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- 「農業」で生きる。はじまりの一歩を踏み出す旅へ@瀬戸内の離島
今回のプロジェクトの舞台となるのは、瀬戸内の離島が合併してできた25の島からなる上島町(かみじまちょう)の西側に位置する人口2,000人ほどの島「岩城島」だ。島の農業産出額は約80%を果実が占める。特に瀬戸内の温暖な気候を活かしたみかんやレモンなど柑橘類の栽培が盛んで、30年ほど前から島おこしとしてブランド化に成功した黄色く色づく前の新鮮なレモン「青いレモン」は今では、岩城島を語るに、なくてはならない代名詞となり、日本各地に出荷されている。
そんな農業が盛んなこの島にも高齢化の波が押し寄せている。農家の数は減少し、農業の新たな担い手を受け入れなければ、岩城島の農業は衰退してしまう状況だった。
そんな中、上島町では平成20年に3段階のステップアップ方式で農業の知識・経験を身につけることができる新規就農支援事業の取り組みが始まった。
入り口となるステップ1の「ワーキングホリデー」は1週間のうち、1日を移動日、3日間を農家の手伝い、残りの3日間は自由に島を体験できる。
このワーキングホリデーを通して島の農業を更に検討したいと感じた場合は、1年の間で延べ20日間の研修を行うステップ2の「お試し就業研修」へと進むことができる。さらに、より深く農家の仕事の流れやライフスタイルを体感し、農業で生きていきたい。そう決心したら、次はステップ3の「インターン研修」だ。こちらは7年以上継続して上島町へ居住することが前提となるが、2年間は町から研修費として月10万円が支給され、ひとりひとりの目指す農業をサポートしてくれる。
今回、募集するのはステップ1の「ワーキングホリデー」への参加者だ。
農業、そして人と向き合う力
この事業で受け入れの中心を担う「株式会社ブルーレモンファーム」の古川泰弘さんにお話を伺った。古川さんはサラリーマンを退職し、平成15年に岩城島に移住。初心者から農業を始められたIターン者の大先輩だ。農作業の傍ら、Iターン者の就農支援や、移住希望者の窓口ともなっている。
「どのような人が農業に向いているのか。」という常套句のような質問に、古川さんから返ってきたのは意外な答えだった。
「全人類誰でもできる仕事が農業と思うよ。肌の色が違っても、どんな土地でも、障がいがあっても。」
こんな人が向いていると選別はしない。例えば、足に障がいを持った子が農場に働きに来るとき、土の上に普段は敷かないシートを敷いたり、作業台の高さを変えるそうだ。「こちらが工夫すれば、いくらでも働けるようになる。スタッフに対しても考える力をつけさせてくれる貴重な存在。」と語る。どんな状況にあっても、それぞれの立場で考えることは、農業と向き合うときにもすごく大事なことだそう。
現在、インターン研修中の2組とも、チームを組んで仕事をすることが多いようだ。適正を見て任せる仕事やそれぞれに合った農業のやり方を一緒に考えていくという。
「全人類誰でもできる仕事」その言葉には、経営者として古川さんが目指す思いが溢れていた。
岩城島の「青いレモン」防腐剤やワックスを使用しておらず、皮までまるごと食べられる。
この島で出会った人たちが背中を押してくれる。
現在、新規就農支援事業のステップ3である、2年間の「インターン研修」を行っている佐藤さんご家族は、ワーキングホリデーへ参加したあと、上島町へ移住を決めた。奥様の佐藤美和さんにお話を伺うと、もともと農業がやりたくて2ヶ月間、四国・中国・九州といろんな場所を訪れては役所や農家さんの話を聞き、定住する場所を探していたようだ。サポート体制は整っているところは多くても、ここだ!と思える場所が見つけられない日々。
色んな場所を巡る中で柑橘栽培への思いが強くなり、愛媛、そして瀬戸内へ。上島町に決めた理由は、岩城島の「青いレモン」の魅力、海が近くのんびりとした雰囲気、そしてなによりも古川さんとの出会いだったという。
「ワーキングホリデー中に、古川さんが私たち家族のこれからのビジョンを一緒に描いてくれたんです。将来、島で生活している姿が見えて。ここで農業をやろうと思いました。」と懐かしそうに話す。
佐藤さんご家族のインターン研修は、今年7月末まで。インターン中は、農家さんのもとで研修をおこないながら徐々に自らの農園の整備を進めていったようだ。町から毎月10万円(佐藤さんご家族のように夫婦とも就農する場合は、夫婦で15万円)の補助はあるが、それだけでは正直生活は厳しい。農業をやるうえで、自然と向き合っていくことは大事だが、そればかりに集中するのではなく社会の情勢、国や自治体の農業補助金などを理解し、いろいろなものにアンテナを張りやっていかなければならない。
