パン屋さんが地域住民の集う場をつくるわけ
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公開日:2024/08/30
終了日:2025/03/31

パン屋さんが地域住民の集う場をつくるわけ

「BAKERY dry river」「dry river 2ND」のオーナーである干川弦(以下|干川さん)さんにSMOUTライター三輪(以下|三輪)がお話をお聞きしました。

大津駅近辺にて1店舗目のパン屋「BAKERY dry river」をオープンした後、2年前に「dry river 2ND」を比良近辺にオープンしました。「dry river 2ND」のあるオルタナティブ公民館「打明」には、パン屋だけでなく、古道具や雑貨用品など様々な商品が販売されています。また、音楽イベントなども定期的に開催されており、地域内外の人々が集う場となっています。今回は、あまり聞き馴染みのない、オルタナティブ公民館「打明」がどのような経緯で作られ、どのような場所なのかをインタビューしていきます。

干川さんのやっていること/移住の経緯について

―――三輪:干川さんの簡単な自己紹介をお願いします。
干川さん:京都出身で、5年前に大津市の比良に移住しました。生業でパン屋をやっています。元々父がパン屋を開業していたのですが、父は自然食品を扱う仕事を前職でやっていたこともあり、イースト菌を用いず国産小麦を使った天然酵母のパンを作っていました。父は結構昔からサステナブルな社会を志していたのだと思います。父の影響もあって、僕もパン屋になりたいと思って、父の店に弟子入りをし、大津駅近くに店舗を出しました。それが「BAKERY dry river」です。
その後5年前に比良に移住し、2年前にはオルタナティブ公民館「打明」を比良でオープンしました。

―――三輪:京都市から大津に移住された経緯はどのようなものだったのですか?
干川さん:「BAKERY dry river」をオープンした際にマンションに住んでいたんですが、5年前に比良に移住しました。自分の中で理想の家があって、広い敷地を確保できる場所を探していました。そんなこともあって、大津北部エリアを中心に物件探しをしていたのですが、国道161号のバイパス道路の比良ランプを降りた時に見える琵琶湖や、その周辺の景色に一目惚れして、ここの地域にしようって決めました。

―――三輪:僕も比良は大津の中でも琵琶湖も綺麗ですし、広葉樹の森林も多いように感じます。干川さんは、具体的に比良のどこに魅力を感じたのか教えて欲しいです。
干川さん:比良周辺はどこも綺麗で、琵琶湖や比良山系を含めた自然の風景がとても好きですね。
あと、この地域に住んでる人と知り合っていくなかで、食をできる限り自給する為の農的生活をしている人も多くて、周りに住んでいる人たちにも魅力を感じていきました。湖岸沿いのビーチを清掃する活動をしている友人もいて、一緒に活動したりしています。最近は農地を借りて小麦まで育てたりして、比良の自然に触れることが多くなってきています。

オルタナティブ公民館「打明」について

―――三輪:オルタナティブ公民館「打明」を始めようと思ったきっかけはありますか?
干川さん:この地域に大きい建物で色々やれる場所があったら面白いかなと思って始めました。

―――三輪:オルタナティブ公民館って聞き馴染みのない単語ですよね。どのようなコンセプトでいきついた言葉なのですか?
干川さん:最初色々な人たちで集まって、この場をどのような場所にするか話し合いました。公民館なのか道の駅なのかライブハウスなど色々アイデアが出たんですが、この場所は、地域に開かれていて、既存の枠組みを超えた新しい感覚の場所にできたら良いなという結論に至りました。公民館のような地域住民の憩いの場でありながら、外に開かれた場所にしたいなという感じですね。
お祭りやライブ、映画の上映をしたり、災害時の非常事態には避難場所や食料の備蓄倉庫として機能したりすると、地域住民の居場所でありながら便利な場所になるかなと思っています。

―――三輪:今後、干川さんが「打明」をもっとこうしていきたいなどの想いがあれば教えてください。
干川さん:この場所には誰でも来て欲しいなっていう想いがあって、なのでここに集まるコミュニティが固まってしまうのは良くないかなと思っています。コミュニティが固まってしまうと、入りずらさを感じてしまう人もいるかもしれないので。イベントもやるのですが、普段はここでパンを販売したりして、買い物をする感覚で色々な人がこの場に訪れることができるようにしています。
これからは、飲食店や雑貨屋さんなど様々な業種のお店に入ってもらったりして、たくさんの人が「打明」に出入りしてくれるようにしていきたいです。

オルタナティブ公民館「打明」

オルタナティブ公民館「打明」

お客さんが店の前で談笑している様子

お客さんが店の前で談笑している様子

インタビューを終えて

比良地域に一目惚れした移住した干川さん。地域の枠組みを超え、地域内外の人々の居場所となるように開かれたオルタナティブ公民館「打明」は、「ハレ」と「ケ」の両面を持ち合わせることで、様々な地域住民が出入りできるような工夫が垣間見えました。これから比良地域において「打明」が1つの居場所となり、様々な役割を持つ場所となっていくのではないかと思います。

取材:SMOUTライター三輪 、文責:大津市企画調整課
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