これまでいただいてきた恩を、このまちの人にわけていきたい。これからは 食を通じた「恩送り」
公開日:2025/01/28 08:22
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「興味ある」が押されました!
2025/01/30「興味ある」が押されました!
2025/01/302025年1月7日、愛荘町豊満に「まちのキッチン MACHI KICHI」をオープンした、地域おこし協力隊の磯部美季さん。
キッチンというからには、食にかかわるお店と想像はつくのですが、磯部さんがこのお店で実現したいこと、これからの目標など、オープンしたての店内で伺いました。
高校生の息子さんと移住してきた磯部さんですが、息子さんは今春から大学生になり家を出ていくのだとか。子育てが終わり、自分の時間が戻ってきたあとの第2の人生をどう生きていくのか。そんな悩みをもつ方にも参考になりそうなお話です。 ぜひ最後までご覧ください。
食で苦労したからこそ、食を楽しめる環境を作りたい。
▶“食を楽しめる環境”それがまちキチで実現したいことです。
今から18年前、生後6か月の息子を保育園に入園させてからというもの、仕事と家事をどう両立させるかに苦心してきました。離乳食の頃は外食するわけにもいかず、出来合いのレトルト離乳食を食べさせるのには抵抗があったので(当時はお母さんが働くことがようやく既得権を得た頃で、育児を手抜きして仕事を優先していると思われたくなかったのだと思います)、子どもを寝かしつけてからあれやこれや作り、小分けして冷凍していました。もともと食べることは大好きで、食については興味があったのですが、この頃は義務感のほうが強く、食を楽しんだ記憶がありません。
そうこうするうちに、息子も外食できるようになり、それからは夕食の半分以上は外食かデパ地下のお惣菜。食を外注することで、なんとか両立してきたのですが、なんせ外食中心ですから息子は子どもの頃から偏食もいいところ。ポテト以外の野菜はまったく食べないようになり、もっと小さい頃から食に興味を持てる環境を作っていればと後悔してもしきれません。
いま思うのは、食べることは生きることに直結するのに、結構大変だということ。作るのに時間もかかるし手間もかかるし、必ずおいしいかといえばそうでもないし、挫折する人が多いのもわかる。また、子どもが好き嫌いが多かったりすると、それにあわせて偏った献立にもなるし、好き嫌いができてしまったことへの罪悪感もあわせて、食自体から目を背けたくなったりします。 みんな食べることは好きなはずなのに、反面嫌いになる要素も強い「食」。食を楽しむ、それもみんなが楽しむためにはどうしたらいいのかの解としてつくったのが、この「まちのキッチン MACHI KICHI」です。
■Instagram:https://www.instagram.com/machi_kichi?igsh=ZTB1a210djFuZHRo
野菜たっぷりのお弁当とお惣菜をまちの人に。
▶2025年1月のオープンから、お弁当をランチタイムに提供しています。
町内の新鮮なお野菜で作ったおかずをだいたい7~8品、ごはんといっしょに詰めています。それぞれの献立は、味付けもシンプルで手間もかかってないんです。私が作れるぐらいですから。笑 でもね、それをおいしいと言ってくれて初日から通ってくださっている方がいて、「味付け大丈夫ですか?お口に合いますか?」って聞いたら、「こういうのがええねん」って。本当にうれしくて涙が出そうになりました。 スーパーやコンビニのお弁当もありますが、この小さいお店、“まちキチ”がそことは違うと声を大にしていえるのは、町内のお野菜を使っていること=収穫してから間もないものを使っていること、調理するのは当日にして作り置きをしていないということです。 どんなに凝ったメニューでも新鮮な素材に勝るものはないはず。食と真正面から向き合ったときに、料理下手な私ができるのは作りたてのものを出すことぐらいしかできないと思ったのです。でも、技はなくてもそれだけで味が違うんです。毎日お買い物に行って新鮮な食材を購入し、作り置きせず時間をかけて調理すること。正直私は今までできていませんでした。みんなもそうだと思うんですよね。でも、本当に地場のお野菜や素材が持っている味はこうなんだっていうのをまちキチのお弁当で感じてもらって、新鮮な食材を新鮮なうちに使ったら味付けなんていらないし、だれだっておいしいものが作れるって知ってもらうだけでも食へのハードルが下がるのではないかってそう思っています。
