
「どんな自分も受け入れてくれる大人がいたら」元アナウンサーが沖縄の高校で人生を変える
公開日:2026/03/09 07:41
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2026/03/10沖縄県本部町、伊江島との玄関口である本部港、瀬底島や美ら海水族館などを抱えている青い海と豊かな自然に囲まれた町。大正時代にカツオ漁で栄えた町も、現在は高齢化と過疎化が社会課題となっています。そんな本部町で、子ども達の希望進路への支援と、地域資源を活かした学び、この2つを通して地域の活力を高める「教育魅力化」のプロジェクトに携わる地域おこし協力隊の田辺由香里さんに、これまでの活動について語ってもらいました。
アナウンサーから製造業、そして地域おこし協力隊へ
三重県出身の田辺さん、元々メディア業界に興味があり、アナウンサーとしてキャリアを積んできました。大学卒業後に愛知県のラジオ局でラジオリポーターとしてスタートし、その後名古屋のテレビ局でアナウンサーとして活躍しました。
そして、沖縄のテレビ局リポーターへと転身します。離島取材を中心に、企画から撮影、原稿執筆、出演まで全てを担当していました。2年間の沖縄生活を経て結婚のため三重に戻り、夫の実家である鉄工所を継ぐことに。製造業という新たな業種で奮闘の日々を送るも、様々な要因が重なり数年で会社を畳むことになりました。
「会社を畳むとき、ちょうど人生を考えていました。以前に沖縄に暮らしていた時のことを“とっても楽しかったなぁ”と思い返したり・・・。実は、私より前に旦那が本部町の地域おこし協力隊員として活動していたんです。それで、本部高校で広報関連の協力隊を募集することを聞いて、声を掛けいただきました。“広報ならメディアでの経験が活かせる!”とも思い、協力隊に転身しました」


この子たちに囲まれて人生を終えたい
2023年2月、田辺さんは本部高校の広報担当として地域おこし協力隊に着任しました。当初は広報誌制作やSNS発信が主な活動でした。日々生徒を観察していると、学校生活があまり楽しそうじゃない生徒を見つけます。生徒たちと話す場所の必要性を感じて、放課後に生徒が楽しめる場を作りたいと考えました。そして、着任からわずか2ヶ月後の4月、「夢実現武」というサークルを立ち上げます。「夢実現武」は”高校生が自分と向き合う時間を作る”ということをコンセプトに、高校生が主体的に講演会等に足を運んで話を聞いたり、地域や企業など社会教育の機会を創出しているサークルです。
初期メンバーは女子生徒7名。1年目は信頼関係の構築に注力し、一緒に食事に行ったり、様々な場所へ出かけたりしながら、生徒たちとの絆を深めていきました。2年目からは具体的な活動が本格化します。コミュニティラジオの番組パーソナリティ、地元企業とタイアップした商品開発、イベントでのマルシェ出店、地域行事の司会など、生徒たちは「発信」と「販売」を軸とした成功体験を積み重ねました。第2木曜日17時からのラジオ番組は月1回の生放送で、当初は企画を指導していましたが、現在では生徒たちが自主的に企画を考え、フリートークで進行しています。 活動2年目の終わりには、「マイプロジェクト沖縄地区大会」に出場し、35チームの中で見事優勝を勝ち取ります。大会当日のプレゼンテーションはラジオ番組形式で台本を見ずにフリートークで行い、他の進学校の固いプレゼンとは一線を画す内容でした。
「大会からの帰り道に車の中で、みんなで嬉しくて号泣していたとき、この子たちに囲まれて人生を終えたいと思ったんです」
この優勝が田辺さんにとって大きな転機となり、教育の仕事に深くのめり込んでいきました。3年間で本部高校の進学率にも変化が見られ、大学・短大進学率は従来1割程度でしたが、夢実現武の3年生10名のうち約半数が進学を決めるなど、目に見える成果も表れています。マイプロジェクトとは、高校生が自分自身の実現したいこと・ 変えたいことをテーマにプロジェクトを立ち上げ、正解のない問題に向き合い、実際にアクションをすることを通じて学いでいく企画です。


教育で心に火を灯す
地域おこし協力隊の任期満了を前に、田辺さんは一般社団法人chakkaを設立しました。協力隊1年目から複数の起業家育成プログラム等に参加し、起業の準備を進めてきました。また、生徒たちの劇的な変化を目の当たりにし、「もっと多くの生徒にこの経験を提供したい」という思いが起業の原動力となったといいます。事業を通して“熱い思いを持った大人”と生徒を繋げることを大切にしながら、教育や広報等の事業を主軸に企業・地域連携型の人材育成と地域活性化事業を展開する予定です。
「正直自分の学生時代は、全然楽しめなかったんです。誰も認めてくれなかったというか。自分が学生の時に、どんな自分も受け入れてくれて、"いいんじゃん、それ"って言ってくれる大人が1人でもいたら、全く違う人生だったと思うんです。だから、そういう存在になりたい」
自身の学生時代の原体験から、学生の「繋がり」と「挑戦」を事業の2本柱に据えています。教育をビジネスとして成立させ、将来的には自分の組織に卒業生を雇用できる、人材の循環と地域の活性化を目指しています。田辺さんの熱い想いに着火された生徒たち。これからも、生徒たちの心の火を灯す存在として本部町から教育を盛り上げていきます。
写真提供:田辺由香里 取材日:2026/01/16(外山)


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人口 146.82万人

おきなわ島ぐらしが紹介する沖縄県全体ってこんなところ!
エメラルドブルーの海に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる沖縄。那覇の街歩きや国際通りのにぎわいもあれば、少し足を延ばすと集落の古民家や赤瓦屋根が残り、地域ごとの暮らしの営みが息づいています。島ごとに異なる伝統芸能や食文化が受け継がれ、祭りや行事を通して地域の人とのつながりを感じられるのも魅力です。観光地として知られる一方で、日常には市場での買い物や浜辺の散歩、庭先での交流など、温かな人との触れ合いが広がっています。都会の便利さと島ならではの自然、そして多様な文化が共存する沖縄は、暮らす人にとっても発見と喜びにあふれた場所です。
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このプロジェクトの作成者
沖縄移住に向けた情報発信 沖縄県では、沖縄県移住応援サイト「おきなわ島ぐらし」において、沖縄移住・沖縄暮らしの「今」を発信しています。移住相談会や移住体験ツアーなどの開催案内をはじめ、『住む』『働く』『支援』『子育て』『医療』5つのカテゴリー別に支援機関などの紹介を行っているほか、市町村の生活環境や移住定住に活用できる支援制度の情報など、沖縄移住の情報収集に役立つ情報を掲載しています。

















