
【前編】紀州備長炭の製炭会社が、大自然とともにはたらく製炭職人を募集しています。
公開日:2025/03/09 23:06
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2025/03/23「興味ある」が押されました!
2025/03/23大自然に囲まれた東紀州地域で、紀州備長炭の製炭職人を募集しています!
多くの漁師町を有しながらも総面積の90%が山林であり、豊かな自然をもつ三重県北牟婁郡紀北町。その矢口浦という集落で活動する『大自然本舗 えむてぃ』は、本場和歌山県のお墨付きを得て、三重県のウバメガシを原料とした最高品質の紀州備長炭を作っています。
代表の津村さんは30年以上のキャリアを持つ製炭職人。津村さんの作る最高級の備長炭は、国内外から注文が入るほど人気です。 一方で需要は増加しているものの最近では人手不足も相まって供給が追い付いていないという現状があり、『大自然本舗 えむてぃ』では従業員を募集しています。
製炭職人の仕事/「職人」として生きる
強く安定した火力や火持ちの良さが特徴の紀州備長炭。 土窯で3日間かけて火を焚き、炭化温度に達したら1週間高温で蒸し焼きにして、炭化が終われば丸一日かけて徐々に空気を送り込む。熱風と火の粉が舞い上がる中窯出しの作業をして、取り出した真っ赤な炭材をゆっくり冷却する。こうしてきめ細かく良質な炭が出来上がります。
私たちが取材に伺った日はちょうど窯出しの作業中。津村代表の後継者・津村衛さんが作業場を案内してくれました。 12月だというのにとても熱い!作業の様子を少し離れて見学させていただきましたが、取り出した炭から火の粉があがり、窯からはずっと熱気が噴き出します。 職人の方々にお聞きすると、やはり窯だしの作業が一番きついようです。夏場はとくに大変で、大量の汗で服までびっしょりで帰宅するそう。
少し見学しただけでその過酷さに圧倒されてしまった私たちに、しかし職人の新井さんは言います。 「でも夏場汗びっしょりになって帰ってきて、ビール飲めば生き返ります。 もう幸せですよ。だからそれが辛いかって言われると…… きついときはきついけど」
きついこととつらいことはイコールではない。 体力勝負で大変な作業の多い炭焼きの仕事ですが、仕事を「つらい」と思わずに働くことができるのはとても素敵なことのように思います。
とはいえ大変な仕事には変わりありませんよね。なぜ過酷な仕事である炭焼き職人になることを選んだのでしょうか。 その理由について聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「使命っていうんですかね」
昔は薪や炭を使い、人々は山の木を利用して生活していました。やがて燃料の主役はガスにとって代わられ、自然林の木を切ることは少なくなりました。しかし放置された木が次第に太くなっていくと、ナラ枯れという現象が起きるそうです。 ナラ枯れとはカシノナガキクイムシという虫が木に住み着くことで起きる現象で、現在全国的に問題になっています。この虫が入った木は次第に腐って枯れてしまいます。またカシノナガキクイムシは増殖のスピードが速く、周りの木に伝染病のように広がってしまうそう。
しかしウバメガシという木は生命力が強く、伐採されたあとその切り株からすぐに芽が出て、30年ほどで再び大きくなります。 新井さんは人がその成長速度にあわせて定期的に木を切ることで、森林資源を循環させながら得ることができ、森林の保全にもつながると言います。
「(炭づくりのために)半永久的に、周期的に切ってあげれば、森林も若く健康に保ちながらこういう燃料を利用できる。」
製炭職人という仕事は、連綿と受け継がれてきた自然と調和した生き方をいまだ体現するものなのかもしれません。
一方で特殊な製炭職人という仕事であっても、会社として現代の価値観に沿った働き方を提供したい、というのが大自然本舗えむてぃさんの想いです。
職人の正社員登用や社会保険の加入など、雇用条件の見直しを図っており、ハローワークにも求人票を掲載中。また炭焼きの工程上夜勤が不可欠な場合もありますが、その他のルーティンは原則8:00~17:00の勤務で、週休二日制の確立を目指しています。
「炭を使ってくれる消費者も大事だが、作り手のことも考えていかなければ製炭という仕事の継承は難しい」と衛さんは私たちに話してくれました。
ワークライフバランスを意識した会社の仕組みづくりをすすめることが紀州備長炭とその製造技術、ひいては森林とともに暮らしを営む、そんな人の在り方をつないでいくための第一歩なのではないでしょうか。


このプロジェクトの地域

尾鷲市
人口 1.40万人

尾鷲市定住移住コンシェルジュが紹介する尾鷲市ってこんなところ!
三重県南部・太平洋を望む沿岸地域に位置し、温暖多雨な気候と黒潮によって古くから漁業、林業で栄えてきた尾鷲市。世界遺産・熊野古道伊勢路が通い、全国有数の降水量を誇る『雨の町』としても有名です。 近年火力発電所の撤退に伴って大幅に人口減少が進み、過疎化の最先端に立つ地方都市として、地方創生のための様々な取り組みを行っています。
このプロジェクトの作成者
「尾鷲に新しい人の流れをつくる」をミッションとして、尾鷲市内にある築90年の古民家を活用した事務所『おわせ暮らしサポートセンター』を構えて活動中。尾鷲での定住や、地方での豊かな暮らしを求めて尾鷲への移住を目指す人に向けた、空き家バンク・仕事バンク・移住体験住宅などの多彩な定住移住サポート業務を行っています。