生産者、消費者、大阪の食文化の「三方よし」を大事にする仕事。都心のイチバで働く〈後編〉

江戸時代には「天下の台所」と呼ばれ、今も食文化の発信地として重要な役割を担っている大阪。大阪木津卸売市場(以下、 木津市場)は、そんな大阪の魚食文化を支えている場所のひとつです。

食のプロフェッショナル向けの仲卸(なかおろし ※1)が集まる木津市場では、毎朝活気と人情味溢れるやりとりが繰り広げられています。

今回は、水産品の卸売(荷受けとも呼ぶ ※2)の一員として鮮魚/冷凍品の仕入れ・販売を担当するスタッフの声も聞きながら、市場の仕事とはどんなものか? を掘り下げていきます。

「大阪の都心から一次産業を応援したい」「魚の産地について知りたい」「人と地域をつなげたい」方にはきっとおもしろみのある市場の仕事。少しだけ、その世界をのぞいてみませんか?

▼「生産者、消費者、大阪の食文化の“三方よし”を大事にする」木津市場が目指す姿については、〈前編〉のこちらの記事をご覧ください。

https://smout.jp/plans/17190

(※1)仲卸:卸売(荷受け)から仕入れた商品を、市場内にある店舗で、飲食店や小売店など市場に買出しにくる人たち(買出人)に販売する事業者
(※2)卸売(荷受け):産地等の出荷者から販売の委託を受け 、または買付けた生鮮食料品等をせり売、相対取引等によって仲卸等に卸売する事業者

卸売市場の仕組み▶︎ https://kizu-ichiba.com/how-to/

卸売市場の要。バイヤー・営業の仕事とは?

卸売の仕事は「荷受け」と呼ばれています。

荷受けとは、「荷物を受ける」という字の通り、全国各地の生産者からよい食材を調達して預かるということ。そして集まった産品に適正な価格をつけて仲卸に販売するのが、卸売のバイヤー・営業の主要な役割です。

大まかに「鮮魚」「冷凍品」に分けられますが、「日々産地(または商社)とやりとりをし、魚を仕入れ、価格を決めて仲卸さんに売る」という核は同じ。

産地を支えるだけでなく、各地の良い食材を飲食店や小売店を通じて消費者に届け、大阪の豊かな食文化を支える。そんなふうに、生産者、消費者、社会(食文化)に貢献する「三方よし」の考え方が大切な仕事です。

今ある市場の仕組みは、いわば先人のバイヤーや仲卸さんが築いてきた知識と経験、人と人のつながりの集大成。その流れに飛び込み、過去の知識とネットワークのバトンを受け取って次に渡していく仕事は、ダイナミックでやりがいのあるものだと思います。

まさに今バトンを持って走っているバイヤー・営業担当のふたりにも、今の仕事について話を聞いてみました。

いろんな方々に支えられながらお仕事です。

いろんな方々に支えられながらお仕事です。

若い方も活躍ができる環境です。

若い方も活躍ができる環境です。

値決めするおもしろさ、アットホームな人間関係が市場の仕事の醍醐味

「子どもの頃にテレビで築地市場が紹介されているのを見て『市場で働くのって楽しそうだな』と憧れを抱きました。なので、今は夢が叶っているということですね(笑)

鮮魚のバイヤー・営業の仕事のおもしろさは、なんといっても自分で値決めすること。仲卸さんのニーズに応える旬の魚や希少な魚を探して産地から仕入れ、価格を決めてきれいに売り切れると達成感があります(鮮魚担当・長嶋)」

鮮魚担当の長嶋は、市場で働き始めて約20年。天気予報をチェックして「この天気ならこれを仕入れておこう」「今日はこれが売れそうだな」と予測を立て、それが当たったとき、しっかりニーズに応えられた喜びを感じるとのことです。

「セリの値段を見たり仲買さんの話を聞いたりして、現場での会話の中で適正価格やニーズを肌で感じるのが一番の勉強だと思います。経験を積み、漁師さんや仲買さんから『この人に任せておけば大丈夫』と信頼してもらえるのはとても嬉しいですよ(鮮魚担当・長嶋)」

バイヤーが勤務する時間帯は、出勤時間によって違いはあるものの、だいたい深夜0時から休憩をはさんで朝10時の間です。昼夜逆転の生活には向き不向きもあり、もちろん大変なところも。

