高校生がつくる「居場所」はどう育ったのか。山梨県モデル事業「放課後 cafélab」

イベント・体験
公開:2026/08/07 ~ 終了:2026/08/31

開催日程:

2026/08/18 04:00 ~ 2026/08/18 06:15

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2026/08/08

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2026/08/07

山梨県のモデル事業として実施された「放課後 cafélab」。高校生が主体となって運営に関わり、「自分たちの居場所」を自分たちで育てることに挑戦した取り組みです。舞台となったのは、イオンモール甲府昭和と妙福寺。放課後に「ここにいてもいい」と思える場所を模索してきました。

デジタル化が進み、人とのつながり方が大きく変化した今。SNSでは多くの人とつながっていても、リアルな居場所を持てず、孤独を感じる中高生は少なくありません。山梨県でも、「中高生の居場所」が地域課題として挙げられたことをきっかけに、このプロジェクトはスタートしました。

▼プロジェクトの流れはこちら(前編URL)

今回のモデル事業の特徴は、高校生が主体となるだけでなく、多様な立場の大人たちがそれぞれの役割を持ち寄り、一つのチームとして伴走したことです。山梨県庁が事業全体を担い、イオンモール甲府昭和が地域に開かれた場を提供し、一般社団法人ソーシャルテンプルが高校生に寄り添いながら活動を支援し、ブリコルーズ合同会社が事業全体のコーディネートを担当しました。

高校生の主体性を尊重することと、プロジェクトとして成果を出すこと。その間で揺れ動きながら進めた半年間は、行政、企業、地域団体、高校生が、それぞれの立場で地域課題に向き合う時間にもなりました。

「居場所が必要」から、「山梨の中高生はどこにいる?」の問いへ

「最初にあったのは、『中高生の居場所が必要なのではないか』という仮説だけでした。何をすればいいのかも、どんな形が正解なのかも分からない状態で、まずはソーシャルテンプルの近藤さんにお話を聞きに行きました」そう振り返るのは、山梨県庁の西巻さんです。全国でも、中高生の「居場所」は地域課題として注目されています。

では、山梨県はどうでしょうか。 街を歩いても、東京のように中高生が集まる姿はほとんど見られません。しかし、それは「居場所がある」ということではなく、「見えにくいだけなのではないか」。関係者の間では、そんな議論が重ねられていきました。「昔は公園や友達の家に集まることが当たり前でした。でも、今の中高生はそういう場所が少ない。どこにも“たまって”いないんです。だからこそ、目に見える居場所を地域につくる意味があると感じました」ソーシャルテンプルの近藤さんはそう話します。

そこで着目したのが、イオンモール甲府昭和でした。 学校でも家庭でもない、日常的に中高生が自然と立ち寄れる場所。新たな施設をつくるのではなく、地域にある場を活かすことが、このプロジェクトの出発点となりました。 イオンモール甲府昭和も、この考え方に共感しました。 「実は、このお話をいただく以前から、自習スペースとして施設の一部を開放していました。山梨県では若い人たちが自由に集まれる場所は決して多くありません。商業施設だからこそできる地域貢献がある。そう考え、この取り組みに参加しました。」そう語るのは、イオンモール甲府昭和の佐藤さんです。

こうして、行政、企業、地域団体、そしてコーディネーターという、それぞれ異なる立場の4者が集まりました。 最初に行ったのは、高校生向けの企画を考えることではなく、「大人同士が同じ方向を向くこと」でした。「まず大人同士で何を大切にするかを話し合いました。その時間があったからこそ、同じ方向を向いてスタートできたと思っています」(佐藤さん)。

ブリコルーズ合同会社の石田さんも、今回の座組を振り返ります。 「行政、企業、地域団体など、それぞれ異なる立場の人たちが強みを持ち寄り、一つの目的に向かって取り組めたこと自体が、大きな価値だったと思います。それぞれが役割を果たしたからこそ、高校生の挑戦を支えることができました。」

一方で、「高校生が主体」と決めたからこそ、大人はどこまで手を貸すべきなのか。その答えは、最後まで誰にも分かりませんでした。 プロジェクトが動き始めてからは、試行錯誤の連続でした。

高校生が主体となる活動は、予定どおりには進みません。受験や部活動、アルバイトなど、それぞれの生活がある中で活動への温度感も異なり、意見がぶつかったり、活動から距離を置くメンバーがいたりすることもありました。 「高校生たちは、どうしても目の前のことを優先しがちですし、本気で取り組んでいるからこそ、意見がぶつかって離れてしまう子もいました。どうすればモチベーションを保ちながら活動を続けてもらえるのか、本当に悩みました。」(ソーシャルテンプルの近藤さん) 活動が停滞するたびに、「大人がもっと手を入れた方がいいのではないか」という議論も交わされました。 「近藤さんと『少しテコ入れをした方がいいのでは』と話したこともあります。受験を控えた高校生も多く、活動頻度を上げることも難しい状況でした。それでも、大人が形だけ整えてしまえば、高校生自身の活動ではなくなってしまう。最後まで高校生が主体であることを大切にしよう、と話し合いました。」(山梨県庁の西巻さん)

