
大阪から本土最南端の田舎町へ!銀行跡地をリノベーションした「接点デザイナー」の挑戦とは?
公開日:2026/03/04 07:11
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2026/03/04地域には、クリエイターの力が求められています。
たとえば、農業分野。農家は「作物を作るプロ」ではあり、質の高い農産物は地域にあふれています。ですが、さらなる販路拡大を目指そうと思うと、そこにはコピーライティングや、画像などのビジュアルイメージによる「価値観の統一」が必要になります。
たとえば、地域づくりに関わるような新しい企画を立ち上げるとき。モヤモヤとした思いを形にするには、課題を整理し、アプローチする切り口を明確化し、それを理念に落とし込む必要があります。具体的な動きにつなげるまでに、力尽きてしまう方も多いのではないでしょうか。
そんなときこそ、「クリエイター」の出番です。課題を整理し、価値観を明確化し、具体的な形に落とし込む。そうすることで、地域に眠るモノ・コトに新たな光が差し込み、活発に動き始めるのです。クリエイター的な力は、都市部だけでなく、人口の少ない地域にこそ求められています。
さて、人口減少が鹿児島県でトップレベルに進んでいる南大隅町ですが、昨年から新たな活動が展開されています。2025年の10月から、南大隅町に移住してきたデザイナー・平山健宣(ひらやま・やすのり)さんによるレンタルスペース、「setten place」の運営が始まったのです。
平山さんはどのような経緯で南大隅に移住し、これからどんな活動を展開しようとしているのでしょうか?クリエイターが新たなライフスタイルに向けて踏み出し、地域で生きていくための事例をご紹介します。
大都市・大阪でのデザイナー生活から、新たな一歩
平山さんは、2026年3月現在で44歳。生まれも育ちも大阪で、20代前半から現在に至るまで、デザイナーとして仕事をしてきました。
デザイン事務所に入社して経験を積みながら、文字に関するデザイン技術である「タイポグラフィ」を学び、以降は独立して「setten design株式会社」を立ち上げます。
setten designでは、グラフィックデザインの枠を超えて、様々な仕事を手掛けてきました。
参加者2000人を集めることに挑戦した音楽イベントの企画運営、写真家のマネジメント、文字に関連したアクセサリーブランドの企画立案 ……。さまざまな仕事の現場に飛び込むなかで、「デザイン」の持つ可能性に向き合った平山さん。 「人と人、人とモノ、人と空間……。ものごとのつながりの生起に幅広く携わりたいと思い、『接点デザイナー』と名乗るようになったんです」と、笑顔で語ります。
※平山さんの関わったお仕事の詳細は、公式サイトからどうぞ! http://settendesign.com/
そんな平山さんに転機が訪れたのは、2021年のコロナ禍でした。 「それまでも漠然と、『自分はずっと都市部で仕事をしていくのかな……』とは考えていました。大阪での仕事のやり方に捉われず、デザイナーとして、新たな分野や働き方にも挑戦してみたいと思っていたんです」と平山さんは当時を振り返ります。
そんな中、知人に紹介されたのが、「みなみおおすみオンライン移住体験ツアー」。 紅茶・焼酎など南大隅町の特産品が事前に送られてきて、それらを味わいながら地域の方々のお話を聞くというオンラインイベントでした。 https://turns.jp/44889
特産品の中に同梱されていたのが、海をバックにエミューと向き合う男性が映った、1冊のフリーペーパー。 「『かぜつち』という冊子で、『地域の人の魅力を再発見!!』というテーマで、地域のディープな魅力を紹介する冊子でした。熱量は素晴らしく、やっていることも面白かったのですが、デザイナーの手によって作られた冊子でないのは一目瞭然でした。これなら、僕でもデザインでお手伝いできるんじゃないかと思ったんです」と、平山さんは話します。
オンラインイベントに地元側のコーディネーターとして参加し、『かぜつち』のカメラマンも務めていた山下大裕(やました・だいすけ)さんに連絡したところ、「デザイナーの方に協力してもらえるなんて、渡りに船ですよ!」と歓迎を受けます。実際にデザインに携わることになり、挨拶も兼ねて南大隅町に訪れることになりました。