18歳でバイヤーの仕事に就いた冷凍品担当の山田は、一度退職してふたたび市場に戻ってきたという経歴の持ち主です。

「高校卒業後に田舎から出てきて、木津市場で働き始めました。でも、20歳で一度辞めているんです。当時は若くて遊びたい盛りだったので、夜に仕事をするのが嫌になって(笑)10年ほどほかの仕事をしてから、また市場に戻ってきました。今では、他の人が働いている平日の日中に出かけられるのが良いなあと、夜勤のメリットも感じられるようになりました(冷凍品担当・山田)」

一般的な会社員とは大きく異なる市場の時間軸。真夜中の活気を体感できる非日常感も、この仕事の醍醐味のひとつなのかもしれません。

戻ってきた大きな理由は「人間関係のよさ」だとか。

「市場の人間関係が良いことが、戻ろうと思った一番の理由でした。仲卸さんも、仕入れ先の商社の方も、みんな可愛がってくれたり面倒を見てくれたりするし、食事に連れて行ってくれたりもする。そういう家族に近いような人間関係が、自分には合っていたんです(冷凍品担当・山田)」

価格相場を見ながら、商社や産地から冷凍の魚を仕入れ、運送の手配をして仲卸に販売する。その一連の流れは、先輩や仕事で関わる人たちに教わりながら身に付けていきます。

毎日コミュニケーションを取ることで信頼関係が生まれ、一般的な「取引先」の距離感とはまた違う、アットホームな関係性を築けるようになるのです。

「冷凍品の仕事って、営業職に近いと思うんです。鮮魚と違うのは、いわばどこでも買えるものを『山田だから頼みたい』と思ってもらえるような付加価値を心がけること。魚が好きでなくとも、魚の知識がなくても、人とコミュニケーションを取ることが好きな人なら楽しめる仕事だと思います(冷凍品担当・山田)」

人とコミュニケーションを取ること好きな方、お待ちしてます。

人とコミュニケーションを取ること好きな方、お待ちしてます。

産地の状況と仲卸のニーズを聞いて、バイヤーが値決めをします。

産地の状況と仲卸のニーズを聞いて、バイヤーが値決めをします。

市場の知識・ネットワークのバトンを次の世代へ

バイヤー・営業の仕事について、少しはお伝えできたでしょうか。

「魚の知識が必要なのかな?」「専門的な勉強をしていない人でないと難しいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありませんし、経歴・年齢も問いません。

仲卸のニーズを聞き、それに合う食材を生産者から探してきて仕入れ、お互いが満足できる価格で販売するという仲介役。

いわば昔から続く「食のマッチングサービス」とも呼べる市場の仕事は、都心に住みながら一次産業を応援したい気持ちのある方、人とコミュニケーションをとるのが好きな方、人と人をつなぐことに喜びを感じる方にとっては、おもしろく学びのある仕事なのではないかと思っています。

今はまさに、これまで市場で培われてきた知識・ネットワークのバトンを次の世代に渡すタイミング。

少しでも興味を持ってくださった方と、まずは気軽にお話ができたら嬉しいです!

※大阪の都心のイチバで働く〈前編〉魚食文化を未来に継承し、新たなつながりを生む仕事※
https://smout.jp/plans/17190
も、ぜひご覧ください!

株式会社グルメ杵屋
プロジェクトの経過レポート
2024/08/03

海のこと、魚のこと、生産地のことが詳しくなるシゴト

20501

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大阪市
大阪木津市場カンパニー採用担当が紹介する大阪市ってこんなところ!

<都心のイチバ、大阪木津卸売市場の界隈ってこんなところ!>
江戸時代には「天下の台所」と呼ばれ、今も“食い倒れのまち”として食文化の発信地として重要な役割を担っている大阪。

イチバから徒歩圏の難波・道頓堀エリアは古くから個性的な飲食店が立ち並ぶ繁華街ですが、近年はインバウンドの来訪で更なる賑わいをみせています。

また、アニメやマンガなどポップカルチャーの聖地 日本橋エリアも散歩する距離感。イチバから道路を挟んで東側には著名な大型ライブハウスもあります。

<木津市場へのアクセス>
都心にあるため交通至便で、大阪メトロ御堂筋線・四ツ橋線なんば駅から一駅の大国町駅から徒歩3分。従業員用の駐車場もあり、自動車通勤も可能です。

民間の地方卸売市場では日本最大級の規模を誇る大阪木津卸売市場。

「商人の街」のイメージそのままの活気ある難波エリアに隣接し、水産・青果の生鮮品、加工品や関連商材の仲卸が約130店集まっています。

そんな木津市場から、産地や仲卸さんとのネットワークと信頼関係を活かして、大阪の食文化を盛り上げていきたいと思っています!

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