地元素材を使った道の駅オリジナルクラフトビール開発秘話!
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公開日:2024/09/02
終了日:2025/03/31

地元素材を使った道の駅オリジナルクラフトビール開発秘話!

農林漁業者(1次産業)、食品加工業者(2次産業)、流通・販売業者(3次産業)が手を組み、農山漁村をはじめとする地域の経済を豊かにしていこうとする「地域内6次産業化」。
こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会事務局の道の駅せせらぎの里こうら(以下、「道の駅こうら」)では、この「地域内6次産業化」に取り組んでいます。道の駅と生産者・事業者が連携したこういった取り組みは、どの様に進められているのでしょうか。
今回は、滋賀県甲良町を舞台に進められた道の駅オリジナルクラフトビールの開発・製造・販売プロジェクトについて、株式会社彦根麦酒(ヒコネビール)の小島なぎささん(醸造責任者)、豊村美久さん(ブルワー)、そして、道の駅こうらを運営するパシフィックコンサルタンツ株式会社の金織昭人(道の駅せせらぎの里こうら 駅長)、福山聡(飲食&食料品事業企画開発担当)、信夫あゆみ(地域資源活用事業企画開発担当)の5者で対談を行いました。

新商品開発への思いと彦根麦酒との出会い

――道の駅こうらではオリジナルクラフトビールが販売されています。どのような役割分担で、開発・製造・販売に取り組まれたのでしょうか。

金織:道の駅こうらのオリジナルクラフトビールは、「甲良黒豆PALE ALE」「甲良米WEIZEN」「甲良柚子IPA」の3種類を販売しています。黒豆とお米はこうら・ウエルネスツーリズム実行委員会メンバーでもある農事組合法人ファームかなや、柚子は同じく実行委員会メンバーの一般社団法人ゆずのだいどこから、それぞれ甲良産の農産物をご提供いただいています。そして、各ビールのレシピ開発やラベルデザインは当社と株式会社彦根麦酒(以下、「彦根麦酒」)が担当し、製造は彦根麦酒に委託、販促活動や販売は道の駅こうらが担当しています。

――プロジェクトを開始されたきっかけをお聞かせいただけますか。

金織:道の駅こうらの直売所ではオリジナル商品が少ないということが大きな課題で、特産品となる新たな商品を作りたいと思っていました。当社では千葉県睦沢町でも道の駅の運営を行っているのですが、そこで睦沢産のお米を使ったオリジナルクラフトビールを販売したところ大変好評だったんです。そのような経緯から、道の駅こうらでも地元の農産物を活かしたオリジナルクラフトビールを開発しようということになりました。

――数ある醸造所からどのような経緯で彦根麦酒さんにお話を持ちかけられたのでしょうか。

金織:甲良町のある湖東地域の観光地域づくり法人である近江ツーリズムボードから、偶然彦根麦酒をご紹介いただいたんです。彦根麦酒は甲良町の隣町である彦根市の醸造所でしたので、すぐに繋いでいただき、「是非一緒にビールを作りたい」とお話をさせていただきました。

――彦根麦酒にとっては突然のご依頼だったと思います。ご依頼があったときはどのようなお気持ちでしたか?

豊村:このような共同開発やOEM(製造受託)のお話は初めてだったので、小島と二人でざわざわとしていました(笑)
「上手くいくだろうか」という不安は正直なところ感じていましたね。

小島:直感的にはすごく良い取り組みだなと思いました。彦根麦酒荒神山醸造所は2021年5月にオープンした環境配慮型の醸造所で、ビールの原料全てを彦根産で賄う「ALLHIKONE BEER」を目標にしています。副原料として地元の農産物を活用するということは、彦根麦酒としても積極的にやりたいことでしたので、お受けすることになりました。

――副原料はどのように選定されたのでしょうか。

金織:睦沢町のオリジナルクラフトビールプロジェクトの担当者であり飲食業界での経験もある福山が開発担当となり、甲良町の特産品の中からビールに合う副原料として、比較的安定して収穫できる黒豆、お米、柚子を選定しました。

福山:黒豆を選定した理由は、食品ロスを減らすという観点もありました。味や品質には問題が無いのに規格外で売れ残ってしまうB級品を使うことで、SDGsとしての取り組みを行いたいという意図もあったんです。

――これらの農産物は、甲良町の地域団体からご提供があったというお話でした。

信夫:はい、甲良町内の事業者により設立された「こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会」では以前から、「甲良町の特産品開発をしたい」というお話がありました。そこで実行委員会で提案したところ、地域団体の皆さんからすぐにご提供いただけることになったんです。

――彦根麦酒として共同開発・OEMは初めてというお話でしたが、開発製造中はどのようなお気持ちでしたか?

小島:レシピ開発の際、自分とは全く違う発想やアイデアをいただけたのが斬新で面白かったですね。黒豆は私の想定していた黒ビールとは全く違うペールエールをご提案いただいたり、ヴァイツェンについても苦味を出して通常のものとは少し違う味わいになりました。

豊村:香りの出方や味わいについて、上手くご希望に添えるかなというドキドキ感や責任感を感じていました。同時に、とてもワクワクしながらビールづくりを進めていました。スタッフ総動員で副原料の下処理をしたり、とても愛情を注いだビールになりました。完成したビールはすごく美味しく出来上がって、皆さんに喜んでいただけるものになったと自負しています!