一つの居場所から、地域の未来へ

この事業が目指したのは、「完成度の高いイベント」をつくることではなく、高校生が自ら考え、挑戦し、試行錯誤するプロセスそのものに価値を見いだすことでした。

一方で、大人たちは「居場所づくり」というテーマの難しさも実感します。 「今回さまざまな事例を調べる中で、本当に理想的な居場所とは、誰かがいつもいて、いつでも立ち寄れる場所なのだと改めて感じました。」(近藤さん)

一方で、ブリコルーズの石田さんは、「『居場所』は半年や一年で完成するものではありません。行政事業には期間や予算があります。その中で何を成果として設定するのかは、とても悩みました」と振り返ります。 このモデル事業だけで「居場所」が完成したわけではありません。むしろ、「居場所をどう育てていくか」という問いを地域全体で考えるスタートラインに立ち、多様な立場の人たちが継続して関わることの重要性が見えてきました。

イオンモール甲府昭和の佐藤さんは、「これまでも高校生と関わる機会はありましたが、ここまでじっくり話すことはありませんでした。高校生が何を考え、何に悩み、何をやってみたいと思っているのかを直接知ることができたことは、大きな収穫でした」と振り返ります。

近藤さんも、「大人はつい先回りしたくなります。でも、いつもそれが正解ではない。高校生たちは、自分たちで考え、自分たちでつくったからこそ、手応えや達成感を感じられたのだと思います」と話します。

「最初は友達同士で参加していた高校生たちが、少しずつ新しい関係を築いていく姿が印象的でした。『放課後 cafélab』が、自分の居場所だと感じてくれた高校生がいたことが、この事業の大きな成果だったと思います。」(石田さん)

このプロジェクトの成果は、高校生たちの成長だけではありませんでした。 半年間の実践を通して見えてきたのは、中高生の居場所づくりは一つの組織だけで実現できるものではないということです。多様な立場の人たちが、それぞれの役割を担いながら協働したことで、この取り組みは形になりました。

一方で、継続的な運営体制など、新たな課題も見えてきました。 だからこそ、このモデル事業の成果は、「居場所ができた」という結果だけではありません。多様な立場の人たちが協働し、地域課題に向き合うプロセスを実践し、その成果と課題の両方を得られたことこそ、この事業の最も大きな成果でした。

「放課後 cafélab」が残したものは、一つの居場所だけではありません。地域の中で、人と人が立場を越えて支え合い、ともに居場所を育てていく。この半年間で育まれたつながりや経験が、これからの山梨の中高生や地域に関わる人たちの新たな挑戦へと受け継がれていくことを願っています。

山梨県では今後、このモデル事業で得られた成果や課題を共有するシンポジウムを開催します。実践者や自治体関係者などが集い、中高生の居場所づくりを地域全体でどのように支えていくのかを、ともに考える機会となる予定です。

募集要項

※募集者 / 主催者に連絡を取りたい場合、まずは「応募したい」ボタンを押してメッセージを送ってください。

イベント名

【参加無料】中高生・若者の居場所づくりセミナー ~支援の現場と実践から考える、これからの居場所づくり~

開催日程

2026/08/18 04:00 〜 2026/08/18 06:15

所要時間

【プログラム】

主催者挨拶 基調講演「なぜ中高生・若者に居場所が必要なのか」 山梨県モデル事業「放課後 cafélab」実践報告 「くるぐる」による中高生の居場所づくり事例紹介 パネルディスカッション 質疑応答

費用

参加無料

※事前申込制 ※定員100名(先着順)

集合場所

山梨県立図書館 2階 多目的ホール

住所:山梨県甲府市北口2-8-1

募集者 / 主催者
山梨県 こども福祉課
その他

定員:100名(先着順) 対象:中高生・大学生、子どもの居場所づくりに取り組む団体・事業者、学校関係者、行政関係者、児童福祉・自立支援関係者など、中高生・若者の居場所づくりに関心のある方

山梨県モデル事業「放課後 cafélab」の実践報告や、県内外の事例紹介、パネルディスカッションを通して、これからの居場所づくりを考えるセミナーです。

【事前申込制】 お申し込みは、「応募したい」もしくは、以下のフォームからご応募ください。 https://forms.cloud.microsoft/Pages/ResponsePage.aspx?id=RXGmqaZ1j0-txs0C0tgebwKK2oKIrm1FlJbJW7SzsUdUQkhYMjM5VlFTMjcxSExNUDcyRFIwR0lVUy4u&origin=QRCode

山梨県 こども福祉課

このプロジェクトの地域

山梨県

山梨県全体

人口 76.33万人

山梨県全体

山梨県 総合県民支援局 こども福祉課が紹介する山梨県全体ってこんなところ!

今回の舞台となるのは、山梨県甲府盆地に位置する昭和町。 甲府市に隣接し、イオンモール甲府昭和をはじめとした商業施設や住宅地が広がる、山梨県内でも人の往来が多いエリアです。県内各地から人が集まる場所でありながら、少し車を走らせれば富士山や南アルプス、八ヶ岳の山並みを望むことができる、山梨らしい風景も身近にあります。

甲府盆地は、果樹栽培が盛んな地域としても知られています。ぶどうや桃の畑が広がり、季節ごとに風景が変わる土地です。

今回の活動拠点となったイオンモール甲府昭和と妙福寺も、この昭和町にあります。 地域の人々の暮らしに欠かせない商業施設であるイオンモールと、昔から人々の生活のそばにあったお寺。性格の異なる二つの場所を拠点に、中高生の居場所づくりに挑戦した山梨型の社会実験が行われました。

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