
持続可能な農業はファンづくりから! 『はぎマルシェ』で未来を拓く若手農家たちの挑戦。
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2022/12/31経過レポートが追加されました!「\第29回はぎマルシェ開催します/」
2022/11/18皆さんは「萩市」っていうと、どんなイメージを思い浮かべますか?
移住者の私は、維新の志士をたくさん輩出した町、松下村塾、萩焼くらいしか知らなくて、〝歴史と文化の町〟というイメージしかありませんでした。
しかし実際に来てみると広大な面積があって、海あり・山ありの豊かな自然に恵まれた山口県屈指の農業振興地域だったのです。
そんな萩市の農業就業人口比率は2015年時点で全産業の9.6%。男女共に全国平均と比べても極めて高いのが特徴です。しかし、その内訳から見えてくるのは日本全体で起きている問題と同じように、深刻な高齢化と後継者不足の現状でした。 ここ萩市でも約8割が60歳以上と農業従事者の高齢化が進行し、このままでは萩市の農業は急速に衰退してしまう可能性があります。
そんな中、萩の若手農家が主体となって毎月開催しているイベントが今、注目を集めています。 『はぎマルシェ』は月1回、萩市中央公園で「萩ブランド」にこだわったお店が出店し、来場者とコミュニケーションを取りながら品物を販売するイベントです。 郷土の偉人・山縣有朋(やまがた・ありとも)像のまわりをぐるりと囲んで、萩市の農作物を中心に海産物、畜産物、そしてそれらを使ったグルメ、萩の森林資源を使用したワークショップなど、個性豊かなお店が軒を連ね賑わいます。
開催の目的はあくまで〝生産者の応援者を作る〟こと。従来のように作って納品したら終わりではなく、自ら消費者との交流の場を作ることでファンを増やす。そうすることで道の駅やスーパーなど、別の場所で商品を目にした時、自然と手に取ってもらえるようになります。
若手農家が販路拡大や所得向上を目指す新たなチャレンジの場となっている『はぎマルシェ』。 どのようにして生まれ成長してきたのか、萩市農政課とはぎマルシェ実行委員会にお話を聞いてみました。 萩ローカルエディターの三枝英恵がお伝えします。
コロナ…猛暑…誰もいない真夏の公園から始まった僕らのマルシェ
三枝「はぎマルシェ以前に農家さんが消費者に直接販売する機会はあったのでしょうか」
はぎマルシェ初代会長・榎谷さん 「2018年から直売所の前で〝農家マルシェ〟みたいな感じで3か月に1回くらい5、6軒集まって対面で販売していました」
はぎマルシェ初代副会長・奥富さん 「当時は〝目立たない農業〟という感じがあって、名刺を持って1軒ずつ納品先を開拓するしかなかったんですが、農家マルシェからお客様と直接つながる流れができました」
三枝「農家マルシェが〝はぎマルシェ〟に進化したきっかけは何だったんでしょうか」
榎谷さん 「2018年に明治150年を記念した山口ゆめ花博という大きなイベントがあって、その翌年に剰余金を原資とした基金ができました。持続的な地域の活力を生み出す取組みには基金が3年間活用できるということで、萩市農政課の方からお話を頂いたのがきっかけです」
三枝「お話を聞いた時、どう思われましたか?」
榎谷さん 「それまでイベントというと何か他に目的があって、野菜を買うためにあるイベントってなかったので、農政課さん面白いことするなぁと興味を惹かれました。例えばお祭りだと“こんなに入って100円” “この大きな野菜が200円”っていう売り方。 そこで農家主体のイベントを通して、いかにして1個の商品に対して金額としての付加価値をつけていくのかを学ぶ場にする。 1、まずお客さんを集める 2、運営をする 3、自分の商品を売る 4、そういったものが日頃の商売にかえってくる この4つをはぎマルシェでやりたいなと思いました」
三枝「実行委員会が2020年4月からの本格始動ということで、常にコロナに付き纏われた2年間だったと思うのですが」
榎谷さん 「そうですね。緊急事態宣言明け当初は、基本的に試食もできないし調理もNGだったので、出店して頂ける飲食の方を探すのがすごく大変でした。あとは感染対策ですね。野菜なので状態を見たいというのがやっぱりあるから、全て個包装にすること、これは徹底しようと」
三枝「実際にやってみていかがでしたか」