デザインを通した、地域との接点づくり
実際に南大隅町を訪れた平山さんは、「オープンな雰囲気がすごかった」と当時を振り返ります。 フリーペーパーの編集長・大杉(本記事の筆者でもあります)、カメラマンの山下さん、フリーペーパープロジェクトの母体であるNPOの代表・梅木涼子(うめき・りょうこ)さんなど、地域住民のもとに泊まりながら交流しました。
これをきっかけに、平山さんについて知った地元住民から、さまざまな仕事の依頼が舞い込みます。
「地元産の豚肉ブランドの商品紹介リーフレット、地元農家である『富田バラ園』の、ロゴデザインをはじめとする名刺・シール・ジャケットなどのリブランディングなど、幅広くデザイン業務を担当させていただきました。当時はちょうど、南大隅に移住してきたばかりのHP制作ディレクターの方がいて、その方と連携できたのも大きかったですね。」と平山さんは笑顔で話します。
仕事を通して南大隅町に来訪する機会も増え、楽しい時間を過ごしました。
こうして、3〜4年間にわたって南大隅町に関わってきた平山さん。年に1〜2回は南大隅町に訪れ、地域住民の方々と交流を深めていました。 「ここまでは特に移住を考えているわけではなかった」と当時を振り返りますが、滞在中のある飲み会の席で、再び転機が訪れます。
「去年閉鎖された鹿児島銀行の跡地、活用されないまま放置されてるよね。地域のみんなが通っていた居酒屋さんも、最近閉店になっちゃった。銀行のカウンター席を、お酒が飲めるスペースにできたら面白いよね!」 滞在を通して仲良くなった梅木涼子さんの家での飲み会で、旦那さんである竜二(りゅうじ)さんが発した何気ないひとこと。飲み会の流れで出てきた与太話で、平山さんは気にも留めていませんでした。
しかし、大阪に帰って落ち着いたタイミングで、だんだんとそのアイデアについて考えるようになりました。
当時は、20代後半から続けてきた、京都芸術大学の非常勤講師としての仕事が15年目を迎えるタイミング。「ありがたいことに15年もやらせてもらったんやな……」という思いと、「あの誰も使いこなせていないスペースで、自分だったら何ができるだろう……?」というワクワク感が、具体的な形として像を結び始めていました。
デザインの仕事は、Macとネット環境さえあれば、大阪でなくてもできる。 ならば、南大隅町で新たな一歩を踏み出すのも悪くないのではないか?
平山さんは、すみずみ!の移住コーディネーターでもある梅木さんに、「南大隅に、事務所の移転を考えている」という旨のメールを送りました。返事の電話は一瞬でやってきました。
こうして、平山さんの新たなステップが始まりました。


