなと思ったためです。
「中学校までは徒歩で行けますし、次男がよく利用する田村市の陸上競技場も自転車で行けます。部活動の送迎が減るので、立地としてはよかったと思います」
3.仕事探し 仕事に関しては、見つけるのは簡単ではありませんでした。教員免許をもつ馬上さんは、以前は教職や福祉関係の仕事に就いていましたが、子どもの部活動の送迎があるため、パートか派遣社員での事務職を探しましたが、なかなか理想の求人はありません。
しばらく探しついに見つけたのは、田村市でまちづくり事業を行っている団体の求人です。
「縁あって働かせてもらえることになり、今はユニークで面白いメンバーと毎日楽しく仕事をしています」

移住前後で起きた子どもたちの変化
子どもたちは「良いことも辛かったことも含めて『良い経験だった』」と話していて、2人とも今ではポジティブに移住を捉えています。
ー友だちづくりは1年かけてゆっくりー 「長男は、馴染むのに半年ほどかかったかもしれません。学校も遅刻気味になってしまって。でも、良い先生方に恵まれました。『彼には彼のタイミングがあるから』といって、怒らず、辛抱強く息子を待っていてくれました」
同時に部活動では吹奏楽部(マーチングも並行して実施)に所属。「上手くなりたい」という気持ちは強かったようで、部活動は休まず参加していました。そのうちに仲の良い友達ができて、1年を過ぎるころにはすっかり学校にも馴染むことができました。
ー「浅く広く」だった交友関係が、より深い関係へー 次男は元々、みんなを引っ張って「集団で何かをする」のが好きでした。それが移住後に交友関係が広がったことで、流行や趣味、好きなものはみんな違うということを知ったようです。より趣味の合う友達と、深い付き合いをするようになりました。
「息子たちの友達というのが、親から見てもみんな素直で良い子なんですよね。考えてみたら田村市にはそういう素直な子がとても多い印象があります。おかげで安心して子どもたちを見送ることができました」
◆趣味も、進路も、自分に合ったものを選べる安心感◆
長男は郡山市にある高校に進学し、今は弓道部に所属しています。次男は中学校で陸上部へ入部しました。
福島県では剣道や弓道などの武道が盛んで、田村市では陸上やバスケットボールなどが強く、子どもたちが挑戦しやすい土壌が整っています。
高校を選ぶ際は、希望の進学先への進路状況や、自分のやりたいことができるかどうかを考え、子どもが自分で行きたい高校を見つけてきました。
通学時間でいうと、田村市の船引駅から郡山駅まで電車で約30分、郡山駅から学校までは自転車で10分ほど。通学には特に問題はありません。
「子どもが自分で選んだ高校に進めたのは本当に良かったなと思います。今、毎日がとても楽しそうです」


自分の時間もできて、暮らしの満足度は「80%」!
子どもが中高生になったことで、自分の時間を確保できるようになりました。 移住後は郡山市までパソコン教室に通ったり、隣町のヨガ教室に通ったりもしています。
「新しいことを始めると、新しい友達ができて、生活が一段と楽しくなります。仕事も楽しいし、子どもはのびのび自分らしく生きてくれているし、今の満足度は80%。とてもいい暮らしです」
ちなみに、「残りの20%は?」と尋ねたところ…
「もっと多くのコミュニティの中に入り込みたい。色んな世代の人とも話をしてみたい。田村市の中でもまだ行ったことが無い場所があるので、もっともっと田村市のことを知りたいです」
と、とことん貪欲に田村市を知ろうとする馬上さんの姿がありました。
◆コミュニティは“適度な距離感で、温かい”◆
田村市に来て一番良かったなと思うことは「地域の人の温かさ」だと話す馬上さん。
近所の方に会うと「元気―?」「困っていることなーい?」と話しかけてくれ、時には季節の野菜をおすそ分けしてくれます。
移住前はママたちの輪に入れるか心配していましたが、その心配は不要だったことに気づきました。
子どもの部活動の役員をやった際には、そこで知り合ったママたちはすぐに温かく迎え入れてくれ「わからなかったら聞いてー」とさりげなくサポートもしてくれました。馬上さんの子どもにも積極的に話しかけてくれて、人を大切にしてくれる場所だなと、馬上さんは温かく感じたそうです。
◆移住を考えている人へのメッセージ◆
「私が住んでいるのは田村市の中でも人口の多い『船引町』という地域です。人口が多いだけあって、スポーツや文化活動も活発で、子どもの『好き』や『得意』を伸ばす機会には恵まれていると思います。子どもたちはみんな素直ですし、親自身もコミュニティに入っていきやすい環境です。
他にも田村市には、自然が豊かな場所や、昔ながらの商店街を中心に生活できる場所、移住者の多い場所など、色んな特性の地域が存在します。きっと、ご自身の希望にあった移住先が見つかるのではないでしょうか。
田舎特有の『無理して付き合わなきゃ』という雰囲気はないですが、困ったときには助けてくれる人やアドバイスをくれる人が必ずいるので『適度な距離感と人の温かさ』こそ、田村市の魅力かなと思います。
心配しすぎず、安心して移住してください」


このプロジェクトの地域

田村市
人口 3.52万人

一般社団法人Switchが紹介する田村市ってこんなところ!
暮らしのスタイルが選べる! 福島県の山間地に位置する田村市は、人口約32,500人が暮らす、自然豊かで多彩なライフスタイルが楽しめる町です。 市域の約70%を占める広大な森林や、丘陵地帯に広がる静かな山間部や畑、さらには国道沿いの利便性の高い生活エリアまで、地域ごとに異なる魅力を持つ田村市。静かにゆったりと過ごすスローライフも、便利な町中での快適な生活も、自分のライフスタイルに合わせて選べるのが大きな魅力です。
さらに、東京から新幹線と電車で約1時間50分、車で約3時間30分というアクセスの良さも田村市の強み。 夏は涼しく、冬は雪が少ないため、都市部からの移住者にも優しい暮らしやすい環境が整っています。
このプロジェクトの作成者
興味を持っていただき、ありがとうございます! 私たちは福島県田村市で廃校活用型テレワークセンター「テラス石森」を運営しながら、地域活性化に取り組んでいるまちづくり法人です。 福島県田村市を、よりアツい場所にするべく活動しています。

