「大変ではあるけど、1歳の子どもがいることもあって、色んな方が気にかけてくれるんです。」町役場の担当者や、果樹試験場岩城分場のサポート、農家の方とのつながり、たくさんのアドバイスに助けてもらう毎日だという。最近では、古川さんに声をかけてもらい、島で使われていなかったビニールハウスをともに解体し、譲り受けたそう。現在はそのハウスで、試行錯誤しながらトマトを育てている。「本当にやりたいのは、レモンや紅まどんなですけど、準備にも時間がかかるし、今はそれだけではやっていけないから。」忙しない日々を送りながらも、前向きな佐藤さんの声はかろやかだった。インターン期間の終了後は国の「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」の交付を受けながら家族で就農に励む。
「交付金をもらわなくてもやっていくのが目標です。普通の会社って自由がきかないけど、農業は自分の努力や、やる気次第で切り開いて行けるんです!その分、責任も伴いますけど、それも含めて農業って楽しいです。いろんな地域をまわったけど岩城島を選んでよかったな。そう思います。本気で柑橘を育てたいならおすすめの場所ですね。」と熱く語ってくれた。
ステップ1「ワーキングホリデー」は、観光農園のような収穫体験ではない。佐藤さんのように農業がしたくていろんな地域を巡ってみたが、いまひとつここだ!と思える場所が無い。これから農業に向き合っていきたいと考えている。そんな「農業の担い手を本気で目指す人」にとっては有意義な体験となるだろう。
インターン実習中の佐藤裕介さん。夫婦ともにコツコツ取り組むことが好きだという。
ワーキングホリデー参加者は、受け入れ農家をまわりながら農業を学ぶ。
夢を持ってともに切り開く農業を
移住するにあたって、住む場所を変え、仕事を決断することはとても勇気のいることだと思う。最後に古川さんに「この仕事で得られる価値」を伺った。
「自分で一生懸命つくったものがお金に変わること。それが農業やる価値!それで自分が生活していく。家族を養っていく。税金払っていくんやからね。やっぱり農業は楽しいよ。」
最初は移住をして、初めてのことばかりで大変だったそう。でもがむしゃらに働く毎日は決して辛くなかったようだ。それには「農業で成功する」という熱い目標があったからだそう。「これからどんな生き方を目指していたとしても、なんらかの夢や目標を持って来てほしいな。そのほうがやりがいあるやろ?」と笑った。
島での農業はのんびり働き、スローライフ!そんなイメージを持っている方が多いかもしれない。しかし、今回お話を伺って感じたことは、農業で生きていく。そう決めた覚悟や、ひたむきに毎日を生きるその生き様だった。
各地で起こる災害や不安定な社会情勢に今、生き方、働き方を考え直している人も多いだろう。この国で自分の仕事に生きがいを感じている人はどれだけいるのか。身を、時間を仕事に費やすこと。その価値が変わってきている。
自然とともにある島での農業は、少し疲れたら歩いて海を眺められる。心がスッと落ち着き「よし、また頑張ろう。」と思える。そんな環境で自分の生きたいように生きることはとても贅沢だ。都会では得られない価値がこの島にはあるかもしれない。
岩城島とレモンの関係はこちらから。
「レモンを訪ねる離島旅」
https://www.kamijima.info/feature/islandtrip_to_visitlemon/
7/19、8/30 えひめオンライン移住フェア開催!上島町も出展しています。
移住相談 受付中!
https://ehime-kurashi.smout.jp/
レモン畑からの景色。いつでもすぐそばに海がある。
大変お待たせしました!
岩城島農業ワーキングホリデーが再開いたしましたのでご連絡いたします。
ご希望の方々には個別に連絡いたします。
それでは、ご応募をお待ちしております。
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瀬戸内海に浮かぶ愛媛県上島町は離島同士が合併した25の島からなる町です。主要な有人島4島をつなぐ「ゆめしま海道」は、令和4年春の岩城橋完成により全線開通となります。
瀬戸内海のど真ん中という立地から「不便すぎず、ちょうどよい離島」が近年、移住者が増えているポイント。本州方面に近く、船と車を利用すれば、新幹線が止まる広島県新尾道駅まで40分、広島空港まで1時間半と広島県へのアクセスが抜群の町です。
島ごとに違った文化や産業があり、空気感も違う上島町には、地域と関わり、ともに生きていきたい。そんな思いを持った移住者の方が農業やゲストハウス、カフェ、ライターなどで起業すし、島に新たな風を吹き込んでいます!
上島町は、瀬戸内海に浮かぶ7の有人島と18の無人島で形成されています。人口は約6600人。協力隊の勤務する役場や、スーパー、銀行などのある弓削島、「青いレモン」で有名な岩城島、しまなみ海道の通る因島に最も近い生名島、漁業が盛んな魚島など、町内の島々は、どこも個性豊かです。愛媛県内にありますが、買い物などで本州や四国へ車で行くには、まず隣の因島(広島県尾道市)へフェリーで渡ります。町外と橋でつながっていないこともあって、今でもなお、離島ならではのゆったりとした時の流れを実感することができます。私たち協力隊は、移住定住総合窓口を担当しています。上島町に興味をお持ちの方は、どうぞお気軽に、私たちまでご連絡ください。
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