
伝統行事が途絶えた!その時、
公開日:2025/05/08 06:15
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2025/05/15「興味ある」が押されました!
2025/05/12全国的に抱える問題、少子高齢化。その影響もあり、地域の文化や伝統、行事などが維持、存続が困難になっていると思います。 高知県、黒潮町ももちろん同じ問題に直面しており、たくさんの行事や文化が受け継がれることなく静かに消えつつあります。
黒潮町、上川口浦という地区に古くからあるお祭り「白石大祭」もそのひとつです。 小さな港町にある水戸神社の漁祈祷。元々は地元の漁師たちだけで漁の安全祈願や豊漁を祈り、お神輿を担ぎ、お祝いの歌をうたい、宴会をする奉祭です。この祭りを皆は「白石さん」と呼んでいます。 昔むかしは漁師だけで行われていたお祭りですが、50年以上前、人手不足もあり、漁師だけでなく地区住民全体が参加するようになり、徐々に地区の枠を超え、地域の保育所や小学校も加わり、子どもからお年寄りまで参加し、本祭だけでなく前夜祭も始まりました。出店やステージ、打ち上げ花火など、どんどん大きなお祭りになっていったのです。
しかし、人手不足は深刻で「続けて行くのは難しい。」「最後に盛大にやって終わろうか」などの話が出はじめたちょうどその頃、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい黒潮町もロックダウンしました。
子どもの頃、楽しかったお祭りの記憶
ある日、地元の仲間との飲み会に参加した森田さん(38)は、ふと「最近、白石さんやってないよね?」と呟いた。 近くにいた友人が「楽しい祭りだったよなー」と 「子どもの時、家から見える花火が最高だった」「その日だけ夜遊び許されてた」「自分の子どもたちにも見せてやりたい」「また港からあがる花火みたい」「また船乗りたい」 周りにいた友人たちが次々と「白石さん」の思い出を話はじめた。その場にいた、移住して来た仲間も「えー!そんなお祭りあったのー?」「何で今はやってないの??」と興味津々。
その飲み会がきっかけで森田さんの中でなぜやらなくなったのか、復活出来ないのか?という思いがどんどん強くなり、森田さんは「白石さん」を開催、運営を行っていた地区の区長、林区長を訪ねた。 林区長から「コロナがきっかけで開催出来ていなかったが、そもそも潮時で費用や人手不足の問題などが長くあり、開催が難しくなってきていた事。コロナの期間中にも地区の市場や漁協も閉まり、さらに追い打ちをかけている」と話してくれた。
地元で消防団に入っていた森田さんはすぐに仲間を集めて「俺たちで何とか出来ないか?青年団や小学校に呼びかけよう!自分の子どもたちに伝えたい、残したい」と動き始めたのだ。
子ども会や消防団、様々の機関に呼びかけ協力者を集い「白石さん」をよく知る、70代、80代の先輩方からノウハウを学び、そして一緒に参加、協力してもらって復活を目指した。
そして、2024年9月、5年ぶりに「白石大祭」復活!!! 前夜祭には町内外からたくさんのお客さんが来てくれ、出店やゲーム、ステージや打ち上げ花火を楽しんだ。本祭当日も神職の漁祈祷、大人神輿や子ども神輿が地区を練り歩きいつも静かな通りには人が溢れ、祭りは大盛り上がり、大成功となった。


これからのこと
林区長(58)はお祭り後「繋がった」と呟いた。 区長自身も自分の記憶がない程、幼いころからあったお祭りが自分たちの世代から若い世代に受け継がれた事に安堵した。
区長は祭りだけではなく他にも若い世代に伝えて行きたい事はたくさんある。 例えば、漁師たちが結婚式やお祭りなどのお祝いの時に歌う「舟歌」(黒潮町の無形文化財)もそのひとつ。 先日、キャリア教育の一環とし「舟歌」を子どもたちに伝えて欲しいと地元の小学校から依頼があり区長は授業を行った。 男だけの祭りや行事ではなく、女性や子どもたちにも地区の行事や集まりに楽しんで積極的に参加してもらえるように工夫していきたいと語った。
森田さんはとりあえずお祭りは復活出来たが、先輩たちから学ぶ文化や伝統がまだまだたくさんあるはずと思っている。


このプロジェクトの地域

黒潮町
人口 0.90万人

黒潮町 企画調整室が紹介する黒潮町ってこんなところ!
高知県西南に位置し、長い海岸線と緑の山々、自然ゆたかなまち・黒潮町。 気候は、年間平均気温17度、降雨量2800mm前後。海と山が映える快晴の空、時には激しく降り注ぐ恵みの雨、虹。”南国”らしいお天気が多いですが、年に数回は雪が降るなど、四季の巡りも楽しめます。 その自然や気候を生かした農業、漁業が盛んなので、お米、野菜、きのこ、果物、カツオ、しらすなど、四季を通して美味しい食材がすぐ近くにあります。さらにサトウキビから作る黒砂糖、太陽と風の力で作る天日塩、豊富な酢みかん、水産会社が作る魚醤、たくさんの味噌名人と天然の基本調味用「さしすせそ」が町でそろうなど、食のゆたかさは自慢です。 そんな、目の前にあるモノ・コトが作品(大切なもの)という考え方で、「あるものを生かす」「暮らしを楽しむ」ことが得意な人、「こうだったらいいな」をカタチにする人がたくさんいます。みんなに共通するのは、「ここが好き」という気持ち。 町民に愛されるまち・黒潮町では、2023年より新しいテーマを掲げています。 「空想(もうそう)をカタチにする町」 素直な空想から、「え?」とみんなが驚く妄想まで。 あなたの「こうだったらいいな」も、この町でカタチにしてみませんか? まちを愛する町民の暮らしを紹介しています↓ WEBマガジンうみべのくらし https://umibenokurashi.jp/ 黒潮町公式HP https://www.town.kuroshio.lg.jp
このプロジェクトの作成者
黒潮町への移住・定住に関する総合窓口として、webを中心とした情報提供や、電話・メール・オンラインなど、多様な形態でご相談をお受けします。