カフェタイムには、同じ地域おこし協力隊の横田さんにセレクトしてもらったオーガニックのコーヒーと紅茶をおだししています。私もそうですが、お茶するならスイーツもほしいですよね。笑 スイーツを作るか、どうするかと悩んでいたら、シフォンケーキ教室の講師をされている人から連絡がきて、「まちキチでお菓子教室ってできますか?」と。「できます、できますが、まちキチ用のシフォンケーキも作ってくれませんか?」って早速お願いしました。 また、いろんなお教室にまちキチを使ってもらいたいなあと思っていたら、「彦根の方がべジブルフラワーのワークショップに使えますか」と問い合わせしてくださったり。SNSで少しずつまちキチの告知をし始めたら、本当にいろいろな方がフォローしてくれるだけでなく、まちキチの活用を考えてくれていて、これから楽しそうなことがたくさんできて、私が想像していた以上のまちキチの形になるような予感がしてワクワクしています。
この場所でまちの人と出会い、新しいチャレンジもできたら。
▶私は今年55歳になります。もう人生の後半戦です。
今までは自身の成長を年収ではかり、年収が上がることで自分が成長したと考えていました。でも、一般企業に勤めていたら50代にもなれば役職定年で年収は減っていくばかり。さまざまな経験をしてキャリアは十分にあるのに、年収が減ることで自身の価値を見出せなくなるなんてなんかおかしくないですか。若い人にポジションも権限も渡していきたいのはみなが思うことでしょうが、会社にいたらそれによって自分のポジションがなくなるような気がするのだとしたら、それは働き方を見直すタイミングになるのではないでしょうか。 私は49歳で大手企業から転職、ベンチャー企業で52歳まで働いて、この愛荘町に移住しました。なにが正解だったのかはまだ判断できませんが、今の今は毎日の生活が楽しくてしょうがないので、「移住してよかった!」としか思えないのが本当にありがたいと思っています。
▽▽▽ 伺いながら、“頭の片隅にあった自分のアイデアを形に変えるのに、年齢は関係ないんだな”とワクワクする気持ちになったインタビュー。「移住してよかった!」の一言は、きっと移住を考えている方の背中を押してくれると信じています。 最後まで読んでくださりありがとうございました。
「まちのキッチン MACHI KICHI」、ぜひ「興味ある」をお願いします!
このプロジェクトの地域
愛荘町
人口 2.14万人
愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ!
愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ! 平成18年に2つの町が合併してできた現在の愛荘町は、今年で19年目を迎えます。琵琶湖に流れる川の上流・湖東地域に位置しており、鈴鹿山系からの豊かな清水と自然に恵まれ、古くから水との関わりが深いまちとして発展してきました。
町の東側には、聖武天皇の勅願で行基が開山した湖東三山の一つである金剛輪寺があります。昔から四季折々の雰囲気を楽しめるスポットとして地元の方々をはじめ多くの人に愛され続けている場所です。また、近世には中山道66番目の宿場として愛知川宿が栄え、後の明治には郡役所や警察などの官公署が置かれ、近江鉄道が開通するなど、古くから地方の中心としても栄えてきました。
国の伝統的工芸品に指定されている「近江上布」を中心とした麻織物や、瓶のなかにてまりが入った不思議で美しい滋賀県の伝統的工芸品「愛知川びん細工手まり」など、愛荘町でしか見られない手仕事ならではの「ワザ」が光る工芸品を見られるのも特徴です。