榎谷さん 「8月15日が実質的な第1回だったんですが、はぎマルシェ自体もまだ定着していなかったので、公園に来た人が何かやってるからちょっと見て行こうか、くらいしかなかったんですよ」
はぎマルシェ副会長・細田さん 「だけどお盆だからお客さん来るんじゃないか、みたいな淡い希望を抱いて…。暑すぎて12時以降は誰も歩いてなくて」
はぎマルシェ会長・光井さん 「売れなかったですね。最初毎月やりたいって思ったけど、これ毎月やるんか…ってちょっと不安になったのは覚えてます」
奥富さん 「最初はコケます。全て成功することはありませんから。そこから改善で」
三枝「その次くらいから毎回テーマを持ってやっていらっしゃいますね」
細田さん 「8月開催の後、やばいなって思ったんですよね。だから何かテーマを持ってやった方がいいんじゃないかって会議で提案したら、実は皆も同じ気持ちを持ってた」
奥富さん 「実行委員会、みんな危機感持ってたんですよ。本当、いいきっかけになりましたね」
三枝「その後はどうだったんですか?」
細田さん 「冬にはサンタとトナカイや餅まき、いろんなことをやりましたね」
奥富さん 「来やすい雰囲気を出そうね、って。もう気配り、目配り、心配りで」
光井さん 「厳しいスタートでしたけど、今は続けてきて本当によかったなぁと思います」
榎谷さん 「毎月あるので〝はぎマルシェをやっている榎谷さん〟ていうイメージがだいぶつきましたね。例えば高校生が見学に来たり、中学生に職業講話をさせて頂いたりと、地域のためのイベントになってきていると感じています」
奥富さん 「記憶に残っている出来事が1つあって。ちょうど朝オープンしてすぐに若い夫婦が新婚旅行でいらしていて。はぎマルシェが人生の思い出の一部に残ると思うと、すごく良かったなぁと思います」
細田さん 「僕は野菜とピザをやっているんですが、毎回買いに来てくれるお子さんがいて“ここのピザとトマトがいちばん!” と言ってくれて。喜んで楽しみにしてくれる子どもがいるというのは励みになりますね」
光井さん 「僕も回を重ねるごとに新規よりリピーターのお客さんの方が多くなってきて。“スーパーに行ったらまず光井さんの商品を探します!”と言ってくれた時は嬉しかったですね。そのひと声だけで、売上が少ない日でもやっぱり良かったなぁって思いますし、すごくモチベーションが上がります。そこがはぎマルシェの醍醐味なのかなって思います」


来年度からは公的補助なしで独立。市外のお客さんも取込んでさらなる集客を目指す
三枝「農政課さんの方ではスタート時のメンバーが今年3月までで、4月からは新しく岡崎さんが担当されているわけですが、実感としてはいかがですか?」
農政課 岡崎さん 「とても楽しくやらせて頂いてます。何より実行委員会のメンバーの皆さんがやさしいので。 農家さんのお仕事って大変だというイメージはあるんですが参加させて頂いたことで、それと同じくらいやりがいがあったり、お客さんと会話することが楽しいという面が見えてきました。 はぎマルシェが、若手農家さんにとってどれだけ頑張っているかということをアピールできるいい機会になっているのを実感しています」
三枝「来年3月で萩市の手を離れて、実行委員会だけで運営していくということなんですが、補助金も終了するのですか?」
岡崎さん 「はい、終了します。ですので、出店料や本部の方で行なっている野菜くじなどの資金を使ってどう運営していくかというところは、これからの皆さんの手腕にかかってくるところではあるんですが。事務的なところでは、市の手を離れても皆さんがちゃんとやっていけるように、なるべく簡略化してスムーズに引き継いでいくことが、今の私の目標です」
三枝「今後はどんな方針でやっていこうと思われますか?」
光井さん 「僕としては、もっと市外のお客さんを取り入れて行きたいですね。今までコロナのこともあって宣伝は小さくやってきたんですけど、市外の直売所にもポスターをどんどん貼っていったりして、“はぎマルシェやってますよ〜”というような感じで、発信していければなぁと思ってます。そうなると、そこに置いている農産物も含めて、そのお店に来た人の目にもとまるし、行ってみたいなという思いになると思いますし」