setten placeの機能と、平山さんのこれから
銀行跡地活用のコンセプトは「都会のひとが、田舎に憧れを持てる場所」と、平山さんは語ります。 「南大隅町の若者は、都市部に働きに出るケースが大半で、町内では少子高齢化が進んでいます。都会の住民⇄田舎の住人がそれぞれの『暮らしのよさ』を再認識し、若い世代が南大隅の暮らしに憧れるような場があれば……、と思ったんです。」 地域住民や役場の方々の協力を得て、企画立案・許認可取得・改修を進めていきました。
約2ヶ月の施工期間を終えて、2025年10月1日、ついにsetten placeがオープンしました! setten placeの具体的な機能は、以下の通りです。
========= ①コワーキングスペース ・地域住民もそうでない方も、気軽に利用できるワークスペース ・イベント・セミナーなどの貸切利用も可能 ・コーヒーマシン完備で、飲食も可能 ※主な設備:高速Wi-Fi、プリンター、電源、150インチスクリーン、プロジェクター
②カフェ&ダイニング ・利用者に場を解放し、飲食サービスを提供・利用可能 →実施時はInstagramやLINE公式アカウントにて告知 ※使用例 ・宴会:歓送迎会や地域の集まりなど(飲食物持ち込み可) ・イベント:ワークショップ・マルシェ・音楽イベントなど ・間借り:自分のやってみたいお店を低コストで試せる場
③レストスペース(準備中) ・元々金庫だったスペースを改装 ・半個室ブースで、集中した作業や休憩をとることが可能 ・共用ラウンジでは、地域住民や他の滞在者との交流も楽しめる =========
2026年3月現在、平山さんはデザイナーとしての業務を行いながら、setten placeの運営を行っています。実際に暮らしてみて感じる南大隅の魅力は、「貨幣経済ではない経済が存在しているところ」。
「setten placeの運営にあたって、お皿は全て地域住民の方々に寄付していただきました。こんなに集まるとは全く予想していなかったのですが、『地域で頑張る人を応援したい』ということなんですかね。『どうせ処分するなら、金銭的な得よりも誰かを応援することに使いたい』というメッセージなのかもしれません」と平山さんは笑顔で話します。
setten placeではこれから、積極的にいろんな企画をやっていきたいとのこと。
「コワーキングスペースを活用してくれている中高生が数名いるのですが、彼らの同級生にも『勉強って楽しいかも!』と思ってもらえるような企画を考えています。施設の中に立ち飲み屋さんが出現する企画や、南大隅町だからこそできるアートフェスの開催など、僕の中ではたくさんのイメージが浮かんでいます。地域でやりたいことがある人は、ぜひアイデアの種を話しに来ていただきたいですね」と平山さんは語ります。
クリエイターが移住することは、地域の可能性が大きく増えることにつながります。 地域でやりたいことがある誰かの思いを形にし、これまでにない取り組みや、人とものごとの新たなつながりが生まれる。 これらが連鎖的につながっていくことで、次世代の若者が地域で暮らしたくなるような、ワクワクする未来が見えてくる。
あなたの一歩が、地域の新たな可能性につながります。 興味の湧いた方は、ぜひ南大隅町・setten placeに足を運んでみてください!
======== ★setten placeの最新情報はこちらでどうぞ! 【公式Instagram】 https://www.instagram.com/setten_place


このプロジェクトの地域

南大隅町
人口 0.54万人

一般社団法人 すみずみ!みなみおおすみが紹介する南大隅町ってこんなところ!
鹿児島県南大隅町は、本土最南端の田舎町です。 南国らしい暖かな気候と、海あり山ありの豊かな自然が魅力で、年間を通して様々な農作物が栽培されています。近年は熱帯果樹の栽培が盛んで、パッションフルーツ・パインアップル・アボカドが道の駅の商品棚に並ぶのも日常です。大河ドラマ『西郷どん』のOPにも起用された「雄川の滝」、本土最南端の「佐多岬」もあり、週末には多くのツーリストが訪れます。
海沿いの町では漁業や釣りをされている方も多いです。春先に獲れるキビナゴの刺身は絶品で、鹿児島の甘い醤油と食べると目を見開くほど美味しいです!地域に暮らしていると、獲れすぎたクロダイ・カサゴ・アジなどをいただくこともあります。
しかしなんと言っても、一番の魅力は人のあたたかさです。こればっかりは来ていただいて、地域の方々と交流してみて初めてわかる部分かと思います。まずは気軽に遊びに来てください!
このプロジェクトの作成者
・移住相談(お家のこと・職のこと・コミュニティ) ・お試し住宅のご案内 ・移住体験プログラムの企画 ・地域とつながるイベントの実施 鹿児島県南大隅町の移住相談窓口です。 自らも移住者である「移住コーディネーター」を中心に、ご希望に応じた物件探しのサポートや、地域とつながるイベント・企画を実施しています。 九州 本土最南端のまちで、皆さまをお待ちしております!
◆HPもぜひご覧ください! https://bronze-minamiosumi.com

