彦根麦酒のブルワーの豊村さん

彦根麦酒のブルワーの豊村さん

クラフトビール3種

クラフトビール3種

販売開始後、想定以上の反響が!

――販売開始後の反響はいかがでしょうか?

金織:第一弾の「甲良黒豆PALE ALE」は初月の2022年8月に200本以上が売れ、発売開始直後から道の駅の人気商品になりました。その後に発売した2種類もよく売れていますね。もちろんポスターやSNS等の販促活動の成果もありますが、購入者へのアンケート結果をみると各ビールとも味について高評価をいただいていまして、口コミで広がっているという実感もあります。道の駅こうらは「石窯ピザ」が売りの一つなのですが、ピザを食べながらビールを飲んだ方が、更にお土産として購入してくださるということもありますね。

福山:千葉での成功もそうですが、クラフトビールのブームや、クラフトビール好きの方と道の駅を巡る方の層がマッチしていたということが背景にあると考えています。旅先でしか味わえない食を求めるお客様にとって「道の駅こうらでしか買えないビール」であることも好評な理由のひとつだと思います。

――これからの展開としてはどのようにお考えでしょうか。

金織:甲良町のふるさと納税の返礼品で使っていただくことに向けて調整しています。また、道の駅のECサイトを立ち上げ、そこでもビールの販売をしていきたいと考えています。

――最後に、今回のプロジェクトに関わってきて、それぞれの立場からのご感想をお聞かせいただけますか。

小島:今回のビールの発売後、お客様から「黒豆のビールはありますか?」と問い合わせがあったのですが、その際に道の駅こうらのことをご紹介できました。
地域や関わった事業者が相乗効果で良くなるような仕組みだなと実感しています。全国各地には多くのクラフトビールファンがいますが、このプロジェクトが私たちの地元のことを知ってもらえるきっかけの一つになって欲しいと願っています。

豊村:ありがたいことに新たなOEMのお話もいくつか頂いています。私たちは小規模醸造所なので上手くバランスを取りつつではありますが、特色の一つとして今回のようなプロジェクトにも取り組んでいければいいなと考えています。

信夫:地域の農産物を使った加工品はお土産としてもおすすめしやすく、甲良町の新たな特産品ができ、すごく良かったなと思います。ビール購入者へのアンケートの中で、「ヨーロッパで出逢う地ビールのようで、とてもおいしい」「飲む価値があるおいしさで、このビールに出逢えてよかった」「地域の農業の応援にもなるので、地域の素材を活かしたビールを今後も楽しみにしたい」というような嬉しいお声をいただいているので、今後もそういった商品作りをしていきたいと思います。

金織:地域内6次産業化の取り組みは簡単ではありませんが、今回は関係者がお互いに意見を出し合って本当に良い商品ができ、それが評価されて商品が売れたのだと考えています。甲良町の主力産業は農業ですので、他地域と差別化を図るためにも、これからも新たな6次産業化の取り組みを行っていきたいと思っています。

――このクラフトビールを通した更なる甲良の発展を願っています。ありがとうございました!

※彦根麦酒の商品はすべて発泡酒です。

甲良柚子IPAではゆずのだいどこの柚子を使用しています

甲良柚子IPAではゆずのだいどこの柚子を使用しています

オリジナルクラフトビールは道の駅こうらで購入できます!

オリジナルクラフトビールは道の駅こうらで購入できます!

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甲良町
こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会が紹介する甲良町ってこんなところ!

甲良町は琵琶湖の東側に位置する、彦根から車で20分の小さな町です。鈴鹿山系から流れる清らかな水と自然豊かなで肥沃な土地に恵まれ、古くから美味しい米の産地として知られているまちでもあります。
七郎平邸のある甲良町の北落地区は、集落内に清らかなせせらぎが流れる閑静な地区です。
甲良町には他にも、紅葉の名所で国宝第一号を有する平安時代からの古刹「湖東三山西明寺」のほか、地元食品・ピザ・クレープ・ドッグランが楽しめる「道の駅せせらぎの里こうら」、地元の新鮮食材の栽培から加工、飲食店まで取り組む農家レストラン「おだいどこ野幸」、ゆず園を有しゆずたっぷりの食事が楽しめる「ゆずのだいどこ」、湖東地域の名産品近江牛の歴史や文化を食と共に味わえる「千成亭ぎゅ~じあむ」、大豆の風味豊かなこだわりの出来立て豆腐が楽しめる「一休庵 豆腐工房」といった個性豊かなスポットがあります。

こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会
こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会

こうら・ウエルネスツーリズム実行委員会は、滋賀県甲良町の魅力をより多くの方に発信するべく、甲良町内の事業者が立ち上がり、2021年に設立されました。
株式会社一休庵、農事組合法人ファームかなや、一般社団法人ゆずのだいどこ、道の駅せせらぎの里こうら(代表企業:パシフィックコンサルタンツ株式会社)、株式会社千成亭風土、西明寺で構成されています。

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