榎谷さん 「萩って観光地が沢山あるんですけど、1回来たら気が済んじゃう方も多いと思うんですね。そこに毎月色が変わるイベントがあれば、毎月行ってもいいってなるんじゃないかということで、はぎマルシェを観光の中に取込むのはどうかというお話も、今させてもらってます」
細田さん 「出店する側という意味では、はぎマルシェって農家のマルシェだから、やっぱり若い世代の農家さんがもっと増えてほしいですね。考え方としては儲かるかどうかっていうよりも〝出て気持ちを伝える〟ことがメインになるんですが、そういうところをもう少し重要視するような農家さんがまわりに増えてくれたら、もっと農家マルシェとして盛り上がるんじゃないかと思っています」
三枝「それでは、最後に出店に関心がある方へのメッセージをお願いします」
農政課 岡崎さん 「気軽に生産者と消費者の会話を楽しむ場として、出店して頂けたらいいなと思います。そして作っているものをアピールしたり、逆に意見を聞いて次はこうしてみようかと改善点を見つけたりといったことを体験してほしいです。 また、はぎマルシェに出ることで他の萩市内の農家さんとも話ができますし、たとえば飲食店さんも出店しているので、そこに出荷して自分が作った野菜をお店で使ってもらうという話もできるかもしれないので、農家さんとしての交流の場としても考えてもらえたら嬉しいです」
光井さん 「はぎマルシェに出てる農家はすごいって言われるイベントにしていくつもりです。 出店することによって自分のファンができたり、お客様と直接言葉を交わすことができたり、普段の農業とは違った視点や雰囲気を味わうことができます。 そして、市内直売所等での販売実績向上へと繋げていくことができます」
三枝「お客様へのメッセージもお願いします」
農政課 岡崎さん 「はぎマルシェで農家さんとお話しして、今まで使ったことのないような珍しい野菜のことを知ってもらったり、これを使って料理を作ってみようという形で、萩でとれたものを積極的に使って頂けたら嬉しいです。 また、マルシェ以外のところで萩市産のものを見かけた時に、“あっ、この農家さん知ってる” “今日はここで買ってみよう”っていう気持ちに、少しでもなって頂けたらいいなと思います」
光井さん 「まず、はぎマルシェっていう空間を楽しんで頂けたらなぁと思ってます。もし目当てのものがなくても、雰囲気を楽しみにちょっと行ってみようか、くらいの気持ちでぜひ来てください」


募集要項
〜
11:00〜14:00(小雨決行)※準備が整い次第、早めに開始する時があります
萩市中央公園(山縣有朋像周辺)
・スケジュール: 毎月第3土曜日に、萩の美味しい野菜や加工品など、季節のおすすめが並びます。 楽しいステージショー、キッチンカーやワークショップもありますヨ!
【令和4年】 9月17日(土曜日) 10月15日(土曜日) 11月19日(土曜日) 12月17日(土曜日)
【令和5年】 1月21日(土曜日) 2月18日(土曜日) 3月18日(土曜日)
このプロジェクトの経過レポート
このプロジェクトの地域

萩市
人口 4.11万人

三枝英恵が紹介する萩市ってこんなところ!
いかがでしたか。 はぎマルシェは毎月第3土曜日に開催されていますので、 まずは観光がてら気軽に遊びにいらしてください。
そこに行けば生産者さんと直接お話しができて、 次にスーパーや道の駅に行ったらその人の野菜に会える。 日常の買い物でそんな体験ができる町、それが萩市です。
また新規就農を検討している方、 農業でのUターン、Iターンを考えている方も、 マルシェの雰囲気を味わいに来てみませんか。
萩市では様々なサポートや補助金の制度がありますので、 ぜひご相談ください。 萩ローカルエディターが関係各所におつなぎします。
このプロジェクトの作成者
こんにちは!萩市ローカルエディターの三枝です。萩・明倫学舎4号館「はぎポルト」から、地域で輝く人や楽しいイベントなどを紹介しています。わたし自身も東京からの移住者ですので、これからも移住者としての視点も大切にしながら、皆さんのお役に立てる情報をお伝えして行きたいと思っています。
【はぎポルト 開館時間】 毎週火曜日~土曜日 9:00AM~6:00PM 地域のディープな情報や空き家の提供や空き家バンクのご相談、定住相談の窓口として、どなたでも自由にお越し頂ける開放的なスペースです。キッズコーナーもありますので、お気軽にお立ち寄りください。