「農業女子×元ケアマネージャー」のふたりがつくる、ちょっと一息つける居場所

 地元多賀町出身の神鳥幸さんと、大阪から移住してきた高津直子さんの2人が、滋賀県多賀町敏満寺にある胡宮神社社務所で月1回、木曜日に開催するサロン「暖愛亭」(だんないって)に10月行ってきました。「だんない」とは「大事ない」が訛った方言で、「心配ないよ大丈夫だよ」という意味、心あたたまる漢字を当てています。
 元福祉職員のお2人は、約3年前農業経験ゼロから農薬不使用の有機野菜を作る会社「もんてくーる」を立ち上げ、安心して食べられる野菜作りに奮闘されています。年中休みのない多忙な農業の傍ら、元ケアマネージャーで福祉現場を経験してきたことを活かして、月に一度開催されるサロンが、暖愛亭です。
 胡宮神社のおくどさん(かまど)で炊いたご飯と、自社生産野菜がたっぷり入ったお味噌汁と手作りお惣菜を提供しています。体に優しいご飯をいただきながら、介護の困りごとや、言いにくい心のモヤモヤをしゃべって、同じ境遇の人と共有したり、孤立しないように、ほっと一息つける居場所を作っておられます。

農業も福祉もこれからの時代、大事! 時代の最先端を走るふたり。

 「もんてくーる」は方言で、帰ってくるという意味。農業を始めたころ、買い物難民の家庭などに、収穫したての野菜を届けるサービスをもんてくーるでされていました。 ただ届けるだけでなく、他愛もない会話のやり取りで「孤立しない」を元ケアマネの視点でサポートされていました。もんてくる、帰って来られる居場所作りを、農と食と福祉を掛け合わせて実現されています。
 高齢者など介護認定を受けられた方はデイサービスなど各種サービスを受けられるのですが、その方のご家族は、昼夜問わずご自宅でお世話をしなくてはなりません。家族のためとわかっていても、計り知れないぐらい大変なことで、愚痴が言いたいけれど日常では誰にでも話せるような事ではなく、ストレスがあると思います。
 それは高齢者介護だけではなく、障がいをお持ちの方、病気を患ったことで介護が必要になった方なども同様にです。
 「ちょっと話聞いてくれる⁉︎うちの子な…」という風に、誰かに話を聞いてもらいたい。ちょっと愚痴をこぼしたい、少しの時間でいいから息抜きしたい。そんなちょっとした時間が必要なのです。
 現役時代にそのことを強く感じ、いつか〝お世話をする側″の気持ちにそっと寄り添いたい、そんな想いから活動が始まりました。
 

困りごとを一人で抱え込まないで、ほっこりしに来てほしい

 お2人以外に、現役看護師と計4人で「暖愛亭」をされています。
 現役ケアマネの方々も来られて、その方々にとっても息抜きの場所になっていました。福祉分野に携わっている方々にも是非来て頂きたいです。
 かまどで炊き上げたおにぎりと、もんてくーるさんで作っている美味しいお野菜で使った具沢山お味噌汁等を味わって、茅葺き屋根のある空間で〝ほっこり”を体感しに来て下さい。
 次回は11月21日木曜日11時半から15時で、手打ち多賀そばとふっくらおにぎりが700円で提供されます。

多賀町まちづくりネットワーク・もんてくーる
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多賀町
龍見 茂登子が紹介する多賀町ってこんなところ!

 「保月だいこん、杉にんじん、お多賀ごぼう」と昔から根菜が重宝され、京都に出荷していたと年配の方から聞きます。鈴鹿の山の冷涼な気候と、肥沃な土地に育つ根菜は、風味が良く糖度も高く多賀ブランドは昔から京都錦市場では有名だったようです。保月(ほづき)と杉集落は鈴鹿山系の標高約500~600mほどに位置する集落で、昭和30年代の燃料革命の頃に薪炭の需要が激減、炭焼きをする人が減り、学校が平野部に統廃合されたことにより徐々に人口が減り、住んでいる人はもうおられません。
 現在多賀町では、お米をはじめ、多賀にんじん、多賀そばが主要な農産物になっています。なかでも、多賀にんじんは冬季に収穫のピークを迎えます。雪の下で収穫を待つ多賀にんじんは糖度が高く、にんじん嫌いでも苦みを感じず美味しくいただけると人気です。まもなく、滋賀県東部のスーパーやJA直売所で多賀にんじんが出回ります。見つけたらぜひご賞味ください。生食でにんじんラぺにするとフルーティーで驚くほど美味しいのですが、一番のおススメは、輪切りにしたものをフライパンでじっくり焼いて少し塩を振っていただくです。

龍見 茂登子
多賀町まちづくりネットワーク・YOBISHIプロジェクト・シガタガゾウのサト祭り実行委員会・桃原プロジェクト 所属

香川県東かがわ市生まれ
高校卒業後、県外の大学に進学
大学卒業後、東京で就職。
転職後、京都市内に住む。
結婚して、京都府木津川市に住む。
その後、天理市、奈良市に住み、
現在パートナーの実家がある滋賀県多賀町に住んで16年になります。
多賀町の自然の美しさに感動し、草花の種類の豊富さに驚き、越して来たころは植物図鑑片手に植物の名前を調べ歩きました。
2014年頃より、多賀町の民俗聞き取り調査に参加。
主に食文化について調査しています。
2019年、多賀町中央公民館オープン時に、地元の郷土料理を展示してふるまうイベントを主催。
2019年4月より、「多賀の食べるをつなぐ」をコンセプトにYOBISHIプロジェクトがはじまりました。
現在YOBISHIプロジェクトの代表をしています。
YOBISHIよびしとは、多賀町の方言で親戚やご近所さんを呼んで行事の時などにおもてなしをすること。
多賀町に伝わる郷土料理の聞き取り調査をして、レシピ化する活動をしています。聞き取った内容は、noteに綴り公開。また、動画撮影をしてYouTubeで少しずつ公開しています。
イベント情報はYOBISHIのInstagramアカウントで発信中。
年数回イベントに合わせて、町内全戸に「よびし通信」を発行。



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